業務実施方針とは?プロポーザルで評価される書き方と構成を解説

業務実施方針とは?プロポーザルで評価される書き方と構成を解説

プロポーザルの提案書で、最初に置かれることが多いのが業務実施方針です。配点も重く、ここで差がつく案件は少なくありません。ところが実際に書こうとすると、「丁寧に対応します」「発注者と緊密に連携します」といった、どの案件にも当てはまる言葉ばかりが並んでしまう。この記事では、実施方針に何を書くのか、どう書けば点が入るのかを、評価する側の見方から整理します。

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目次

業務実施方針とは

業務実施方針とは、その業務をどういう考え方で、どう進めるのかを示す文書です。実施方針、業務方針、取組方針といった名前で、提案書の冒頭から中盤に置かれます。

役割は、提案全体の土台を示すことです。具体的な作業の手順は業務フローや工程表で示し、誰が担当するかは体制図で示します。実施方針はその前段にあたり、この業務で何が重要だと考え、どこに力を入れるのかという姿勢を述べる部分です。

発注者側の資料では、業務の概要、業務内容、履行期間、業務実施上の条件、成果品を示したうえで、提案書の作成に関する留意事項を記載する形が取られます。この提示に対して、受け取った側がどう理解し、どう応えるのかを示すのが実施方針だと考えると位置づけがつかめます。

評価項目としての位置づけ

多くの案件で、実施方針は独立した評価項目として配点を持ちます。厚木市の評価基準では、技術提案書の評価を実施方針、業務フロー、実施体制に分け、それぞれに配点を設けた例があります。実施方針が独立して採点されるということは、ここだけで一定の点が動くということです。

評価の観点は、案件によって細かく分けられます。二〇二七年の国際園芸博覧会に関するプロポーザルでは、業務の実施方針、体制、業務全体の進め方、業務工程について、明確で具体的な提案がされているかが評価の柱とされた例があります。「明確で具体的」という言葉が繰り返されている点に、評価する側が何を見ているかが表れています。

和歌山県の基準のように、実施方針とは別に企画提案を設け、具体性・実現性、独創性といった複数の観点で採点する例もあります。この場合、実施方針で全体の考え方を示し、企画提案で個別の工夫を示すという役割分担になります。

基準点が設けられている案件もあります。厚木市の基準では、一〇〇〇点満点のうち六〇〇点に満たない者を受注候補者および次点候補者として選定しないとされています。相対的に一位でも、基準に届かなければ選ばれないということです。配点の読み方はプロポーザルの評価基準とはで扱っています。

実施方針に書く内容

業務の理解

その業務が何のために行われるのかを、自分の言葉で述べる部分です。仕様書の記述をそのまま写すのでは意味がありません。背景にある事情、この業務が解決しようとしている状態、成果が使われる場面を読み取って書きます。

材料は公表資料から集められます。その自治体の総合計画、関連する個別計画、議会の議事録、過去の同種業務の報告書などです。発注者が何に困っているのかを調べたうえで書かれた文章は、調べずに書かれた文章とはっきり違いが出ます。委員の中にはその計画の策定に関わった職員がいることもあり、調べた跡は伝わります。

着目すべき課題

その業務を進めるうえで、何が難しいのかを示す部分です。ここが実施方針の中心になります。難所を正しく見抜けているかどうかで、その事業者が業務を分かっているかが判断されます。

課題は、一般論ではなくその案件固有のものを挙げます。「関係者との調整が重要」では弱く、「対象区域に三つの自治会があり、それぞれ利害が異なるため、合意形成に時間を要する」といった具体性が要ります。挙げた課題のそれぞれに、後の取り組みで応える形にすると筋が通ります。

取り組みの方針

挙げた課題に、どう対処するのかを述べる部分です。手法の名前を出すだけでなく、それを使うとなぜ課題が解けるのかまで書きます。実績があるなら、過去に同じ方法で成果を出した例を添えると説得力が増します。

