映像プロポーザルの傾向と参入戦略|案件タイプ・予算規模・評価基準を徹底解説


- 映像プロポーザルの約9割は自治体発注であり、観光PR・移住促進・行政広報の3分野が案件の中心を占める
- 予算規模は100万円〜700万円がボリュームゾーンで、実績要件の有無により参入障壁が大きく異なる
- 審査では企画の独創性と地域理解度が重視され、試作動画の提出を求められるケースも増加傾向にある
自治体や官公庁が発注する映像制作業務では、価格競争ではなく企画内容や実績を総合的に評価する公募型プロポーザル方式が主流となっています。観光PRから移住促進、行政広報まで、映像プロポーザルの案件は全国で年間を通じて募集されており、映像制作会社にとって安定した受注機会となり得る市場です。しかし、案件ごとに異なる参加資格や評価基準、競争環境を理解しなければ、効率的な営業活動は困難です。本記事では、映像プロポーザルへの参入を検討している企業担当者に向けて、実際の募集案件から読み取れる傾向と、受注に向けた具体的なアプローチを解説します。
映像プロポーザルとは何か

価格ではなく提案力で競う選定方式
映像プロポーザルとは、自治体や官公庁が映像制作業務を外部に委託する際に実施する提案競争のことです。一般的な入札と異なり、最も安い価格を提示した事業者が自動的に選ばれるわけではありません。企画内容、実施能力、過去の実績、価格などを総合的に評価し、最も優れた提案を行った事業者が受託者として選定されます。
この方式が採用される背景には、映像制作が単なる技術的作業ではなく、創造性を要する業務であるという認識があります。地域の魅力を発信するPR映像では、その土地の特性や文化をどのように映像化するか、視聴者にどのような印象を与えるかといった点で、制作者の企画力が成果物の品質を大きく左右します。価格だけで業者を選定すると、期待した効果を得られない映像が納品されるリスクがあるため、提案内容を重視するプロポーザル方式が選ばれているのです。
一般競争入札との違い
映像制作の発注方式として、プロポーザル方式と一般競争入札方式の2種類が存在します。両者の違いを理解することは、案件への適切なアプローチを考える上で重要です。
一般競争入札は、一定の資格要件を満たしていれば誰でも参加でき、最も低い価格を提示した事業者が落札するシンプルな仕組みです。事務用品の購入や定型的な業務委託に適しており、創造性よりもコスト効率が重視される場面で採用されます。
一方のプロポーザル方式は、価格だけでなく提案内容や実施能力を評価します。通常、一次審査(書類審査)と二次審査(プレゼンテーション審査)の2段階で選定が行われ、単に安価な提案をするだけでは受注できません。映像制作のように成果物の品質が発注者の目的達成に直結する業務では、このプロポーザル方式が標準的な発注形態となっています。
映像プロポーザルの案件タイプ

観光プロモーション系
映像プロポーザルで最も案件数が多いのが観光プロモーション系です。地域の観光資源、温泉、自然景観、特産品、グルメなどを映像化し、国内外の観光客誘致につなげることを目的としています。
和歌山県田辺市の「観光プロモーション動画制作・発信業務」では、企画提案プレゼンに14社が参加したとの記録があり、魅力的な観光地を有する自治体の案件には多数の応募が集まる傾向がみられます。観光系案件では、単に美しい映像を制作するだけでなく、YouTube等での配信戦略や広告運用までを含む包括的な提案が求められるケースも増えています。
観光プロモーション案件の特徴として、インバウンド対応(多言語字幕・吹き替え)を求められることが挙げられます。愛媛県の「映像コンテンツを活用した地域情報発信」実証事業では、サイクリングの魅力を米国に発信するという具体的なターゲット設定がなされており、海外展開を視野に入れた映像制作能力が評価対象となります。
移住・定住促進系
人口減少に直面する地方自治体にとって、移住者や定住者の獲得は重要な政策課題です。そのため、移住・定住促進を目的とした映像制作案件も活発に募集されています。
茨城県央地域では、水戸市を含む9市町村が共同で「学生定住・UJターン促進事業」の映像制作を発注しています。このように複数自治体による広域連携での案件は、予算規模が大きくなる傾向があり、企画運営からイベント実施、映像制作までを一括で受託する形態が多くみられます。
