暴力団排除条項とは?公共契約での内容と事業者の対応を解説

暴力団排除条項(暴排条項)とは、契約の相手方が暴力団関係者であると判明した場合に、契約を解除できるようにしておく規定です。公共工事や自治体の業務委託では、契約書にこの条項が盛り込まれるのが標準になっており、下請契約や再委託契約にも及ぶよう求められます。入札参加の段階でも、暴力団関係者でないことの誓約を求められるのが通例です。公共の契約に参加する事業者にとって、暴排対応は避けて通れない基本的なコンプライアンスです。本記事では、暴力団排除条項とは何か、公共契約での内容、そして事業者が取るべき対応を解説します。
この記事のポイント
- 暴力団排除条項は、相手方が暴力団関係者と判明した場合に契約を解除できる規定
- 公共工事等では、下請契約・再委託契約を含めて排除を徹底することが求められる
- 入札参加時の誓約書や、契約後の下請の確認など、事業者側にも実務対応が必要
暴力団排除条項とは
暴力団排除条項とは、契約の相手方が暴力団や暴力団員、その関係者であることが判明した場合に、契約を解除できることを定めた規定です。反社会的勢力排除条項(反社条項)とも呼ばれます。通常の契約解除は、相手方の債務不履行など、契約違反があってはじめて認められますが、暴排条項では、暴力団関係者であると判明した時点で、催告することなく直ちに解除できるようにしておくのが一般的です。
公共の契約で暴排条項が重視されるのは、税金を原資とする公共事業から、暴力団の資金源を断つためです。国や自治体は、警察と連携して、公共工事等の請負業者から暴力団関係企業を排除する取組みを進めており、契約書への暴排条項の導入は、その中心的な手段の一つです。犯罪対策の閣僚会議でも、あらゆる公共事業等からの暴力団排除が方針として掲げられ、各発注機関が暴力団等排除要綱などを整備してきました。
また、各都道府県では暴力団排除条例が制定されており、事業者に対して、暴力団への利益供与の禁止や、契約時の暴排条項の導入といった努力義務・義務を定めています。契約書に暴排条項を入れることは、この条例を遵守することにもつながります。公共の契約に限らず、民間取引でも暴排条項を入れることが一般的になっているのは、こうした背景によります。
公共契約での暴排条項の内容
公共工事や業務委託の契約書に置かれる暴排条項は、おおむね次のような内容を含みます。
- 解除事由:受注者の役員等が暴力団員である、暴力団に経営を支配されている、暴力団を利用している、暴力団に資金等を提供している、暴力団と社会的に非難される関係にある、などに該当するとき
- 無催告解除:該当が判明したときは、催告なしに直ちに契約を解除できる
- 下請・再委託への適用:下請契約や再委託契約の相手方が該当する場合の措置(契約解除の要求など)
- 損害の負担:解除によって生じた損害について、受注者が責任を負うことなど
特に重要なのが、下請・再委託にも及ぶという点です。元請が暴力団と無関係であっても、下請や再委託先に暴力団関係企業が入り込めば、公共事業から暴力団を排除するという目的は果たせません。そのため、元請には、下請契約の相手方についても確認し、該当する場合には契約を解除させるなどの対応が求められます。下請の重層構造については下請負人とは、再委託の管理は再々委託とはをご覧ください。
入札参加の段階でも、暴力団関係者でないことを誓約する書面(誓約書)の提出を求められるのが通例です。誓約に反することが判明すれば、入札参加資格の取消しや、指名停止などの措置につながります。指名停止の仕組みは指名停止とはをご覧ください。
事業者が取るべき対応
公共契約に参加する事業者が取るべき対応を整理します。第一に、自社の体制の確認です。役員や実質的な支配者に、暴力団関係者が関与していないことは当然として、そうした関係を持たないための社内の方針・体制を整えておくことが求められます。反社会的勢力との関係遮断を明記した社内規程を設け、役職員に周知しておくことが基本です。
第二に、取引先の確認です。下請や資材の仕入れ先など、取引の相手方についても、暴力団関係者でないことを確認する必要があります。契約書に暴排条項を入れ、誓約を得ることが実務の基本になります。特に公共工事では、下請契約にまで排除が及ぶため、元請として下請の確認を行う責任があります。施工体制台帳などで下請の情報を把握する仕組みも、この確認に役立ちます。施工体制台帳は施工体制台帳とはをご覧ください。
第三に、不当要求への備えです。万一、暴力団関係者から不当な要求を受けた場合には、断固として拒否し、警察や暴力追放運動推進センターなどに速やかに相談することが重要です。要求に応じて金銭等を提供すれば、それ自体が「暴力団への利益供与」として、暴排条項の解除事由に該当し得ます。困ったときに一人で抱え込まず、外部の専門機関に相談できる体制を整えておくことが、企業を守ります。契約書に定められた義務の全体像は業務委託契約書とはもあわせてご覧ください。
よくある質問
暴排条項に該当するとどうなりますか
発注者は、催告することなく直ちに契約を解除できるとされるのが一般的です。あわせて、入札参加資格の取消しや指名停止などの措置につながることもあります。解除によって生じた損害についても、受注者側が責任を負う定めが置かれるのが通常です。
下請にも暴排条項は必要ですか
必要です。公共工事等では、下請契約や再委託契約を含めて暴力団を排除することが求められます。元請には、下請の相手方を確認し、該当する場合に契約を解除させるなどの対応が求められるため、下請契約にも暴排条項を入れておくのが基本です。
不当要求を受けたらどうすればよいですか
要求には応じず、警察や暴力追放運動推進センター等の専門機関に速やかに相談してください。要求に応じて金銭等を提供すると、暴力団への利益供与として、それ自体が契約解除の事由に該当し得ます。抱え込まずに相談することが重要です。
まとめ
暴力団排除条項とは、契約の相手方が暴力団関係者と判明した場合に、催告なしに契約を解除できるようにしておく規定です。公共工事や自治体の業務委託では標準的に盛り込まれ、下請契約・再委託契約にも排除を及ぼすことが求められます。入札参加時には誓約書の提出が求められるのが通例で、違反すれば資格の取消しや指名停止につながります。事業者は、自社の体制整備、取引先(特に下請)の確認、そして不当要求への備えという三点を押さえておく必要があります。公共の契約に参加する以上、暴排対応は最も基本的なコンプライアンスであり、事業を続けるための前提条件です。関連して施工体制台帳とは、指名停止とはもあわせてご覧ください。
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※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。暴排条項の内容や運用は発注機関・自治体の条例により異なります。具体的な内容は各発注機関の契約約款・暴力団排除条例等の一次情報をご確認ください。