ここで示した方法は、後の工程表と人員の配置、そして見積の内訳に反映されている必要があります。方針では手厚く書いたのに工程表に対応する作業がない、という不整合は評価を下げます。

配慮する事項

業務の品質を保つための仕組み、情報の取り扱い、安全の確保、履行が遅れそうになった場合の対応などです。案件によっては、地域経済への配慮や環境への配慮が評価項目に挙げられていることもあります。

この部分は定型になりやすいところですが、要領に明示された項目は必ず拾ってください。評価項目に挙げられているのに提案書で触れていなければ、その分の点が入りません。社内の標準的な記述を使い回す場合も、その案件の要領に挙がっている項目名に合わせて見出しを付け替えておくと確認されやすくなります。

業務フロー・工程表の書き方

実施方針とは別の評価項目として、業務の流れや工程の的確性を見る案件が多くあります。長浜市の基準でも、実施フローまたは工程表等の的確性が独立した評価項目として置かれた例があります。

評価される工程表には共通点があります。

  • 発注者の作業が書かれている——資料の提供、内容の確認、関係機関との調整など、発注者側にお願いする作業と時期が示されている
  • 打合せの時期と回数が具体的——いつ、何を議題に打ち合わせるかが分かる
  • 検討に戻る矢印がある——一方通行ではなく、確認の結果によって前の工程に戻る流れが示されている
  • 余裕が見込まれている——履行期限ぎりぎりに成果品の提出が置かれていない
  • 繁忙期が考慮されている——年度末や議会の時期など、発注者側が動きにくい時期を避けている

逆に、作業名を横棒で並べただけの工程表は点が伸びません。どの案件でも同じ形になってしまい、その業務を考えた跡が見えないためです。実施方針で挙げた課題に対応する作業が、工程のどこに位置づくかまで示せると評価がつながります。

点が入りにくい書き方

どの案件にも当てはまる文章

「豊富な経験を生かし」「緊密に連携し」「万全の体制で」といった表現は、業務名を入れ替えてもそのまま通用します。読んだ委員の手元に何も残らないため、点を動かしません。固有名詞、数字、具体的な場面のいずれかを含めるよう意識すると改善します。

仕様書の書き写し

業務の理解を示すつもりで仕様書の記述を並べると、理解ではなく転記と受け取られます。発注者は自分で書いた文章を読み返したいわけではありません。読み取った内容を自分の言葉に置き換えたうえで、そこから何を考えたかを続けてください。

課題と対策が対応していない

課題を三つ挙げたのに、取り組みの説明が別の話になっているという構成です。読み手は対応関係を探しながら読むため、ずれていると評価がしにくくなります。課題と対策を同じ順序で並べる、見出しを対応させるといった工夫で防げます。

実現性が示されていない

意欲的な提案でも、それを実行できる根拠がなければ評価されません。必要な人員、設備、期間が体制と工程に反映されているか、過去に同種の手法を使った実績があるかを添えてください。実績の示し方はプロポーザルの実績要件とはで扱っています。

評価されやすい書き方

評価項目の順に並べる

評価基準に示された項目の順序と、提案書の見出しを揃えます。委員は項目ごとに点を付けるため、該当する記述を探さずに採点できる構成が有利です。見出しの言葉も評価項目の表現に寄せると、対応関係がさらに分かりやすくなります。

結論を先に置く

各項目の冒頭に、何をするのかを一文で書きます。背景から説明を始めると、読み終わるまで要点が分かりません。先に結論を置き、その後で理由と方法を補う順序にすると、短い時間で読まれても内容が伝わります。

専門外の読み手を想定する

委員には内部職員が加わるのが通例で、その分野の専門家ばかりとは限りません。専門用語を並べた文章は、意図した評価につながりません。使う場合は簡単な説明を添えるか、平易な言葉に置き換えてください。委員の構成はプロポーザルの選定委員会とはで扱っています。

図表で要点を示す

課題と対策の対応表、工程表、体制図といった図表があると、構造が一目で伝わります。ページ数に制限がある案件では、文章を減らして図表に置き換えるほうが情報量を確保できます。

