ホームページリニューアルのプロポーザルとは?自治体Web案件の提案書の書き方

「自治体のホームページリニューアル案件に参入したい」「提案書をどう書けば採択されるか」という疑問を持つWeb制作会社・IT企業の方は多いでしょう。
自治体のホームページリニューアルは、価格だけで落札者を決める一般入札ではなく、技術力・提案内容を総合評価するプロポーザル方式で発注されることが一般的です。提案の質が採否を左右するため、自治体の調達ニーズを的確に捉えることが重要です。
発注は通常3〜5年に一度のリニューアルサイクルで行われます。新年度予算と連動することが多く、公告は1〜2月頃に多い傾向があります。
この記事のポイント
- プロポーザル方式が主流:UI/UX・CMS・アクセシビリティなど専門性が問われるため価格入札より提案評価を重視
- 評価の軸は5領域:提案内容・技術力・価格・実績・保守体制
- 差別化のカギはアクセシビリティと多言語対応:令和6年改正障害者差別解消法・インバウンド対応ニーズが高まっている
目次
なぜ自治体HPリニューアルはプロポーザル方式か
自治体のホームページは、住民向け情報発信・手続き案内・観光PR・緊急情報発信など多様な機能を持ちます。「安ければ何でもよい」とならないのは、次の理由からです。- 専門性の高い業務:UI/UX設計・CMS導入・セキュリティ・アクセシビリティ対応など技術領域が幅広い
- 長期間の保守が必要:制作後5〜10年の運用保守を含む契約が多く、事業者の継続体制が重要
- 住民サービスへの影響:品質の低いサイトは住民利便性・行政信頼度に直結するため最低限の品質担保が必要
案件の特徴と規模感
自治体のHP案件規模は自治体の規模により大きく異なります。一般的な目安は次のとおりです。| 自治体規模 | 概算規模感 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 政令市・都道府県 | 3,000万〜1億円超 | 大規模CMS・多言語・アクセシビリティJIS X 8341-3 |
| 中核市・一般市 | 500万〜3,000万円 | CMS導入・スマホ対応・保守含む |
| 町・村・小規模市 | 100万〜500万円 | テンプレート活用・運用担当者の使いやすさ重視 |
主な評価基準
自治体HP案件のプロポーザルでは、次の5領域で評価されることが一般的です。1. 提案内容・企画力
サイト設計の考え方・情報アーキテクチャ・デザインコンセプトを評価します。自治体の課題(情報が探しにくい・スマホ対応不十分など)を把握し、解決策を具体的に提示できるかが問われます。2. 技術力・システム構成
CMSの選定・セキュリティ要件(政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準)・アクセシビリティ(JIS X 8341-3対応)・ページ表示速度・障害対応体制などを評価します。3. 実績・会社体制
自治体・官公庁向けのWebサイト制作実績・スタッフ体制・再委託の有無が評価対象です。同等規模の自治体サイト実績があると有利です。4. 保守・運用体制
リニューアル後の保守・コンテンツ更新サポート・緊急対応(サイバー攻撃・システム障害等)の体制を評価します。SLA(Service Level Agreement)の提示を求められるケースもあります。5. 価格
価格は評価の一要素で、総合評価方式では技術点と価格点を合算して落札者を決定します。最低価格落札ではないため、極端な価格競争よりも品質・価格のバランスが重要です。提案書の構成と記載ポイント
HP案件の提案書に盛り込むべき主要な構成要素は次のとおりです。- 課題認識・現状分析:現行サイトの問題点を具体的に指摘(アクセス解析・ユーザービリティ調査の結果を引用できると説得力が増す)
- サイト設計方針:情報分類・ナビゲーション設計・ユーザーペルソナの考え方
- デザイン・UI/UXの考え方:モックアップや参考事例を添付すると視覚的にわかりやすい
- CMS選定理由:運用担当者の使いやすさ・セキュリティ・拡張性の観点で説明
- アクセシビリティ対応計画:JIS X 8341-3の達成等級(AA)への対応方針
- スケジュール・体制図:プロジェクトマネジャー・デザイナー・エンジニア等の役割分担と工程
- 保守・運用サポート内容:月次レポート・研修・緊急対応の具体的な内容
採択されるための差別化ポイント
- 同規模の自治体サイト実績を前面に出す:「人口〇万人規模の市のHP構築経験あり」は説得力が大きい
- アクセシビリティへの具体的対応:「達成等級AA相当を保証する」という明確なコミットメント
- 多言語対応・機械翻訳連携:インバウンド需要・外国人住民向けの多言語化は優先度が高まっている
- スマートフォン最適化:住民のスマホ利用率を踏まえたモバイルファースト設計
- 災害・緊急情報のUX:緊急時に素早く情報にたどり着けるナビゲーション設計
まとめ
自治体のホームページリニューアルはプロポーザル方式が主流で、技術力・提案力・保守体制の総合評価で採択者が決まります。価格だけでなく品質とサービスの差別化が採択のカギです。- 評価の軸は提案内容・技術力・実績・保守体制・価格の5領域
- アクセシビリティ(JIS X 8341-3 AA等級)・多言語対応が差別化ポイント
- 同規模自治体の実績と担当体制の明確化が採択率を上げる