移住促進系の映像では、観光PRとは異なるアプローチが求められます。短期間の滞在ではなく「暮らし」をイメージさせる必要があるため、地域住民へのインタビュー、日常生活の風景、子育て環境、就労機会などを丁寧に描く構成力が評価されます。宮崎県延岡市の「地元企業PR動画制作業務」のように、移住後の就職先となる地元企業の魅力を伝える案件も、広義の移住促進策として位置づけられています。
行政広報・啓発系
自治体の政策や取り組みを住民に伝えるための行政広報動画も、定常的に発注されている案件タイプです。京都府福知山市の「市政情報の動画制作・発信業務」や、富山県の「能登半島地震の教訓を踏まえた防災啓発用映像制作事業」などがこのカテゴリに該当します。
行政広報系案件の特徴は、正確性と分かりやすさが最優先される点です。制度の説明や防災知識の伝達では、映像の美しさよりも情報の正確な伝達が求められます。複雑な行政サービスを市民が理解しやすいように説明するための構成力や、幅広い年齢層に訴求するための表現手法が評価のポイントとなります。
また、職員採用PR動画も行政広報の一種として募集されています。若年層の公務員志望者に自治体の魅力を伝え、応募を促すことを目的としており、民間企業の採用動画に近いテイストが求められるケースもあります。
周年記念・イベント系
市制施行○周年、町村合併○周年といった記念事業に伴う映像制作案件も散見されます。和歌山県橋本市の「市制20周年記念映像制作委託業務」がその典型例です。
周年記念系の案件は単発かつ不定期ですが、予算が比較的潤沢に確保される傾向があります。自治体の歴史を振り返りながら未来への展望を描くという性質上、アーカイブ映像の活用や市民参加型の企画など、通常のPR動画とは異なる演出が期待されることもあります。
イベント記録映像の制作も関連案件として存在します。地域の祭りやスポーツイベント、文化行事などを記録し、翌年以降のPRに活用するための映像制作業務です。これらは比較的小規模な案件が多いものの、継続受注につながる可能性があるため、地域との関係構築の観点から戦略的に取り組む価値があります。
発注者の特徴と傾向

自治体中心の市場構造
映像プロポーザルの発注主体は、約9割以上が地方自治体(市区町村・都道府県)です。調査で確認できた案件のほとんどが自治体からの発注であり、民間企業が公募型プロポーザルで映像制作を発注するケースは極めて限定的です。
市区町村単独での発注が最も一般的なパターンですが、前述の茨城県央地域のように複数自治体による協議会形式での発注も一定数存在します。広域連携案件は予算規模が大きく、業務範囲も広いため、受注できれば事業実績として高い価値を持ちます。
都道府県レベルの発注も存在しますが、市区町村と比較すると案件数は少なめです。愛媛県のサイクリングPR事業や富山県の防災啓発映像のように、県全体に関わるテーマや、国の補助事業と連動した案件で都道府県が発注者となるケースがみられます。
独立行政法人・公益法人からの発注
自治体以外では、独立行政法人や公益法人からの映像制作プロポーザルも存在します。京都市産業技術研究所(地方独立行政法人)のPR動画制作業務や、各種公益財団法人からの発注がこれに該当します。
また、観光協会やDMO(観光地域づくり法人)が発注主体となるケースもあります。特に観光プロモーション系の案件では、自治体ではなく観光協会が直接発注することがあり、参加資格として「観光協会又はDMOが発注する同種事業の受託実績」を求められることもあります。
地域偏在の傾向
映像プロポーザルの案件は全国で募集されていますが、地域による偏在がみられます。観光資源が豊富な地域や、移住促進に積極的な自治体では案件数が多い傾向にあります。
一方で、大都市圏の自治体は民間の映像制作会社との取引が多く、プロポーザルではなく随意契約や指名競争で発注するケースもあるため、必ずしも人口規模と案件数は比例しません。地方の中小規模自治体の方が、むしろ公募型プロポーザルを積極的に活用している印象があります。
予算規模の実態

小規模案件(100万円〜200万円程度)
予算規模が比較的小さい案件は、単発のPR動画制作や短尺動画が中心です。三鷹市の案件では見積上限額が約148万円(税込)と設定されており、この価格帯では1〜2分程度の動画1本を制作するイメージとなります。