実施方針と他の提出書類の関係

提案書は複数の要素で構成されます。それぞれの役割を分けて考えると、どこに何を書くかが整理できます。

書類書くこと実施方針との関係
業務実施方針業務の理解と課題、進め方の考え方全体の土台
業務フロー・工程表作業の順序と時期方針を時間軸に落とす
実施体制図誰がどの役割を担うか方針を人に割り当てる
技術者調書担当者の資格と実績方針の実現性を支える
見積書費用の内訳方針を金額に落とす

評価する側は、これらを突き合わせながら読みます。方針で重点を置くと述べた作業に人員が配置されていない、工程表に時間が取られていない、見積に費用が計上されていない——どれか一つでも欠けると、言葉だけの提案と受け取られます。

作成の順序としては、実施方針を固めてから他の書類に展開するのが効率的です。先に工程表や体制図を作ってしまうと、後から方針を書いたときに整合させる手戻りが生じます。担当者が分かれている場合は、方針の原案を共有してから各自の作業に入ってください。

なお、実施方針の内容が業務要求水準で示された条件を満たしているかの確認も欠かせません。水準型の資料が配られている案件では、方針が水準に届いているかが前提の確認事項になります。業務要求水準書とはで読み解き方を扱っています。

よくある質問

実施方針と企画提案はどう使い分けますか

両方の項目がある案件では、実施方針で業務全体の進め方と考え方を示し、企画提案で個別の工夫や独自性を示します。項目が一つしかない案件では、方針の中に工夫も含めて書きます。要領の項目立てに従ってください。項目名が独自の呼び方になっている案件もあるため、評価基準の表と提出書類の一覧を突き合わせて確認すると取り違えが防げます。

他社と同じような内容になってしまいます

業務の進め方そのものは似て当然です。差がつくのは、課題の見立てと、その案件固有の事情をどれだけ拾えているかです。公表資料を読み込んで、その自治体の事情に触れた記述を入れると、他社と重ならない内容になります。

分量はどれくらいが適切ですか

要領にページ数の上限があれば、それが基準です。配点の比率に応じて割り当てるのが基本で、実施方針に三割の点が振られているなら、分量も三割程度を目安にします。上限いっぱいに詰め込む必要はありません。文字を小さくして詰め込んだ提案書は読みにくく、かえって印象を損ないます。

発注者の課題が公表資料から読み取れない場合は

仕様書の「業務実施上の条件」や「留意事項」の欄に、発注者が気にしている点が表れていることがあります。わざわざ条件として書かれた事項は、過去に問題が起きた箇所である可能性が高いためです。質問の回答が公表されていれば、他社の質問から論点が見えることもあります。

書いた方針は契約後に守る必要がありますか

提案書の内容を履行すべき義務として契約に取り込む案件があります。実行できる範囲で書くことが前提です。評価を取りにいって実現の難しい内容を書くと、契約後に自社を縛ることになります。

まとめ

業務実施方針とは、その業務をどういう考え方でどう進めるのかを示す文書です。多くの案件で独立した評価項目として配点を持ち、実施方針・業務フロー・実施体制という区分で採点される例があります。基準点が設けられ、満たさない者を選定しないとする案件もあります。書く内容は、業務の理解、着目すべき課題、取り組みの方針、配慮する事項です。このうち課題の見立てが中心で、一般論ではなくその案件固有の難所を挙げられるかどうかで差がつきます。工程表では、発注者側の作業や打合せの時期が具体的に示され、確認の結果によって前に戻る流れや余裕が見込まれているものが評価されます。どの案件にも当てはまる文章、仕様書の書き写し、課題と対策のずれ、実現性の根拠不足は点が入りにくい書き方です。評価項目の順に並べ、結論を先に置き、専門外の読み手を想定し、図表で構造を示すことを意識してください。関連してプロポーザル提案書の書き方、技術提案書の書き方もあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。評価項目や配点は案件ごとに異なります。具体的な内容は各発注機関が公表する公募資料と評価基準をご確認ください。

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