広告プロポーザルの傾向と参入戦略|デジタル広告案件の最新動向を徹底分析

この記事のポイント

・広告プロポーザルはデジタル領域が主流:SNS広告運用、Web広告配信、動画制作など、デジタルマーケティング関連の案件が急増しており、従来のマス広告からの転換が進んでいます

・自治体発注が中心で年度末〜年度初めに集中:都道府県・市区町村からの発注がほぼ全てを占め、1月〜3月の公告・4月開始というスケジュールが一般的です

・実績重視だが新規参入の余地あり:過去3年間の類似業務実績が評価される一方、小規模案件からの段階的な実績構築により中小企業にも参入機会があります

広告プロポーザル市場は、いま大きな転換点を迎えています。 自治体の広報予算がデジタル領域へシフトする中、SNS広告運用やWeb広告配信の案件が急増しており、広告代理店やWebマーケティング企業にとって見逃せない受注機会が広がっています。

本記事では、実際の募集案件を調査・分析した結果をもとに、広告プロポーザルの最新傾向と参入戦略を解説します。

目次

広告プロポーザルとは何か

価格競争ではなく、企画力で勝負できる調達方式です。

プロポーザル方式は、自治体などが業務を外部委託する際の選定方法のひとつです。最低価格で落札が決まる競争入札とは異なり、企画内容や事業者の実施体制、過去の実績などを総合的に評価して契約先を決定します。

なぜ広告分野でプロポーザル方式が採用されるのか。それは、広告業務が単なる作業代行ではなく、創造的な企画力と専門的なマーケティング知見が求められる分野だからです。同じ予算でも、どのような戦略で広告を展開するかによって成果は大きく変わります。自治体としても、価格だけで業者を選ぶのではなく、より良い提案をしてくれる事業者と組みたいというニーズがあるのです。

石川県、北海道、横浜市、富山県など、全国の自治体がこの方式を採用しています。参入を検討するなら、まずこの仕組みを理解することが第一歩となります。

広告プロポーザルの主要4カテゴリ

案件は大きく4つの分野に分類できます。自社の強みに合った領域を見極めましょう。

デジタル広告・SNS運用系

現在、最も案件数が多いのがこの分野です。

石川県の「デジタル広告を活用した県政情報発信業務」、北海道の「SNS等ウェブ広告を活用した道政広報実施業務」など、自治体の情報発信をデジタル領域で支援する案件が各地で公募されています。北海道の案件では年間30回程度の広告実施が想定されており、継続的な運用体制の構築が求められます。

山口県長門市や岐阜県関市のように、移住定住促進を目的としたSNS広告運用を単独で募集するケースも増えています。こうした特定目的に絞った案件は規模が小さくなる傾向がありますが、新規参入企業にとっては実績を積む絶好の機会です。

シティプロモーション・地域ブランディング系

都市の魅力発信やブランド価値向上を目的とした案件です。

横浜市の「居住促進プロモーションに係る広告掲載業務」や「Instagramを活用した都市ブランド向上プロモーション業務」が代表例です。これらの案件は、単発の広告配信にとどまらず、戦略策定からコンテンツ制作、運用、効果測定まで包括的な業務を含むことが特徴です。

地域ブランディングの観点から一貫したメッセージやビジュアルアイデンティティの構築が求められるため、企画力とクリエイティブ制作能力の両方を評価される分野といえます。

観光PR・誘客促進系

観光客誘致を目的とした案件も活発です。

富山県の「観光PR動画制作事業」、大分県の「多言語公式SNS運用及び大阪・関西万博を契機とした大分県への誘客促進のための情報発信業務」など、国内外からの観光客獲得を目指す案件が各地で募集されています。

観光PR系の特徴として、動画コンテンツの重要性が高い点が挙げられます。観光地の魅力は静止画だけでは伝えきれないため、PR動画の制作が業務内容に含まれるケースが多くなっています。インバウンド対応として多言語コンテンツ制作のニーズも高まっています。

ふるさと納税プロモーション系

近年急増している注目分野です。

横浜市の「WEBマーケティングを活用した横浜市ふるさと納税プロモーション業務」、京都市の「ふるさと納税等プロモーション業務」など、寄附額増加を目的としたデジタルマーケティング業務が全国で募集されています。

この分野の特徴は、成果が数字で明確に測定できる点にあります。寄附額の増減がダイレクトにプロモーション効果として評価されるため、データドリブンなマーケティング能力が強く求められます。北海道紋別市ではYahoo!広告活用でROAS552%を達成、佐賀県有田町ではInstagram・Facebook広告転換により前年比1.8億円増を実現するなど、成功事例も蓄積されてきています。

