建設業許可とは?種類・取得要件と公共工事入札のための取り方を解説

建設工事を請け負って営業するには、原則として建設業法に基づく「建設業許可」が必要です。特に、国や自治体が発注する公共工事の入札に参加する場合、建設業許可の取得は出発点となります。
本記事では、建設業許可の種類・要件・申請の流れを整理し、入札参加との関係まで解説します。
この記事のポイント
- 建設業許可は500万円以上の工事(建築一式は1,500万円以上)を請け負う際に必要
- 大臣許可/知事許可、一般建設業/特定建設業の4パターンに区分される
- 許可取得には5つの要件(経営管理責任者・専任技術者・財産的基礎など)を満たす必要がある
- 公共工事入札には、許可取得後に経営事項審査(経審)の受審が必要
建設業許可とは
建設業許可とは、建設業法(昭和24年法律第100号)第3条に基づいて国土交通大臣または都道府県知事から受ける許可のことです。建設工事を請け負って営業しようとする者は、軽微な工事を除き、必ずこの許可を取得しなければなりません。
許可は建設工事の種類(業種)ごとに与えられます。現在、建設工事は計29業種に分類されており、営業したい業種について個別に許可を取得する必要があります。
許可が必要なケースと不要なケース
建設業法では「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は許可不要とされています。軽微な工事の範囲は以下のとおりです。
| 工事の種類 | 許可不要となる金額基準 |
|---|---|
| 建築一式工事 | 1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事 |
| 建築一式以外の工事(専門工事) | 1件の請負代金が500万円未満 |
これらの金額を超える工事を請け負う場合、または公共工事の入札参加資格を申請する場合は、許可の取得が実質的に必須となります。
建設業許可の種類
大臣許可と知事許可
営業所の所在地によって許可の区分が異なります。
| 区分 | 対象となる営業所 | 許可権者 |
|---|---|---|
| 大臣許可 | 2つ以上の都道府県に営業所あり | 国土交通大臣 |
| 知事許可 | 1つの都道府県内のみに営業所あり | 各都道府県知事 |
なお、知事許可であっても、他の都道府県での工事施工は可能です(営業所を設けていない都道府県の工事でも受注できます)。
一般建設業と特定建設業
発注者から直接工事を請け負う場合、下請に発注する金額によって「一般」と「特定」に区分されます。
| 区分 | 下請発注額の基準 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 一般建設業 | 下請発注額が4,500万円未満(建築一式は7,000万円未満) | 中小規模工事が主体の事業者向け |
| 特定建設業 | 下請発注額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上) | 大規模工事で多くの下請を使う事業者向け。要件が厳しい |
29業種の一覧
建設工事は2つの一式工事と27の専門工事に分類されます。許可はこの業種単位で取得します。
| 区分 | 業種(計29種) |
|---|---|
| 一式工事(2種) | 土木一式工事、建築一式工事 |
| 専門工事(27種) | 大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、石工事、屋根工事、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、舗装工事、しゅんせつ工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、機械器具設置工事、熱絶縁工事、電気通信工事、造園工事、さく井工事、建具工事、水道施設工事、消防施設工事、清掃施設工事、解体工事 |
許可取得の5要件
建設業許可を取得するには、以下5つの要件をすべて満たす必要があります(建設業法第7条・第15条)。
1. 経営業務の管理責任者(常勤役員等)
建設業に関して5年以上の経営業務管理責任者としての経験を有する常勤役員等が1名以上いること。または、一定の経験を持つ役員と補佐者の組み合わせで要件を満たすことも可能です。
2. 専任技術者
営業所ごとに、許可を受けようとする業種の国家資格(1・2級施工管理技士、建築士など)を保有するか、または10年以上の実務経験を有する専任技術者を配置する必要があります。特定建設業は一般建設業より要件が厳しくなります。
3. 財産的基礎
一般建設業では、自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力があることが要件です。特定建設業ではより厳しい財務基準(資本金2,000万円以上など)が求められます。
4. 誠実性
申請者(法人の場合は役員等)が建設業に関する法令や請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと。
5. 欠格要件に該当しないこと
建設業法違反による免許取消しから5年を経過していない者、成年被後見人・破産者(復権を得た者を除く)などに該当しないことが必要です。
申請の流れと窓口
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 要件確認 | 5要件をすべて満たしているか確認。専任技術者・経営管理責任者の該当者を特定する |
| ② 書類収集・作成 | 登記簿謄本・財務諸表・実務経験証明書・納税証明書などを収集・作成する |
| ③ 申請 | 知事許可:本社所在地の都道府県窓口 大臣許可:国土交通省地方整備局等 |
| ④ 審査・許可 | 標準処理期間:知事許可で約30〜45日、大臣許可で約3か月 |
| ⑤ 許可取得後 | 有効期間5年。期間満了の30日前までに更新申請が必要 |
公共工事入札との関係
建設業許可はあくまで「建設工事を請け負って営業できる」ライセンスです。国や自治体が発注する公共工事の一般競争入札・指名競争入札に参加するには、さらに以下のステップが必要です。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 建設業許可の取得 | 入札参加の前提条件。許可業種が入札案件の工事種別と一致している必要がある |
| 経営事項審査(経審)の受審 | 公共工事の入札に参加するための客観的評価(P点・W点などを算出)。許可業種ごとに受審が必要 |
| 入札参加資格の申請・登録 | 発注機関ごとに入札参加資格を申請し、名簿に登録される。経審の結果(総合評定値)が格付けに影響する |
つまり「建設業許可 → 経審受審 → 入札参加資格申請 → 入札参加」という順番が基本的な流れです。建設業許可がなければ経審は受けられず、公共工事の入札参加資格も得られません。
よくある質問
Q. 許可のない業種の工事を下請けに発注することはできますか?
A. 元請として発注者から受注した工事について、自社が許可を持たない業種を下請けに発注することは可能です。ただし、自ら施工する場合はその業種の許可が必要です。
Q. 個人事業主でも建設業許可を取得できますか?
A. 取得できます。ただし、個人事業主が法人化した場合、許可は引き継がれないため、法人として新たに申請する必要があります。
Q. 建設業許可を取得すれば、すぐに公共工事に入札できますか?
A. 許可取得だけでは入札できません。経営事項審査(経審)の受審と、各発注機関への入札参加資格申請・登録が別途必要です。
Q. 許可を更新しなかった場合どうなりますか?
A. 有効期限(5年)が過ぎると許可は失効します。失効後に許可が必要な工事を受注すると建設業法違反となり、罰則(懲役・罰金)の対象になります。必ず期限前に更新手続きを行ってください。
まとめ
- 建設業許可は工事規模(500万円以上)を超える受注に必要な、建設業法に基づくライセンス
- 大臣許可・知事許可(営業所の都道府県数)と、一般・特定(下請発注額)の組み合わせで4区分ある
- 取得には経営業務管理責任者・専任技術者・財産的基礎・誠実性・欠格要件の5要件を満たす必要がある
- 公共工事入札には許可取得後に経営事項審査(経審)→ 入札参加資格申請の手順が必要
- 許可の有効期間は5年。期限前の更新申請を忘れずに
建設業許可は公共工事受注の入口です。許可取得後の入札参加資格申請や経審対策については、経営事項審査と入札の関係性の記事も参照してください。
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