工事請負契約書とは?書き方・ひな形・官公庁版の注意点を解説

工事請負契約書は、建設工事の発注者と受注者の間で取り交わす契約書です。官公庁が発注する公共工事では、国土交通省の「公共工事標準請負契約約款」をベースにした契約書が使われ、民間工事とは異なる条項が多数含まれます。この記事では、工事請負契約書の記載事項、官公庁版の特徴、受注者が確認すべきポイントを解説します。

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目次

工事請負契約書とは

請負契約の法的性質

工事請負契約は、民法第632条に基づく請負契約です。受注者(請負人)は工事の完成を約束し、発注者(注文者)は完成した工事に対して報酬を支払います。業務委託契約(準委任)と異なり、「成果物の完成」が義務であり、契約不適合責任を負います。

建設業法上の義務

建設業法第19条は、建設工事の請負契約の当事者に対し、契約内容を書面に記載して相互に交付することを義務付けています。口頭の合意だけでは建設業法違反になります。

記載が義務付けられている事項は以下の16項目です(建設業法第19条第1項)。

工事請負契約書の記載事項

建設業法で定められた16項目

  1. 工事内容
  2. 請負代金の額
  3. 工事着手の時期及び工事完成の時期
  4. 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときはその内容
  5. 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときはその支払の時期及び方法
  6. 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
  7. 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
  8. 価格等の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
  9. 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
  10. 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
  11. 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
  12. 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
  13. 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときはその内容
  14. 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
  15. 契約に関する紛争の解決方法
  16. その他国土交通省令で定める事項

公共工事で追加される条項

官公庁発注の公共工事では、上記に加えて以下の条項が含まれます。

  • 契約保証金 — 契約金額の10%以上。履行保証保険で代替可能
  • 前払金 — 契約金額の40%以内(公共工事の前払金保証事業に関する法律)
  • 中間前払金 — 工期の半分を経過し出来高が50%以上の場合、追加で20%以内
  • 部分払 — 出来形部分に対する部分的な支払い
  • 設計変更 — 発注者が設計を変更する場合の手続きと費用負担
  • 工事の一時中止 — 発注者が工事を中止する場合の受注者の費用負担
  • 受注者の解除権 — 発注者が前払金を支払わない場合等の解除権
  • 発注者の解除権 — 受注者が工事を施工しない場合等の解除権
  • 談合等不正行為に対する措置 — 談合が発覚した場合の違約金・解除

公共工事標準請負契約約款

約款の位置づけ

中央建設業審議会が作成・勧告する「公共工事標準請負契約約款」は、国・地方公共団体等が発注する公共工事の契約書のひな形です。法的な強制力はありませんが、多くの発注者がこの約款をベースに契約書を作成しています。

約款の主要な規定

条項 内容 受注者への影響
第17条(設計図書の変更) 発注者は必要があるときは設計図書を変更できる 変更に伴う工期・費用の調整が必要
第18条(工事の中止) 発注者は必要があるときは工事を中止させることができる 増加費用は発注者負担
第25条(検査及び引渡し) 受注者は工事完成を通知、発注者は14日以内に検査 検査に合格しないと引渡しできない
第31条(契約不適合責任) 引渡し後2年以内(故意・重過失は10年) 修補・損害賠償の責任
第46条(賠償の予定) 談合の場合、契約金額の10%の違約金 談合関与で契約金額の10%を支払う

工事請負契約書で受注者が確認すべきポイント

設計変更の手続き

公共工事では、施工中に設計変更が発生することが珍しくありません。設計変更が口頭の指示だけで進み、後から費用を請求できなくなるケースは入札後のトラブルで最も多いものの一つです。

  • 設計変更は必ず書面で確認する
  • 発注者の指示なく自主的に行った変更は費用請求できない
  • 変更に伴う工期延長も同時に協議する

前払金と出来高払い

公共工事の前払金は契約金額の40%以内が支給されます。資金繰りに直結するため、前払金の申請手続きと支給時期を事前に確認してください。

契約保証金

契約金額の10%以上を契約保証金として納付する必要があります。現金のほか、以下で代替できます。

  • 履行保証保険(保険会社が保証)
  • 銀行等の保証(金融機関が保証)
  • 公共工事履行保証証券(ボンド)

下請負人の届出

公共工事では、下請負人を使用する場合に発注者への届出が必要です(建設業法第24条の7)。施工体制台帳の作成義務もあります。無届けの下請使用は建設業法違反となります。

よくある質問

工事請負契約書に印紙は必要?

はい。工事請負契約書は印紙税法の第2号文書に該当し、契約金額に応じた収入印紙が必要です。ただし、国・地方公共団体が作成する文書は非課税のため、発注者が作成した正本は非課税、受注者が保管する副本には印紙が必要です。

工事請負契約書のひな形はどこで入手できる?

中央建設業審議会の「公共工事標準請負契約約款」が最も標準的なひな形です。国土交通省のWebサイトからダウンロードできます。民間工事向けには「民間建設工事標準請負契約約款」があります。

設計変更で追加費用が発生した場合、必ず支払ってもらえる?

発注者の指示による設計変更であれば、費用の変更協議が行われます。ただし、受注者が発注者の承認なく自主的に行った変更は費用請求の対象外です。書面による指示・承認の記録が重要です。

まとめ

工事請負契約書は建設業法で書面化が義務付けられた重要な文書です。公共工事では標準約款をベースに、契約保証金・前払金・設計変更・下請管理など独自の条項が加わります。入札で工事を受注する際は、これらの条項を十分に理解した上で契約に臨んでください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

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