官公需法とは?中小企業の受注機会を確保する仕組みと活用

官公需法とは?中小企業の受注機会を確保する仕組みと活用

官公庁の入札は、大企業でなければ受注できないと思われがちです。しかし実際には、中小企業が国や自治体の仕事を受注しやすくするための法律が存在します。それが官公需法です。国や自治体などが物品やサービス、工事を調達する際に、中小企業に一定の受注機会を確保するよう定めた法律で、中小企業にとっては官公庁ビジネスへの入口を広げる後押しになっています。本記事では、官公需法とは何か、どんな仕組みで中小企業の受注を支えているのか、そして中小企業がどう活用できるのかを、実務目線で解説します。

この記事のポイント

  • 官公需法は、国や自治体などの調達で中小企業の受注機会を確保する法律
  • 国は毎年、中小企業向けの契約目標を定めた基本方針を閣議決定する
  • 官公需適格組合の認定など、中小企業を後押しする仕組みが設けられている

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目次

官公需法とは

官公需法は、正式には「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」といいます。1966年(昭和41年)に制定された、条文数が10に満たない小さな法律ですが、中小企業が官公庁の仕事を受注する機会を確保するという、明確な目的を持っています。ここでいう「官公需」とは、国や独立行政法人、都道府県、市区町村といった公的な機関が、物品を購入したり、サービスの提供を受けたり、工事を発注したりすることを指します。

この法律が生まれた背景には、公共の調達において、資本力や実績で勝る大企業に受注が偏りやすいという課題があります。放っておけば、中小企業は官公庁の仕事に参入しにくくなり、その活力が生かされません。そこで、国や自治体などに対して、中小企業の受注機会を確保するよう努めることを求めたのが官公需法です。中小企業の育成と、公共調達における公平な参入機会の両立を図る仕組みだといえます。官公庁との取引の全体像は官公庁とはもあわせてご覧ください。

官公需法には罰則の規定はありません。国や自治体に義務を課して違反を罰するのではなく、中小企業の受注機会を確保するよう努める方向性を示し、そのための施策を国に求める、という性格の法律です。それでも、この法律に基づいて毎年具体的な方針が示され、施策が講じられることで、中小企業の官公需受注は実際に後押しされています。理念を掲げるだけでなく、後述する基本方針を通じて実効性を持たせている点が特徴です。

契約目標を定める基本方針

官公需法の中核をなすのが、基本方針の仕組みです。国は毎年度、「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を定め、閣議決定します。この基本方針の中で、その年度に国などが中小企業と結ぶ契約の目標が示されます。国全体として、官公需のうちどれくらいの割合を中小企業に発注するかという目標を掲げ、その達成に向けて各省庁などが取り組む、という形です。

目標が数値として示されることには、大きな意味があります。単に「中小企業に配慮しましょう」という掛け声にとどまらず、具体的な契約目標を掲げることで、各機関が中小企業への発注を意識せざるを得なくなります。目標の達成状況は把握・公表され、翌年度以降の取り組みに反映されます。こうして、中小企業の受注機会の確保が、毎年のサイクルとして回る仕組みになっています。基本方針には、契約目標のほか、中小企業が受注しやすくするための具体的な措置も盛り込まれます。

基本方針で示される措置には、たとえば、分離・分割発注の推進があります。大きな案件を、まとめて一社に発注するのではなく、中小企業が受注できる規模に分けて発注することで、参入の機会を広げます。ほかにも、中小企業の技術力を活用する工夫や、新たに官公需に参入しようとする企業への配慮などが盛り込まれます。国だけでなく、地方自治体も、こうした国の基本方針を踏まえて、それぞれ中小企業の受注機会確保に取り組んでいます。

官公需適格組合という仕組み

官公需法に関連する仕組みの一つに、官公需適格組合の制度があります。これは、中小企業が単独では受注しにくい規模の案件に、組合として取り組めるようにするためのものです。事業協同組合などのうち、官公需の受注に対する意欲が高く、受注した契約を確実に履行できる共同の体制を整えている組合を、中小企業庁が官公需適格組合として証明します。