小規模案件の特徴として、企画・撮影・編集をすべて含む総額として予算が設定されていることが挙げられます。出演者のキャスティング費用や楽曲の著作権処理費用も含めてこの予算内で収める必要があるため、制作会社にとっては利益確保が難しい案件も少なくありません。
ただし、小規模案件は参加資格要件が緩い傾向にあり、実績の少ない映像制作会社やフリーランスにも参入機会があります。まずは小規模案件で自治体との取引実績を積み、段階的に大型案件へ挑戦するというキャリアパスも現実的な選択肢です。
中規模案件(300万円〜700万円程度)
映像プロポーザルのボリュームゾーンとなるのが、予算300万円〜700万円程度の中規模案件です。川崎市の「地域の寺子屋事業」プロモーション動画制作業務は見積上限額660万円と設定されており、この価格帯が一つの目安となります。
中規模案件では、複数本の動画制作や、長尺(5分以上)の映像制作が求められることが多くなります。また、企画構成から撮影、編集、納品後の配信支援までを含む包括的な業務委託となるケースもあり、映像制作会社としての総合力が試されます。
この価格帯の案件は競争が激しく、官公庁・自治体での実績要件が設定されることも多いため、一定の経験を積んだ制作会社が主な競合となります。地元テレビ局や広告代理店、全国展開の映像制作会社などが参入してくるため、差別化された企画提案が求められます。
大規模案件(1,000万円以上)
予算1,000万円を超える大規模案件は、映像制作単体ではなく、イベント運営や広告配信を含む総合的な業務委託となることがほとんどです。茨城県央地域の移住促進事業のように、企画運営・イベント実施・映像制作・配信までを一括で受託する形態が典型的です。
大規模案件では、映像制作能力だけでなくプロジェクトマネジメント能力や多様なステークホルダーとの調整能力も評価対象となります。自治体担当者、出演者、撮影協力者、広告代理店など、多くの関係者と連携しながらプロジェクトを推進する体制構築が求められます。
また、大規模案件では共同企業体(JV)での参加が認められるケースもあります。映像制作会社と広告代理店、あるいは地元企業と首都圏の制作会社が組んで応募するといった形態が見られ、それぞれの強みを持ち寄った提案が可能となります。
参加資格要件の傾向と対策

競争入札参加資格の登録
映像プロポーザルに参加するための基本要件として、自治体の競争入札参加資格への登録を求められることが多くあります。上田市の案件では「物品入札(見積)参加願提出業者名簿に登録していること」が条件とされています。
入札参加資格の登録は、多くの自治体で随時または定期(年度初めなど)に受け付けています。登録には会社の登記事項証明書や納税証明書などの書類が必要となりますが、手続き自体は比較的簡易です。営業対象としたい地域の自治体には、あらかじめ入札参加資格を取得しておくことで、案件発生時にスムーズに応募できます。
なお、入札参加資格がない場合でも、「申立書と証明書類の提出により参加可能」とする案件も存在します。京都市産業技術研究所の案件では、資格を有しない場合は契約締結までに必要書類を提出すれば良いとされており、資格未登録の事業者にも門戸が開かれています。
実績要件のパターン
映像プロポーザルにおける最大の参入障壁が、過去の業務実績を求める要件です。実績要件のパターンとしては、以下のような設定が見られます。
最も厳しいパターンは「過去5年以内に官公庁・自治体・観光協会・DMOが発注する同種業務の受託実績があること」という条件です。焼津市の案件では、動画制作とパンフレット制作の両方について国・地方公共団体等からの受託実績を求めており、民間企業からの受注実績だけでは参加資格を満たせません。
一方、比較的緩やかなパターンとして「過去5年以内で企業・プロジェクト等のPR動画制作実績がある事業者」という条件もあります。京都市産業技術研究所の案件がこれに該当し、民間企業向けの制作実績でも参加可能です。
実績要件をクリアするための現実的な戦略としては、まず実績要件のない(または緩い)案件に応募して官公庁実績を積むことが挙げられます。小規模自治体の案件や、新規事業として初めてPR動画を制作する自治体の案件では、実績要件が設定されないこともあります。
