概算契約とは?確定契約との違いと精算の仕組みを解説

概算契約とは?確定契約との違いと精算の仕組みを解説

国や自治体の委託業務を受注すると、契約書に「概算契約」と記されていることがあります。通常、契約は金額が決まってから結ぶものと考えがちですが、概算契約は金額が確定しないまま概算額で契約し、業務が終わった後に実際にかかった経費で精算する仕組みです。調査や研究、災害対応など、始める時点では費用がはっきり見通せない業務でよく使われます。受注する企業にとっては、経費の管理や証憑の整理など、確定契約とは違った対応が求められます。本記事では、概算契約とは何か、確定契約とどう違うのか、そして精算の実務までを解説します。

この記事のポイント

  • 概算契約は、契約時に金額を確定させず概算額で結び、履行後に精算する契約方式
  • 契約時に金額が確定する確定契約とは、精算の有無が大きく異なる
  • 受注者は経費の証憑を整え、実際にかかった費用を精算処理する必要がある

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目次

概算契約とは

概算契約とは、契約を結ぶ時点では契約金額を確定させず、概算の金額で契約し、業務の履行が完了した段階で実際にかかった経費に基づいて金額を確定させる契約方式です。契約時にはあくまで「見込みの額」で合意し、後から実費に応じて精算します。多くの場合、概算額を上限として、その範囲内で実際に要した経費を支払う形が取られます。

この方式が使われるのは、契約の時点では費用を正確に見積もれない業務です。たとえば、調査の範囲が進めてみないと確定しない調査業務、途中で設計変更が想定される業務、災害復旧のように緊急で始めなければならず事前の積算が難しい業務などです。こうした業務で、無理に金額を固定して契約すると、実態と合わなくなります。そこで、概算で契約しておき、実費で精算するという柔軟な仕組みが用いられます。国の委託契約では、実に多くが概算契約となっているとされ、委託業務における一般的な契約方式の一つです。委託契約全般の考え方は業務委託とはもあわせてご覧ください。

確定契約との違い

概算契約と対になるのが確定契約です。確定契約は、契約を結ぶ時点で契約金額が確定しているもので、履行後に精算は行いません。約束した金額で業務を行い、その金額が支払われます。私たちが一般にイメージする契約は、この確定契約です。建設工事の請負契約などは、ほとんどが確定契約であり、契約時に決めた金額で工事を完成させます。

両者の最大の違いは、精算の有無です。確定契約では、実際にかかった費用が契約金額より多くても少なくても、支払われるのは契約金額です。効率よく安く仕上げれば、その差は受注者の利益になり、逆に想定より費用がかさめば受注者の負担になります。これに対して概算契約では、実費に基づいて精算するため、かかった費用が概算額より少なければ、その分は支払われません。無駄なく業務を行っても、その分が利益として残るわけではない点が、確定契約と大きく異なります。

どちらの方式が使われるかは、業務の性質によります。成果物や作業内容が明確で、費用を事前に見積もれる業務は確定契約に向きます。逆に、費用が始める時点で見通せない業務は概算契約になじみます。委託業務では概算契約が多く、請負では確定契約が多い、という傾向があるのは、業務の性質の違いを反映したものです。自社が受注する契約がどちらかによって、費用管理や利益の考え方が変わるため、契約方式を確認することが大切です。

精算の仕組み

概算契約で最も重要なのが、履行後の精算です。業務が完了すると、受注者は実際にかかった経費を集計し、発注者に報告します。発注者は、その経費が業務の遂行に本当に必要だったか、金額が妥当かを確認したうえで、認められた経費に対して支払いを行います。概算額はあくまで上限であり、実費がそれを下回れば、支払われるのは実費分にとどまります。かかった経費すべてが自動的に認められるわけではない点に注意が必要です。

精算にあたっては、経費の裏づけとなる証憑類の提出が求められます。契約書や見積書、請求書、業務日誌、領収書など、その経費が実際に発生し、業務に必要だったことを示す書類を整えて提出します。発注者はこれらを確認し、証憑で裏づけられた経費のみを支払対象とします。つまり、証憑がそろっていない経費や、業務との関連が説明できない経費は、精算で認められないことがあります。日々の経費を、証憑とともに正確に記録・保管しておくことが、概算契約を滞りなく精算するための鍵になります。

この精算の仕組みは、公金が適正に使われることを担保するためのものです。概算で契約する以上、実際に使われた費用を厳密に確認しなければ、過大な支払いが生じかねません。そのため、精算の手続きは厳格に運用され、証憑の確認も丁寧に行われます。受注者にとっては事務負担が大きくなりますが、これは公金の適正な支出を守るための必要な手続きだと理解しておくとよいでしょう。

受注者に求められる実務

概算契約を受注した企業には、確定契約にはない実務が求められます。まず、経費の適切な管理です。業務にかかった費用を、費目ごとに整理し、証憑とともに記録します。人件費、旅費、資材費、外注費など、契約で認められている経費の範囲を把握し、その範囲内で費用を管理する必要があります。契約で定められた経費区分に沿って記録しておかないと、精算の段階で整理に手間取ります。

次に、証憑類の整備です。前述のとおり、精算では証憑が確認されるため、領収書や請求書、業務日誌などを、業務の進行に合わせて確実に残しておく必要があります。後からまとめて整理しようとすると、証憑が見つからなかったり、記録が曖昧だったりして、認められるはずの経費が精算できなくなる恐れがあります。日々こまめに記録・保管する体制を整えておくことが、精算をスムーズに進めるうえで欠かせません。