発注者の傾向と案件規模

発注元はほぼ100%が自治体。予算規模は数百万円から5,000万円超まで幅広い。

発注主体の特徴

調査で確認した広告プロポーザル案件は、そのほぼすべてが地方自治体(都道府県・市区町村)からの発注でした。民間企業からの広告プロポーザルは一般的ではなく、民間では入札やコンペ形式、直接発注が主流となっています。

都道府県レベルでは広報広聴課、観光課、政策推進課などが担当部署となります。市区町村では企画政策課、観光課、ふるさと納税担当課が発注元となるケースが多く確認されました。出雲観光協会のように、地域の観光振興を担う外郭団体からの案件も存在します。

つまり、広告プロポーザルへの参入は「自治体ビジネスへの参入」を意味します。

予算規模の傾向

予算規模は案件内容によって大きく異なります。

小規模案件(数百万円程度) は、単発のSNS広告運用やバナー制作など、特定媒体に限定した案件が該当します。山口県長門市の「SNS広告運用業務」のような移住定住促進目的の案件がこの層に含まれます。新規参入企業が最初に狙うべき領域です。

中規模案件(1,000万円〜3,000万円程度) は、年間を通じたデジタル広告運用や複数媒体を組み合わせたプロモーション案件です。北海道の道政広報案件など、年間30回程度の広告実施を含む案件がこの範囲に該当すると推測されます。

大規模案件(5,000万円以上) は、総合的なシティプロモーションや大規模観光PR、ふるさと納税関連の包括的な業務委託です。実績と実施体制の両面で高い要件が課されます。

契約期間は単年度が基本ですが、横浜市のように毎年継続して募集される案件も多く、安定的な受注機会となり得ます。

参加資格と評価基準

入札参加資格の取得が必須。ただし、特別な資格は不要で参入障壁は比較的低い。

基本的な参加要件

広告プロポーザルへの参加には、各自治体の入札参加者資格名簿への登録が必要です。これは地方自治法施行令に基づく要件であり、公共調達に参加するための基本条件となります。

重要なポイントとして、広告代理店を起業するために特別な資格は必要ありません。法人格を有していれば、必要書類を揃えて申請することで資格を取得できます。ただし、申請から登録までに一定期間を要するため、参入を検討する企業は早めの準備が推奨されます。

資格取得自体は難しくありませんが、計画的な準備が必要という点を押さえておきましょう。

実績要件の実態

多くの自治体が「過去3年間の類似事業の主な受託等の実績」の提出を求めています。岐阜県関市のプロポーザルでは「会社概要及び過去3年間の類似事業の主な受託等の実績」の様式提出が必須となっています。

評価される実績の例として、自治体や公共機関からの受託実績、同規模以上の広告運用実績、類似分野(観光、移住定住など)でのプロモーション経験が挙げられます。

ただし、実績要件が厳格すぎると新規参入が困難になるという問題があるため、一部の案件では実績要件を緩和したり、加点要素として扱ったりするケースもあります。共同事業体(JV)での参加を認める案件も存在し、実績のある企業とパートナーシップを組むことで参入障壁を下げることが可能です。

評価のポイント

群馬県の案件では、審査項目として以下の観点が示されています。

目的の適合性は、業務の趣旨・目的等の理解度を評価する項目です。発注者である自治体が何を達成したいのかを正確に把握し、その目的に沿った提案ができているかが問われます。

実施体制では、業務遂行能力と類似業務の実績が評価されます。Google広告認定資格やMeta認定資格、LINE Biz-Solutions Partner認定などを保有する人材の配置が加点要素となることがあります。

実現可能性は、具体的で実現可能な提案であるか、適切で効果的な内容であるかを評価します。

なお、多くの案件ではプレゼンテーションを行わず書面審査のみで選定するケースも見られます。企画提案書の完成度が勝敗を分けるといえます。

募集時期と年間スケジュール

案件は年度末〜年度初めに集中。この時期を逃すと1年間参入機会がない可能性も。

募集のピーク期

広告プロポーザルは、年度末から年度初めにかけて集中する傾向が顕著です。多くの自治体が新年度予算に基づいて業務を発注するため、1月〜3月に公告・募集を行い、4月からの業務開始を見据えたスケジュールが一般的となっています。

石川県の「デジタル広告を活用した県政情報発信業務」では、「3月7日公告、3月14日参加申込締切、4月3日企画提案書提出締切」というタイムラインが設定されています。参加申込から企画提案書提出まで約3週間という比較的短い期間で準備を進める必要があります。