地域要件への対応
自治体によっては、事業所の所在地を参加要件として設定するケースがあります。愛媛県の案件では「愛媛県に本社又は自社の映像コンテンツ制作の拠点を有していること」が条件とされています。
地域要件が設定される背景には、地域経済の活性化や、撮影時の機動力確保といった意図があります。しかし、すべての案件に地域要件があるわけではなく、全国から参加可能な案件も多数存在します。地域要件の有無は募集要項で確認できるため、自社の営業エリアに合わせて案件を選別することが効率的です。
地域要件をクリアする方法として、共同企業体(JV)での参加が認められている場合は、当該地域に拠点を持つ企業との連携が選択肢となります。地元の広告代理店やイベント会社と組むことで、地域要件を満たしつつ映像制作の専門性を提供するという形態です。
募集時期と案件発掘のポイント

年度サイクルに連動した募集傾向
映像プロポーザルの募集時期は、自治体の予算執行サイクルと連動しています。調査結果から、案件公開が集中する時期として以下の傾向がみられます。
年度前半(4月〜6月)は、新年度予算の執行開始に伴い、年間を通じた広報計画の一環として映像制作が発注される時期です。この時期に公開される案件は、年度内(翌年3月まで)の納品を求められることが多く、制作期間に比較的余裕があります。
年度後半(10月〜12月)は、補正予算の執行や、翌年度の観光シーズンに向けた準備として案件が増加する時期です。年度末納品を求められるケースでは制作期間がタイトになることもあるため、応募前にスケジュールの実現可能性を確認する必要があります。
募集期間は、公告から参加表明まで2〜3週間、企画提案書提出まで1〜2ヶ月が標準的なスケジュールです。橋本市の案件では、公募開始から参加表明書提出期限まで約3週間、企画提案書提出まで約6週間の期間が設定されています。
効率的な情報収集方法
映像プロポーザルの案件情報を効率的に収集するためには、複数の情報源を組み合わせることが重要です。
第一に、自治体の公式ウェブサイトが最も確実な情報源です。多くの自治体は「入札・契約情報」や「公募・プロポーザル」といったページを設けており、募集中の案件が掲載されています。営業対象とする自治体のウェブサイトを定期的にチェックする習慣をつけることが基本です。
第二に、入札情報の専門サイトを活用する方法があります。ビジネス・サーチなどのサービスでは、全国の入札・プロポーザル情報を集約して提供しており、キーワード検索で「動画制作」「映像制作」に関連する案件を抽出できます。有料サービスが多いものの、営業効率の向上を考えると費用対効果は十分にあります。
第三に、業界団体や同業者からの情報も有効です。映像制作業界のネットワークを通じて、案件情報が共有されることもあります。特に、JVでの参加が想定される大型案件では、パートナー企業からの声がけがきっかけになることもあります。
継続案件の把握
観光プロモーションや行政広報の映像制作は、毎年度継続的に発注されるケースがあります。前年度に他社が受注した案件であっても、翌年度は新たに公募が行われることが多いため、過去の発注実績を把握しておくことで、将来の案件を予測できます。
自治体のウェブサイトには過去のプロポーザル結果が掲載されていることが多く、「受託候補者決定」の情報から、どのような案件がいつ頃発注されているかを把握できます。この情報を蓄積しておくことで、翌年度の同時期に同様の案件が公募されるという予測を立て、事前準備を進めることが可能です。
審査・評価基準の傾向

2段階審査の標準的な流れ
映像プロポーザルでは、一次審査(書類審査)と二次審査(プレゼンテーション審査)の2段階選定が標準的です。橋本市の案件では、参加表明書等の提出後に一次審査が行われ、通過者のみが企画提案書を提出してプレゼンテーション(二次審査)に進むという流れが設定されています。
一次審査では、参加資格の確認と基本的な書類審査が行われます。会社概要、業務実績、財務状況などが確認され、参加要件を満たさない事業者がここで選外となります。一次審査の段階で企画内容まで評価されることは少なく、形式要件のクリアが主な確認事項です。