官公需適格組合には、競争入札の参加資格の審査において、特別な扱いが受けられるという利点があります。通常、入札参加資格は個々の企業の実績や財務状況で審査されますが、官公需適格組合の場合、組合を構成する企業の実績や財務を合算して評価してもらえることがあります。これにより、単独では届かない上位の等級に格付けされ、より大きな案件に参加できるようになる可能性があります。中小企業が力を合わせて、大きな仕事に挑むための仕組みだといえます。共同で受注する体制という点では共同企業体(JV)でのプロポーザル参加とも通じる発想です。

組合として受注することには、一社では負いきれない規模の業務を分担できる、専門性を補い合える、といったメリットもあります。一方で、組合内での役割分担や、責任の所在を明確にしておく必要があるなど、単独受注とは異なる調整も求められます。官公需適格組合の制度は、こうした共同受注を、官公需の文脈で公式に後押しするものとして位置づけられています。自社単独では難しい案件がある中小企業にとって、検討する価値のある選択肢です。

中小企業が官公需法を活用するには

中小企業が官公需法の後押しを活用するには、まず、官公需の情報を積極的に集めることが出発点です。国や自治体は、中小企業向けの官公需情報を提供する取り組みを行っており、中小企業団体などを通じて、発注情報が共有されています。こうした情報源を活用し、自社が参入できる案件を見つけることが、官公需ビジネスの第一歩です。そのうえで、必要な入札参加資格を取得し、参加できる態勢を整えます。参加資格の取得は入札参加資格の取得方法もあわせてご覧ください。

次に、自社の規模や強みに合った案件を選ぶことです。官公需法により、中小企業が受注しやすいよう分離・分割発注が進められている案件もあります。大企業と真正面から競合する大型案件よりも、中小企業の参入が想定された規模の案件のほうが、勝算が見込めることがあります。自社の実力に見合った案件を見極め、着実に実績を積んでいくことが、官公需ビジネスを軌道に乗せる近道になります。実績が少ない段階での戦い方はプロポーザルの実績要件も参考になります。

さらに、単独では難しい案件については、前述の官公需適格組合の活用や、他社との連携も選択肢になります。同業の中小企業が力を合わせることで、単独では届かない案件に挑めるようになります。官公需法は、こうした中小企業の努力を、国の政策として後押しする土台です。制度の存在を知り、情報収集・資格取得・案件選び・連携という各段階で、その後押しをうまく活用することが、中小企業が官公庁ビジネスで成果を上げるための鍵になります。

官公需に取り組む意義

中小企業が官公需に取り組む意義は、単に売上を増やすことだけではありません。官公庁との取引は、支払いの確実性が高く、経営の安定につながります。また、公共の仕事を受注した実績は、その後の入札での評価や、民間取引での信用にもつながります。一件の受注が、次の受注や、事業全体の信頼性向上への足がかりになるのです。官公需法は、こうした好循環に中小企業が入っていくための入口を広げています。

もっとも、官公需法があるからといって、努力なしに受注できるわけではありません。受注機会が確保される仕組みは整えられていても、実際に選ばれるには、適正な価格や、確かな履行能力、そして案件によっては提案の質が求められます。官公需法は、中小企業が土俵に上がりやすくするための仕組みであり、その土俵で勝つための実力は、自社で磨く必要があります。制度の後押しを活かしつつ、自社の競争力を高めていく姿勢が、官公需ビジネスで長く成果を上げるために欠かせません。

自治体における官公需の取り組み

官公需法は国の法律ですが、その趣旨は地方自治体の調達にも及びます。多くの自治体は、国の基本方針を踏まえ、地域の中小企業の受注機会を確保するための方針や取り組みを定めています。地元の中小企業を優先的に活用しようとする「地元優先発注」や、地域要件を設けて地域の事業者に参加を促す運用は、その表れです。自治体にとっては、地域の中小企業に仕事が回ることが、地域経済の活性化や雇用の維持にもつながるため、官公需を通じた地域振興という側面もあります。