注意すべき点として、富山県の案件では「本プロポーザルは、富山県令和7年度当初予算成立を前提とした年度開始前の事前準備手続きであり、予算成立後に効力を生じる業務」と明記されています。予算不成立のリスクが存在することを理解しておく必要があります。

年間を通じた準備の重要性

案件情報は自治体のホームページや入札情報サービスで公開されますが、公告から提出締切までの期間が短いため、事前の準備が勝敗を分けます。

10月〜12月は翌年度の予算編成時期です。自治体がどのような事業を計画しているか情報収集を行うことで、翌年度の案件傾向を予測できます。入札参加資格の取得・更新手続きもこの時期に行っておくと安心です。

1月〜3月は案件公告のピーク期。複数の自治体に同時並行で応募する場合は、提案書作成のリソース配分を計画的に行う必要があります。

4月以降は受注した業務の実施期間となりますが、補正予算や緊急的な案件が出てくることもあります。ふるさと納税関連では年末の寄附繁忙期に向けた追加プロモーション案件が秋口に募集されることもあるため、通年で情報収集を続けることが重要です。

継続的に募集される案件

横浜市では「居住促進プロモーションに係る広告掲載業務」「Instagramを活用した都市ブランド向上プロモーション業務」など、複数の広告関連業務を毎年度募集しています。

このような定期案件は、前年度の仕様書や募集要項を参考にできるというメリットがあります。過去の情報を分析することで、自治体が重視するポイントや評価基準の傾向を把握し、より精度の高い提案書を作成することが可能です。

競争環境と参入戦略

参入障壁は比較的低いが、実績重視の評価構造。段階的なアプローチが成功の鍵。

市場の競争状況

広告プロポーザル市場は、参入障壁が比較的低い分野といえます。広告代理店を起業するために特別な資格は必要なく、入札参加資格の取得も比較的容易であるため、中小規模の広告代理店やWebマーケティング会社にも参入機会があります。

一方で、実績重視の評価基準により、大手広告代理店や自治体向け広告に特化した事業者が有利になる構造があることも事実です。プロポーザル方式では企画内容だけでなく事業者の方針や実施体制、過去の実績、地域への貢献度なども評価対象となります。

デジタル広告分野は参入企業が増加しており、SNS広告運用やWeb広告配信の案件では複数社が応募するケースが多いと推測されます。一方、地域密着型の案件や特殊な専門性を要する案件では競合が限定される可能性があります。

新規参入の現実的な戦略

新規参入企業がプロポーザルで成果を上げるためには、段階的なアプローチが有効です。

第一段階:小規模案件から実績を積み上げる。 数百万円規模の単発案件や、比較的実績要件が緩い案件から参入し、着実に受託実績を構築していきます。山口県長門市のようなSNS広告運用単独の案件は、新規参入企業にとって狙い目です。

第二段階:共同事業体(JV)での参加を検討する。 ふるさと納税関連など多岐にわたる業務を含む案件では、複数企業の連携による参加が認められているケースがあります。実績のある企業とパートナーシップを組むことで、参入障壁を下げることが可能です。

第三段階:専門領域に特化して差別化する。 観光分野、ふるさと納税、移住定住など、特定の領域に専門性を持つことで、大手広告代理店との競合を避けながら独自のポジションを構築できます。

地元企業であることが加点要素となる案件や、地域への貢献度が評価される案件では、大手よりも地域に根差した企業が有利になることがあります。

提案書で差をつけるポイント

プロポーザルの成否は、企画提案書の質に大きく左右されます。

発注者である自治体の課題を正確に理解し、その解決策を具体的に提示することが基本です。仕様書や募集要項を精読し、自治体が何を求めているのかを把握することが第一歩。単なる広告配信ではなく、その先にある政策目標(移住者増加、観光客誘致、ふるさと納税寄附額向上など)を理解した上で提案を組み立てます。

具体的な数値目標と達成手段を明示することも重要です。「認知度向上を図る」といった曖昧な表現ではなく、「Instagram広告でリーチ数○○を目標とし、ターゲット層に対して月○回の配信を行う」など、具体的な計画を示します。

過去の類似案件の成功事例を盛り込むことも効果的です。自社の強みや独自性が伝わるよう工夫しましょう

近年の傾向と今後の展望

デジタルシフトは加速の一途。効果測定能力とデータ分析力がますます重要に。

デジタル領域への急速なシフト

広告プロポーザルにおいて最も顕著な傾向は、デジタル領域への急速なシフトです。紙媒体やテレビCM中心だった自治体広報が、SNS広告、動画広告、ディスプレイ広告へと移行しており、プロポーザル案件もデジタル領域が主流となっています。

