プロポーザルに勝つための完全ガイド「評価基準と戦略」
自治体ビジネスや官公庁への営業などでは当たり前のプロポーザル方式。
競争性が高く、手間をかけて挑戦してもなかなか他社を抜いて勝てないということも多く、難しいと感じる方も多いかもしれません。
本記事では、プロポーザルの評価の内容と成功するための戦略について詳しく解説します。
プロポーザルとは?コンペとの違い
プロポーザルとは、特定の事業やプロジェクトに対して、事業者が提案書を提出し、提案内容を評価して発注先を決定する方法です。プロポーザルは価格だけでなく、提案内容や実現性、効果など多角的な評価を行うため、コンペとは異なります。
コンペでは基本的に最も安価な提案が選ばれますが、プロポーザルでは価格だけが評価基準ではありません。
自治体や企業が求める具体的な課題解決策を提示できるかどうかが重視されるため、求められている事に対して内容を作りこんでいくことが大切です。
プロポーザルの評価方法
プロポーザルの評価は、各自治体の審査委員会によって行われます。
審査委員は自治体や企業の職員で構成されており、厳正で公平かつ客観的な視点で各提案を評価します。
プロポーザルの評価方法
プロポーザルの評価は審査方法によって異なります。
主な審査方法は主に以下のようなものがあります。
①提案資料:提出する提案内容についての資料です。資料から読み取るコスト、技術力、実績、提案の具体性などが評価されます。
②プレゼンテーション:提案内容を口頭で説明するプレゼンテーションが求められる方法です。プレゼンテーションの内容はもちろん、発表後の質疑応答の対応などが評価対象となります。
③デモンストレーション:提案内容の技術的な実証や製品のデモンストレーションを行う評価方法です。提案された技術や製品が実際に動作するかを確認します。
④ヒアリング:提案者とのインタビュー形式で審査を行う方法です。提案内容について詳細に質問し、回答をもとに評価を行います。
⑤サンプル提出:実際に使用する製品や資料のサンプルを提出し、その品質を評価する方法です。物理的な製品や印刷物の評価に用いられる方法です。
⑥視察・現地調査:提案者の実際の作業現場や施設を視察し、その能力や環境を評価する方法です。大規模なプロジェクトや施工管理が重要な案件で用いられます。
⑦フィールドテスト:提案内容を実際の環境でテストし、実用性や効果を評価する方法。特にインフラ関連や公共事業で見られます。
⑧ケーススタディ:提案者に特定のケースを提示し、その対応方法を評価する方法です。問題解決能力や柔軟性が評価されます。
どの方法を用いるかはプロポーザル案件ごとによりますが、提案資料はどの案件でも提出を求められるため、戦略や対策を立てることが必須と言えます。
また、その他の審査方法についても案件によっては配点が高く設定されている事もあるため、しっかりと準備を行う事が大切です。
評価基準の内容
具体的な評価基準は案件や方法によって異なりますが、概ね共通する内容として、以下のような項目が挙げられます。
提案の総合評価:案件の目的要件に対しての提案全体の完成度や論理的整合性の高さ。
技術的能力:提案者の技術的な能力や過去の実績から、提案された計画が実現可能であるかどうか。
業務遂行能力:業務を遂行するための適切な体制や計画の具体性、効率的であるかどうか。
創意工夫:提案の中に含まれるアイデアや解決策の独創性があるかどうか。
コスト評価:提案された予算の妥当性やコストパフォーマンスの高さ。
リスク管理:担当者のリスクに対する認識とその管理方法が適切であるかどうか。
方法に関わらず、これらの項目を満たしているかを確認することが大切です。
プロポーザルに勝つことができない理由
プロポーザルにおけるよくある課題、失敗原因
プロポーザルで評価を満たせない原因として、以下のようなものがあります。
評価基準を正しく理解できていない:評価基準を正確に理解していないために、ポイントを押さえた提案ができていなかった。
調査不足による不備:リサーチや準備が不十分で、必要な情報を揃えることができなかった。
提案書や準備物の不備:準備が間に合わず提案書の内容に抜け漏れがある、または具体性に欠けてしまっている。
コミュニケーション不足:質疑応答やプレゼンテーションでのコミュニケーションが不足しており、審査員に伝わりにくかった。
これらの原因によって審査委員会に評価基準を満たすことができないと判断されてしまい、失敗してしまうケースが多く見られます。
プロポーザルは事前準備がほとんどであるからこそ、負けてしまうともったいないと感じてしまいますよね。