そのため、中小企業が自治体の仕事を狙う場合、その自治体が地元企業をどう扱っているかを知っておくことが有利に働きます。地域要件が設けられている案件では、地元に拠点を持つ企業が優先されることがあり、地域に根ざした中小企業にとっては、大企業との競合を避けて受注できる機会になります。自社が拠点を置く自治体の官公需の方針を確認し、地元事業者としての強みを活かせる案件を探すことが、堅実な受注につながります。地域ごとの入札制度の違いは、当サイトの地域別の入札解説記事もあわせて参考にしてください。

一方で、地域要件があることは、その地域外の企業にとっては参入の壁にもなります。他の地域に展開したい中小企業は、進出先の自治体がどんな地域要件を設けているかを把握し、必要なら拠点の設置や、地元企業との連携を検討することになります。官公需における地域性は、地元企業には追い風、域外企業には向かい風という両面を持つため、自社の立ち位置に応じた戦略を考えることが求められます。

新規参入を後押しする仕組み

官公需法に基づく施策の中には、これまで官公庁の仕事をしたことがない企業の、新規参入を後押しするものもあります。官公需に初めて挑む企業にとっては、入札の仕組みや、必要な手続きが分からず、参入のハードルが高く感じられます。そこで、新規参入者向けの情報提供や、参入を促す配慮が、基本方針などで求められています。創業して間もない企業や、官公需に実績のない企業でも、挑戦しやすい環境を整えようという取り組みです。

新規に官公需へ参入したい中小企業は、こうした支援や情報を活用するとよいでしょう。中小企業向けの官公需の相談窓口や、入札の説明会などが設けられていることがあります。まずは小規模な案件から実績を作り、徐々に受注の幅を広げていくのが現実的な進め方です。最初の一件を受注できれば、その実績が次の受注につながり、官公需ビジネスの好循環に入っていけます。官公需法という後押しがある今、中小企業にとって、官公庁ビジネスへの参入は決して手の届かないものではありません。制度を知り、一歩を踏み出すことが、新たな事業機会を開く出発点になります。

よくある質問

官公需法があれば中小企業は必ず受注できますか

いいえ。官公需法は中小企業の受注機会を確保するための仕組みで、受注を保証するものではありません。実際に選ばれるには、適正な価格や履行能力、案件によっては提案の質が求められます。土俵に上がりやすくする後押しであり、勝つ実力は自社で磨く必要があります。

官公需適格組合になるとどんな利点がありますか

競争入札の参加資格審査で、組合を構成する企業の実績や財務を合算して評価してもらえることがあり、単独では届かない上位の等級に格付けされる可能性があります。これにより、より大きな案件に参加できるようになります。中小企業が共同で大きな仕事に挑むための仕組みです。

契約目標はどこで確認できますか

国が毎年度定め閣議決定する「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」で示されます。中小企業庁などの公表資料で確認できます。自治体も国の方針を踏まえて取り組んでいるため、参入したい自治体の官公需の方針もあわせて確認するとよいでしょう。

まとめ

官公需法は、国や自治体などの調達において、中小企業の受注機会を確保するための法律です。国は毎年度、中小企業向けの契約目標を定めた基本方針を閣議決定し、分離・分割発注の推進などの措置を通じて、中小企業の受注を後押ししています。官公需適格組合の制度を使えば、中小企業が力を合わせて大きな案件に挑むこともできます。中小企業がこの後押しを活かすには、官公需情報の収集、入札参加資格の取得、自社に合った案件選び、必要に応じた連携という各段階で、制度を上手に活用することが大切です。ただし、受注機会が広がっても、実際に選ばれる実力は自社で磨く必要があります。関連して官公庁とは入札参加資格の取得方法もあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。制度の内容や基本方針は年度により異なります。具体的な内容は中小企業庁や各機関の公表資料、e-Gov法令検索等の一次情報をご確認ください。

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