さらに、経費区分のルールや、認められる経費の範囲を、契約時によく確認しておくことも重要です。何が経費として認められ、何が認められないのかは、契約や委託業務のマニュアルで定められています。認められない経費を使ってしまうと、その分は精算されず、自社の負担になります。委託業務の事務処理マニュアルなどが示されている場合は、それを読み込み、ルールに沿った経費の使い方と記録を徹底することが、トラブルを避けるコツです。

概算契約で注意したいこと

概算契約に取り組む際に、いくつか注意しておきたい点があります。まず、概算額が上限である以上、その範囲を超える経費は原則として支払われません。業務を進める中で、費用が概算額を超えそうだと分かったら、早めに発注者に相談する必要があります。無断で概算額を超える費用をかけても、超過分は自社の負担になりかねません。増額が必要な事情があれば、契約変更の手続きを取ることになります。契約変更の手続きは変更契約書とはもあわせてご覧ください。

また、概算契約では、効率化によるコスト削減が自社の利益に直結しにくい構造にも留意が必要です。確定契約なら、安く仕上げた分が利益になりますが、概算契約では実費精算のため、費用を抑えても支払いが減るだけで、利益が増えるとは限りません。この違いを理解したうえで、業務の質を保ちながら、認められる範囲で適切に経費を使うという意識が求められます。概算契約は、費用の柔軟性がある反面、利益の出し方が確定契約とは異なることを踏まえて臨むことが大切です。

加えて、精算の時期と、それまでの資金繰りにも配慮が必要です。実費が確定して精算されるまでには時間がかかることがあり、その間は自社が経費を立て替える形になります。業務にかかる費用をいったん自社で負担し、後から精算で回収する流れになるため、資金繰りに余裕を持っておくことが求められます。特に規模の大きい業務では、立て替えの負担も大きくなるため、資金計画を立てておくと安心です。なお、契約によっては前金払や部分払といった形で、業務の途中に一部が支払われる仕組みが設けられていることもあり、これらを活用できれば立て替えの負担を軽くできます。

もう一点、発注者側の会計検査という観点も意識しておくとよいでしょう。概算契約は実費精算であるため、支払われた経費が適正だったかが、後から会計検査などで確認される対象になり得ます。精算が終わったからといって記録を処分してしまうのではなく、証憑類は所定の期間、きちんと保管しておく必要があります。検査で経費の根拠を問われたときに、証憑をもって説明できる状態を保っておくことが、受注者としての信頼にもつながります。概算契約は、契約から精算、さらにその後の記録保管まで、一貫して適正さが求められる契約方式だと捉えておくと、対応に抜けが生じにくくなります。

見積り段階で意識したいこと

概算契約を前提とする案件では、見積りの段階から確定契約とは違う視点が必要です。概算額は上限となるため、業務を確実に遂行できる費用を、余裕をもって見込んでおくことが大切です。概算額を低く見積もりすぎると、実際にかかった費用がそれを超えたときに、超過分を回収できなくなります。かといって過大に見積もれば、そもそも受注しにくくなります。業務の内容を精査し、必要な経費を漏れなく、かつ現実的に積み上げることが求められます。

特に、費用が読みにくい業務だからこそ概算契約が使われている点を踏まえ、想定される変動要素をあらかじめ洗い出しておくと安心です。調査の範囲が広がる可能性、追加の作業が生じる可能性、資材の価格変動などを見込み、それらが起きたときにどう対応するかを考えておきます。見積りの根拠を明確にしておけば、精算の際にも、なぜその経費が必要だったのかを説明しやすくなります。概算契約は柔軟な仕組みである一方、費用の妥当性を後から問われるため、見積りと実費の両面で説明責任を果たせる準備が欠かせません。積算の考え方は積算とはもあわせてご覧ください。

よくある質問

概算額より安く済んだら差額はもらえますか

いいえ。概算契約は実費精算のため、概算額を下回った場合は実際にかかった経費分のみが支払われます。差額が利益として残る確定契約とは異なります。安く仕上げても支払いが減るだけで、利益が増えるわけではない点に注意が必要です。

証憑がない経費は精算できませんか

証憑で裏づけられない経費や、業務との関連が説明できない経費は、精算で認められないことがあります。領収書や請求書、業務日誌などを業務の進行に合わせて確実に残し、費目ごとに整理しておくことが、確実に精算するために欠かせません。

概算額を超えそうなときはどうすればよいですか

概算額は上限のため、超過分は原則支払われません。費用が概算額を超えそうだと分かった段階で、早めに発注者に相談してください。正当な事情があれば、契約変更で増額の手続きが取られることがあります。無断で超過すると自社負担になりかねません。

まとめ

概算契約は、契約時に金額を確定させず概算額で結び、履行後に実費で精算する契約方式です。費用が事前に見通せない調査・研究や災害対応などの委託業務で多く用いられます。契約時に金額が確定し精算のない確定契約とは、精算の有無という点で大きく異なります。受注者は、経費を費目ごとに管理し、証憑を確実に整えて精算処理を行う必要があり、確定契約にはない事務が求められます。概算額が上限であること、効率化が利益に直結しにくいこと、精算までの立て替えが生じることを理解し、ルールに沿った経費管理と資金計画で臨むことが、概算契約を滞りなく進める鍵です。関連して業務委託とは変更契約書とはもあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。契約方式や精算の運用は発注機関や案件により異なる場合があります。具体的な内容は各発注機関の委託事務マニュアルや契約書等の一次情報をご確認ください。

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