しかし、逆に考えればこれらの原因に注意して戦略を立て、準備を進めていくことで勝率を高めることができるのです。
プロポーザルにおける有効な戦略
ポイントを押さえて準備をしていくことで、評価基準を満たしプロポーザルの勝ちに近付くことができます。
ここからはプロポーザルにおけるフェーズごとに有効な戦略を解説していきます。
戦略①案件についての調査・リサーチ
プロポーザルで勝つための第一歩として、案件を深く理解するための徹底的なリサーチは必須です。
ここで、認識がずれていることによりその後の準備にも影響が出てしまわないよう、以下の点に注目して行いましょう。
案件の評価基準を理解する:案件の実施要領、仕様書、評価要領などの関連文書を詳細に読み込み、評価の基準を把握します。
対象の自治体のニーズは何かを理解する:自治体や企業のウェブサイトや公開資料を通じて、案件の背景や目的を理解します。
競合他社の分析をする:競合他社の強み・弱み、過去の受注実績を調査し、自社の優位性を明確にします。
事前質問を提出し不明確な所をなくす:上記のリサーチを踏まえて不明点や確認事項をリストアップし、所定の方法で質問を提出します。
これらのポイントに注意し提案内容を詰めていくことで評価を満たす提案が可能になります。
提案の土台作りとなるため、特にしっかりと行いましょう。
戦略②提案資料・準備物作成
プロポーザルの評価において提案資料は必須です。
中には資料のみで評価される案件もあるため、内容について審査者と齟齬が生じにくく、提案内容を魅力的に見せることができる資料を作成する必要があります。
効果的な提案書を作成するポイントとして、以下を確認しましょう。
評価基準と対応した内容作り:評価基準を細かく分解し、各項目に対して具体的な回答を準備し、資料に落とし込みます。
具体的な数字や事例を用いる:具体的な提案内容を作成することで、より評価者の解像度が上がります。数字や事例など具体性のある内容を盛り込みましょう。
文書の整合性を確認する:担当者との理解に齟齬が生じることを防ぐため、資料の内容が評価基準に基づいているか、漏れや抜けがないかをチェックしましょう。
高いデザイン性で視覚的なアプローチ:ビジュアライズされたグラフや図解を用いることでより評価者の深い理解に繋がります。他社との差別化にも効果があるため大切なポイントです。
これらのポイントに注意して資料を作成することで、提案内容がより伝わりやすい資料を作成することができます。
また、自社では気付けない所の確認や、より整合性を高めるために第三者や専門の業者など、客観的な視点を持つ人に確認してもらうことも一つの手です。
戦略③プレゼンテーション・質疑応答
審査にプレゼンテーションや質疑応答を用いる案件は多く、評価の配点割合が高い事もあるため、対策は必須と言えます。
以下のポイントについて確認しておくことで、当日慌てずに臨むことができます。
視覚で伝わりやすいプレゼンテーション資料の作成:提案内容を効果的に伝えるためには視覚的なアプローチが盛り込まれたプレゼンテーションが大切です。ポイントを押さえて資料を作成し、一目で理解できるような資料を目指しましょう。
適切なメンバー人数を揃える:人数が多ければ良いというわけでもなく、また一人では計画の実現性が低いと判断される事もあります。自治体ごとに上限人数を定めていることも多いため、上限に沿って適切な人数で臨みましょう。
質疑応答の役割分担:何も発言しない担当者がいることで体制が整っていないと判断されるケースもあるため、チームで役割分担を明確にしておきましょう。
プレゼンテーションや回答内容が評価項目に沿った内容であるか:事前にシミュレーションを行い評価のポイントをしっかりと理解し、的確にポイントに沿った回答や発表ができるようにしておきましょう。
発表において一番大切なことは、話が上手いことや素敵な資料を作ることではありません。
どの案件においても「自治体の要求に対して提案内容が実現できるか」をいかにわかりやすく伝えられるかどうか、ということです。
このことに留意し、目的に対して的確かつ明確に伝えられるようにしていくことで勝率は上がります。
まとめ
プロポーザルに参加するどの提案者も「自社が一番優れている」と考えているでしょう。
しかし、評価者が見るところは「いかに自治体の要求に高いレベルで応えることが可能か」です。
主観的になりすぎてしまうと、基準を満たしていない項目や内容から外れてしまっていることに気付けないこともあるため、一歩引いた客観的な視点を持つことも一つの戦略です。
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