公共測量とは?測量法上の位置づけと手続きの流れを解説

公共測量とは、測量法に基づく測量の区分の一つで、国や公共団体が費用を負担・補助して行う測量などを指します。道路や河川の設計、都市計画、施設の管理といった公共事業の基礎になるもので、その成果が誤っていれば、後続の設計や工事すべてに影響します。だからこそ、公共測量には、作業規程の承認や実施計画書の提出といった、法律に基づく手続きが定められています。測量業務を受注する事業者にとっては、この手続きの流れを理解しておくことが不可欠です。本記事では、公共測量とは何か、測量法上の位置づけ、手続きの流れ、そして受注者の実務を解説します。
この記事のポイント
- 公共測量は、国や公共団体が費用を負担・補助して行う測量など(測量法第5条)
- 実施には作業規程を定めて国土交通大臣の承認を得る必要があり、準則を準用できる
- 手続きは国土地理院(地方測量部・支所)で行われ、実施計画書の提出も求められる
公共測量とは
測量法では、測量を「基本測量」「公共測量」「その他の測量」に区分しています。このうち基本測量は、すべての測量の基礎となるもので、国土地理院が行います。これに対して公共測量とは、基本測量以外の測量で、次のようなものをいいます。
- その実施に要する費用の全部または一部を、国または公共団体が負担し、または補助して行う測量
- 基本測量または公共測量の測量成果を使用して行われる、一定の事業に係る測量(行政庁の許認可を受けて行う事業や、国・公共団体の助成を受けて行う事業に係るもの)
要するに、公費が投じられる測量や、公的な事業の基礎となる測量が、公共測量として位置づけられているわけです。自治体が発注する道路設計のための測量、河川の管理のための測量、都市計画の基礎資料としての測量などが、これに当たります。
公共測量に法律上の枠組みが設けられている理由は、測量成果の正確さと統一性を確保するためです。測量成果は、その後の設計、工事、施設管理の前提になります。基準や精度がばらばらでは、成果を相互に利用することができず、公共事業全体の効率が損なわれます。共通のルールのもとで測量を行うことで、成果の信頼性と再利用性が担保されます。
作業規程と手続き
公共測量を実施するには、まず作業規程を定める必要があります。作業規程とは、その測量をどのような精度で、どのような方法で行うのかを詳細に規定したものです。そして、この作業規程について、国土交通大臣の承認を得なければなりません。承認申請の手続きは、国土地理院の地方測量部・支所で行われます。
もっとも、測量のたびにゼロから作業規程を作るのは大変です。そこで、測量の目的に応じた標準的な作業規程として、国土交通大臣が「作業規程の準則」を定めています。計画機関は、この準則を準用することができ、実務では準則を用いる例が一般的です。準則に沿って行うことで、全国的に統一された基準で測量が実施されます。
公共測量を計画する者(計画機関。国や自治体などの発注者側にあたります)には、このほかにも手続きが定められています。測量を実施しようとするときは、あらかじめ実施計画書を提出することとされており、国土地理院の技術的な助言を受ける仕組みも設けられています。測量が終われば、その成果について、所定の手続きを経ることになります。これらの手続きは主に計画機関が担いますが、受注した測量業者も、その流れを理解したうえで作業を進める必要があります。
測量業者としての参入
測量業を営むには、測量法に基づく測量業者の登録が必要です。これは建設コンサルタント登録のような任意の制度ではなく、測量業を営もうとする者に求められる登録です。登録にあたっては、測量士の設置などの要件があります。公共測量を受注しようとする事業者は、まずこの登録を備えていることが前提になります。
そのうえで、発注機関の入札に参加するには、入札参加資格の審査を受け、有資格者名簿に登載される必要があります。測量業務は、多くの発注機関で「測量・建設コンサルタント等」といった区分で資格審査が行われます。申請の考え方は指名願いとはをご覧ください。関連する登録制度として、土木の調査・設計を担う建設コンサルタント登録制度とはもあわせてご覧ください。
業務の受注方式としては、価格競争のほか、技術力を評価するプロポーザル方式や総合評価落札方式が用いられます。測量の成果は後続工程の基礎になるだけに、技術力や実績が重視される傾向があります。プロポーザル方式の仕組みはプロポーザルとはをご覧ください。
受注者が実務で押さえておきたいこと
公共測量を受注する事業者が、押さえておきたいポイントを整理します。第一に、適用される作業規程の確認です。その業務にどの作業規程(準則、あるいは発注機関独自の規程)が適用されるのかを、仕様書で確認します。精度の基準や作業方法は、この規程に従うことになるため、業務の進め方そのものを規定する重要な前提です。仕様書の読み方は仕様書とはをご覧ください。
第二に、成果品の品質確保です。測量成果に誤りがあれば、それを前提とする設計や工事に重大な影響が及びます。作業の各段階で点検を行い、成果品を提出する前に組織として確認する体制を整えることが不可欠です。設計業務等における確認の仕組みは照査とはが参考になります。
第三に、業務成績評定への意識です。測量業務も、履行過程と成果が評価され、その結果は次の業務の受注に影響します。丁寧な作業と、発注者との適切なコミュニケーションの積み重ねが、評定点として蓄積されていきます。評定の仕組みは業務成績評定とはをご覧ください。公共測量は、公共事業の最上流に位置する仕事です。その正確さが後続のすべてを支えるという意識が、質の高い業務につながります。
よくある質問
公共測量と基本測量はどう違いますか
基本測量は、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院が行います。公共測量は、それ以外の測量のうち、国や公共団体が費用を負担・補助して行う測量などを指します。自治体が発注する道路や河川の測量が公共測量にあたります。
作業規程は毎回作る必要がありますか
国土交通大臣が定める「作業規程の準則」を準用することができ、実務では準則を用いる例が一般的です。独自の作業規程を定める場合は、国土交通大臣の承認が必要で、申請は国土地理院の地方測量部・支所で行います。
測量業をするには登録が必要ですか
必要です。測量業を営もうとする者は、測量法に基づく測量業者の登録を受けなければなりません。登録には測量士の設置などの要件があります。公共測量を受注するには、この登録に加えて入札参加資格の審査を受ける必要があります。
まとめ
公共測量とは、測量法に基づく測量の区分の一つで、国や公共団体が費用を負担・補助して行う測量などを指します。公共事業の基礎となる成果の正確さと統一性を確保するため、作業規程を定めて国土交通大臣の承認を得ることが求められ、実務では国土交通大臣が定める「作業規程の準則」を準用するのが一般的です。手続きは国土地理院の地方測量部・支所で行われ、計画機関には実施計画書の提出も求められます。受注側は、測量法に基づく測量業者の登録と入札参加資格が前提となり、適用される作業規程の確認、成果品の品質確保、業務成績評定への意識が実務の要点です。関連して業務成績評定とは、指名願いとはもあわせてご覧ください。
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※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。測量法に基づく手続きや作業規程の運用は改正されることがあります。具体的な内容は国土地理院・国土交通省の公表資料等の一次情報をご確認ください。