二次審査では、企画提案書の内容とプレゼンテーションに基づいて総合評価が行われます。多くの場合、審査委員会が設置され、複数の審査員による採点が実施されます。青森市の案件では「審査委員会において厳正に審査を行い、受託候補者を決定」と記載されており、公正な選定プロセスが重視されていることがわかります。
技術点と価格点の配分
映像プロポーザルの評価では、技術点(企画内容・実績等)と価格点を組み合わせた総合評価方式が一般的です。技術点の配点が価格点を大きく上回る設定が多く、単に安い見積もりを提示しても受注できない構造になっています。
ある自治体の評価基準では、技術点90点満点、価格点は見積価格に基づく計算式で算出し、合計点が最も高い者を最適提案者とする方式が採用されています。また、「全審査項目の6割をボーダーライン」とし、平均点がこれに満たない場合は選定しないという足切り基準も設けられています。
技術点の評価項目としては、企画の独創性・創造性、地域特性の理解度、映像の表現力・技術力、過去の類似実績、プロジェクト管理体制、スケジュールの妥当性などが含まれます。これらの項目ごとに配点が設定され、審査員が5段階や6段階で評価するパターンが多くみられます。
試作動画の提出要求
映像プロポーザルの特徴的な評価方法として、試作動画(デモ映像)の提出を求めるケースがあります。群馬県渋川市の案件では、「仕様書制作物の概要がイメージできるように試作した1分程度の動画データを提出すること」という条件が設定されています。
試作動画の提出は、企画書だけでは判断できない実際の制作力を確認する目的で求められます。使用する映像素材は当該自治体に関連するものである必要はなく、企画のイメージが確認できるものであれば良いとされることが多いです。
この要求に対応するためには、過去の制作物を素材として活用した試作動画を作成するか、フリー素材を使用してイメージ映像を制作することになります。試作動画の作成には相応の工数がかかるため、応募案件の選別をより慎重に行う必要が出てきます。
評価されるポイント
映像プロポーザルで高い評価を得るためには、以下のポイントを押さえた提案が重要です。
地域特性の深い理解は最も重要な評価ポイントの一つです。発注者である自治体は、自らの地域の魅力を最大限に引き出してくれる制作会社を求めています。表面的な観光情報ではなく、地域の歴史、文化、住民の暮らしぶりまで踏み込んだ理解を示すことで、「この会社なら任せられる」という信頼を得られます。
類似実績の具体的な成果も重視されます。過去に制作した映像が単に「制作しました」ではなく、「公開後6ヶ月間で10万回再生を達成」「観光客数が前年比15%増加」といった具体的な成果を示せれば、投資対効果を重視する自治体担当者への訴求力が高まります。
実現可能なスケジュールと体制の提示も欠かせません。撮影スケジュール、編集期間、確認・修正のためのバッファなどを具体的に示し、納期遵守への確実性をアピールすることが重要です。制作体制についても、ディレクター、カメラマン、編集者など各担当者の経験と役割を明示することで、チームとしての信頼性を高められます。
競争環境と差別化戦略

競合のタイプ
映像プロポーザルには、多様なタイプの事業者が参入しています。競合の特性を理解することは、自社の差別化ポイントを明確にする上で重要です。
地元テレビ局は、特に観光PRや行政広報の分野で強力な競合となります。北海道白糠町のシティプロモーション動画制作案件では、札幌テレビ放送株式会社が受注しています。テレビ局は映像制作のプロフェッショナルであることに加え、放送ネットワークを活用した情報発信力を持つ点が強みです。
広告代理店も主要な競合です。特に大規模案件では、映像制作だけでなくマーケティング戦略全体を提案できる広告代理店が有利になることがあります。地元に支社や営業所を持つ広告代理店は、日常的な自治体との関係構築ができている点も強みです。
全国展開の映像制作会社は、豊富な制作実績と安定した品質を武器に参入してきます。テレビCMや企業PR動画の制作で培ったノウハウを自治体案件にも展開し、クオリティの高い映像を提供できる点が強みです。
地元の中小映像制作会社は、地域に密着した情報収集力と、小回りの利く対応力を強みとしています。大手企業には難しいきめ細かな対応や、地域住民との関係構築において優位性を発揮できる可能性があります。