総務省の調査によると、全世界の広告市場のうちデジタル広告が55%以上を占めると見込まれており、自治体においても同様の変化が進んでいます。

特に縦型ショート動画への注目が高まっています。今治市の「デジタルプロモーション事業」では、スマートフォン向けの縦型ショート動画制作とアカウント運用が業務内容に含まれており、TikTokやInstagramリールなど新しい媒体への対応が求められています。

効果測定・データ分析の重視

広告配信後の効果検証やレポーティング、KPI達成状況の可視化が業務仕様に含まれるケースが増えています。

北海道の「SNS等ウェブ広告を活用した道政広報実施業務」では、広告実施後に効果を検証し、効果測定結果(レポート)を提出することが業務内容に明記されています。

自治体は税金を使って広告を出稿するため、その費用対効果を住民に説明する責任があります。データドリブンなマーケティング能力が強く求められる傾向は今後も続くでしょう。

内製化支援という新たなニーズ

興味深い傾向として、自治体職員のスキルアップを含む業務委託のニーズが出てきています。

出雲観光協会の案件では「広告運用等の将来的な内製化」を目的として、協会職員のスキルアップを同時に達成することが業務目標に掲げられています。

単なる業務代行ではなく、自治体側の能力向上を支援する提案が評価される傾向があります。ノウハウ移転を前提としたコンサルティング型のアプローチは、長期的な信頼関係構築にもつながります。

参入準備の具体的ステップ

入札参加資格の取得、社内体制の整備、実績構築。この3つを計画的に進めましょう。

入札参加資格の取得

第一歩は、入札参加資格の取得です。各自治体ごとに申請が必要となり、通常は年1回または随時の受付期間が設けられています。参入を検討する地域の自治体について、資格申請のスケジュールと必要書類を確認し、早めに準備を進めましょう。

全国規模で案件を獲得したい場合は、複数の自治体に対して資格申請を行う必要があります。都道府県と市区町村では別々の資格となるため、効率的な申請計画が求められます。

社内体制の整備

プロポーザルへの参加は、提案書作成から受注後の業務遂行まで、相応のリソースを必要とします。専任または兼任の担当者を配置し、情報収集から提案書作成、プレゼンテーション対応まで一貫して対応できる体制を整備することが重要です。

特に1月〜3月の繁忙期には、複数の案件に同時対応する必要が出てくることがあります。提案書作成のテンプレート化や、過去の提案内容のナレッジ蓄積など、効率的な業務プロセスを構築しておきましょう。

段階的な実績構築

新規参入企業は、以下のようなステップで実績を構築していくことを推奨します。

ステップ1:小規模な単独業務案件から参入。 SNS広告運用のみ、バナー制作のみなど、業務範囲が限定された案件は実績要件も緩い傾向があります。確実に成果を出し、次の案件につなげる基盤を作ります。

ステップ2:同一自治体での継続受注を目指す。 一度受注した自治体との関係を深め、翌年度の継続受注や関連案件の受注につなげます。実績と信頼関係が蓄積されることで、より大規模な案件への参入機会が広がります。

ステップ3:複合的なプロモーション案件への参入。 企画から運用、効果測定まで一貫して受託できる体制を整え、自治体のパートナーとしての地位を確立します。

まとめ

広告プロポーザルは、企画力とデータ分析力で勝負できる成長市場です。

広告プロポーザルは、自治体の広報・プロモーション業務を受託する重要な機会です。デジタル広告やSNS運用、シティプロモーションといった領域では案件数が増加しており、中小規模の広告代理店やWebマーケティング企業にも参入の余地があります。

成功のポイントは3つ。第一に、自治体の政策目標を理解した上での提案。 単なる広告配信ではなく、移住促進や観光誘客など、自治体が達成したい成果を見据えた企画が求められます。

第二に、データに基づく効果測定能力。 税金を財源とする自治体広報では、費用対効果の説明責任が重視されます。ROASやCPAなど、成果を数字で示せる能力が競争優位性につながります。

第三に、段階的な実績構築。 小規模案件から着実に実績を積み、信頼関係を築いていくアプローチが現実的です。

年度末から年度初めにかけての募集集中期に備え、入札参加資格の取得や社内体制の整備など、年間を通じた準備が重要です。デジタルシフトの加速、効果測定の重視、内製化支援へのニーズなど、市場は変化を続けています。

これらの傾向を踏まえ、自社の強みを活かした参入戦略を検討してみてはいかがでしょうか。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

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