差別化のアプローチ
激しい競争環境の中で受注を勝ち取るためには、自社ならではの差別化ポイントを明確にする必要があります。
地域専門性の確立は有効な差別化戦略です。特定の地域や分野に特化することで、その領域での深い知見と実績を蓄積できます。「北海道の観光映像に強い」「移住促進動画の専門会社」といったポジショニングを確立できれば、関連案件での競争優位性が高まります。
最新技術の活用も差別化の一手です。上田市の案件では「VR映像コンテンツ」の制作が求められており、360度映像やドローン撮影、インタラクティブ動画など、従来の映像制作の枠を超えた提案ができることは大きなアドバンテージとなります。
配信・プロモーション支援まで含めた提案も差別化につながります。映像を制作するだけでなく、YouTube広告運用、SNSでの拡散戦略、効果測定までを一貫してサポートできることをアピールすれば、「成果にコミットする姿勢」として評価される可能性があります。
適切な案件選定
すべての案件に応募するのではなく、自社の強みが活きる案件を選定することも重要な戦略です。プロポーザル対応には企画書作成、試作動画制作、プレゼンテーション準備など相応の工数がかかるため、受注可能性の低い案件に資源を投入することは非効率です。
案件選定の判断基準としては、自社の過去実績との類似性、地域要件・実績要件の充足度、予算規模と自社の適正規模のマッチング、競合の参入可能性、などを総合的に考慮します。勝てる見込みのある案件に集中投資することで、受注率の向上と営業効率の改善を両立できます。
映像プロポーザル特有の注意点

著作権・肖像権処理の重要性
映像プロポーザルでは、著作権・肖像権の処理が業務範囲に含まれることがほとんどです。指宿市の仕様書では「肖像権や著作権について必要な手続き(撮影、編集はもとより、納品後の加工、放映にあたり、肖像権等にかかる新たな費用を発生させないための事前処理を含む)」が受託者の責任範囲とされています。
具体的には、出演者からの肖像権使用許諾の取得、撮影協力者・撮影場所への許可取得、BGMの著作権処理(著作権フリー音源の使用または使用許諾の取得)、ナレーターの出演契約などが含まれます。納品後の二次利用(YouTube公開、テレビ局への提供、他自治体への貸出など)まで見据えた包括的な権利処理が求められることが特徴です。
権利処理に関するトラブルは、映像公開後に発覚すると深刻な問題に発展する可能性があります。見積もり段階で権利処理にかかる費用を適切に計上し、制作プロセスにおいても漏れなく許諾を取得する体制を構築することが重要です。
成果物の多様化への対応
近年の映像プロポーザルでは、単一フォーマットの動画だけでなく、複数の成果物が求められることが増えています。指宿市の仕様書では、長尺版、ショートバージョン、日本語字幕版、ナレーションなし版など、複数のバリエーションでの納品が求められています。
また、YouTube用の横型動画に加えて、Instagram・TikTok用の縦型ショート動画の制作を求められるケースも出てきています。SNSプラットフォームごとに最適な映像フォーマットが異なるため、それぞれに対応した編集・納品体制が必要です。
上田市のようにVR映像コンテンツの制作を含む案件も登場しており、従来の映像制作スキルに加えて新しい表現技術への対応力も求められるようになっています。こうした多様なニーズに対応できることは、競合との差別化ポイントとなり得ます。
修正対応と納品後のサポート
映像制作のプロポーザルでは、制作途中および納品後の修正対応についても業務範囲に含まれることが一般的です。仕様書には「発注者との協議を経て修正を行う」「確認・修正を繰り返し最終版を完成させる」といった記載が見られます。
修正対応の範囲や回数について、事前に明確な取り決めがなされないケースもあります。このような場合、際限のない修正要求に対応することになり、プロジェクトの採算が悪化するリスクがあります。企画提案の段階で、修正プロセスの考え方(確認フェーズ、修正回数の目安など)を示しておくことが、双方の期待値を合わせる上で重要です。
納品後についても、映像の差し替えが必要になった場合の対応や、配信開始後の効果測定レポートの提出など、継続的なサポートが求められることがあります。これらの対応をどこまで業務範囲に含めるかは、見積もり段階で明確にしておく必要があります。
新規参入企業へのアドバイス

実績構築の現実的な方法
映像プロポーザルへの参入を検討する企業にとって、官公庁・自治体での制作実績がないことが最大の課題となります。この壁を乗り越えるための現実的なアプローチを紹介します。
第一に、実績要件のない案件を狙うことです。すべての案件に実績要件があるわけではなく、新規事業として初めてPR動画を制作する自治体や、小規模な案件では実績不問のケースもあります。こうした案件を地道に獲得していくことで、徐々に官公庁実績を積み上げることができます。
第二に、民間実績が評価される案件を探すことです。京都市産業技術研究所のように「企業・プロジェクト等のPR動画制作実績」を条件とする案件では、民間企業向けの制作実績でも参加資格を満たせます。実績要件の文言を注意深く確認し、自社の実績で対応可能な案件を選別することが重要です。
第三に、JVでの参加を検討することです。官公庁実績を持つ企業と共同企業体を組むことで、実績要件をクリアできる場合があります。自社は映像制作を担当し、パートナー企業が渉外や権利処理を担当するといった役割分担が考えられます。
地域との関係構築
映像プロポーザルで継続的に受注するためには、特定の地域との関係を深めることが効果的です。一度受注した自治体とは、納品後も良好な関係を維持し、次年度以降の案件情報を早期に入手できる関係を構築することを目指します。
地域との関係構築においては、単なる受発注関係を超えた貢献も重要です。地域のイベントへの協賛、映像制作に関するセミナーやワークショップの開催、地元学生のインターンシップ受け入れなど、地域社会への参画を通じて信頼関係を醸成できます。
また、地域の課題やニーズを深く理解することで、提案の質を高められます。観光客の動向、移住者の属性、住民の地域に対する意識など、数字には表れない情報を把握していることが、説得力のある企画提案につながります。
組織体制の整備
映像プロポーザルに継続的に取り組むためには、社内の組織体制を整備することも重要です。プロポーザル対応は、案件情報の収集、応募判断、企画書作成、プレゼンテーション、契約交渉など、多岐にわたる業務が発生します。
特に重要なのは、プロポーザル専任または兼任の担当者を置くことです。制作業務と並行してプロポーザル対応を行う場合、どちらかが手薄になりがちです。案件情報の収集と応募判断を担当する人材を明確にし、継続的な営業活動ができる体制を構築することが求められます。
また、企画書のテンプレートや過去の提案資料のアーカイブを整備しておくことで、新規案件への対応効率を高められます。毎回ゼロから企画書を作成するのではなく、過去の資産を活用しながらカスタマイズしていく方式により、限られた時間内での対応が可能となります。
まとめ

映像プロポーザルは、価格競争ではなく企画内容と実績で評価される選定方式であり、質の高い提案ができる映像制作会社にとっては有望な受注機会です。案件の約9割は自治体からの発注であり、観光プロモーション、移住促進、行政広報の3分野が中心を占めています。
予算規模は100万円〜700万円がボリュームゾーンで、官公庁・自治体での実績要件が設定されるケースが多いため、新規参入には一定のハードルがあります。しかし、実績要件のない案件の獲得や、JVでの参加といった方法で、段階的に実績を積み上げることは十分に可能です。
審査では企画の独創性、地域理解度、技術力、実施体制が評価され、試作動画の提出を求められるケースも増加傾向にあります。単に映像を制作するだけでなく、著作権・肖像権処理、多様なフォーマットへの対応、配信支援までを含む包括的なソリューションを提供できることが、競合との差別化につながります。
映像プロポーザルへの参入を検討している企業は、まず自社の強みと目標を明確にし、勝てる見込みのある案件に集中投資する戦略を取ることをお勧めします。地道な実績構築と地域との関係構築を通じて、中長期的に安定した受注基盤を築いていくことが、この市場で成功するための王道といえるでしょう。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。