予定価格とは?設定方法・最低制限価格との違い・事前公表の是非をわかりやすく解説

入札に参加する際、「予定価格を超えた入札は無効」という条件をよく見かけます。予定価格は入札の勝敗を左右する重要な概念ですが、その仕組みや設定方法を正確に理解している事業者は意外と少ないのが実情です。本記事では、予定価格の基礎から実務上の注意点まで解説します。
この記事のポイント
- ポイント1: 予定価格とは発注機関が契約に先立って内部で定める上限価格(見積金額)
- ポイント2: 予定価格を超えた入札は無効となり、最低制限価格を下回った入札も失格
- ポイント3: 令和7年改正で少額随意契約の上限額が引き上げられ、入札対象案件の範囲も変化
予定価格とは何か
予定価格(よていかかく)とは、国や地方自治体などの発注機関が競争入札を実施する前に内部で定める契約金額の上限です。法令上は「入札または契約前に、その入札または契約の費用として適正と認める価額の限度を定めるもの」とされており、会計法・地方自治法施行令によって設定が義務付けられています。
予定価格は「発注者の見積もり」とも言えます。発注機関は仕様書に基づき積算を行い、適正な対価を算出した上で予定価格を設定します。この価格を超える金額で入札した場合は自動的に無効となります。
予定価格の法令根拠
国の機関には会計法第29条の6および予算決算及び会計令が、地方自治体には地方自治法施行令第167条の10が適用されます。いずれも「入札・契約の前に予定価格を定めること」を義務付けています。
予定価格の設定方法
予定価格は積算(せきさん)によって算出されます。積算とは、業務・工事を構成する費目ごとの単価と数量を積み上げて総額を算出するプロセスです。
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 直接費 | 業務に直接必要な人件費・材料費・外注費など |
| 間接費 | 共通管理費・現場管理費など |
| 一般管理費等 | 会社の本社経費・利益相当分 |
| 消費税 | 税込金額を予定価格とする |
予定価格の公表方式
予定価格の公表タイミングは発注機関によって異なります。
事前公表
入札実施前に予定価格を公表する方式。参加事業者は予定価格を参考に入札価格を設定できるため、入札参加者にとって有利に見えますが、予定価格への集中(横並び入札)が起きやすい問題があります。
事後公表
開札後に予定価格を公表する方式。発注機関の立場から見ると競争性が高まるメリットがあり、国の機関は原則として事後公表を採用しています。入札参加者は積算によって独自に価格を算出する必要があります。
| 方式 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 事前公表 | 参加者が入札価格を設定しやすい | 横並び入札・談合のリスク |
| 事後公表 | 競争性が高い。価格適正化 | 参加者は独自積算が必要 |
予定価格と最低制限価格の違い
予定価格と並んでよく登場するのが最低制限価格です。両者の関係を整理します。
- 予定価格: 入札価格の上限。これを超えると無効
- 最低制限価格: 入札価格の下限。これを下回ると失格(ダンピング防止)
最低制限価格は、過度な低価格入札による品質低下・下請けへのしわ寄せを防ぐために設定されます。設定するかどうかは発注機関の裁量ですが、工事案件では設定されることが多く、役務案件では設定しない発注機関もあります。公告や入札説明書に「最低制限価格を設定する」旨が記載されているかどうかを必ず確認してください。
落札率とは
落札者の入札価格を予定価格で割った割合を落札率といいます。過去の落札率データ(各機関の公開情報)を分析することで、その発注機関の傾向を把握し、適切な入札価格帯を推測する参考になります。
落札率が高い案件(予定価格に近い水準で落札)は競争が少ない傾向があり、低い案件は価格競争が激しい傾向があります。
令和7年改正による影響
2025年(令和7年)4月1日より、予算決算及び会計令および地方自治法施行令が改正され、少額随意契約によることができる金額の上限が引き上げられました。
| 区分 | 改正前 | 改正後(令和7年〜) |
|---|---|---|
| 工事・製造 | 250万円以下 | 400万円以下 |
| 物品購入 | 160万円以下 | 300万円以下 |
| 役務(業務委託等) | 100万円以下 | 200万円以下 |
これにより、200万円以下の役務案件は競争入札を経ずに随意契約で発注できるようになりました。入札情報サービスで検索しても表示されない案件が増える可能性があるため、小規模案件を狙う事業者は直接営業も組み合わせる戦略が有効です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 予定価格を超えた金額で入札するとどうなる?
予定価格を超えた入札は無効となり、落札候補から除外されます。その場合、他の入札者が落札するか、全入札者が予定価格を超えた場合は「入札不調」となります。
Q2. 予定価格はどうやって推測する?
発注機関が事後公表している過去の落札結果(落札価格・落札率)や、類似案件の積算基準を参考にします。国の機関の場合、国土交通省の積算基準や人件費単価表が公開されているため、これをベースに積算することが有効です。
Q3. 予定価格より安く入札すれば必ず落札できる?
価格競争(最低価格落札方式)では、予定価格以下の最低価格が原則落札となります。ただし、最低制限価格が設定されている場合はその下限も条件になります。総合評価落札方式やプロポーザルでは価格以外の評価項目もあるため、最安値が必ずしも勝者ではありません。
Q4. 積算能力がない場合はどうすればよい?
外部の積算業者やコンサルタントを活用する方法があります。また、DEBONOでは入札仕様書の読み込みから積算・提案書作成まで一貫サポートを提供しています。
Q5. 工事の予定価格と役務の予定価格は算出方法が違う?
基本的な構造(直接費+間接費+一般管理費等)は同じですが、工事は国土交通省の積算基準、役務は人件費単価・外注費・経費の積み上げといった形で、参照する基準が異なります。役務の場合は標準的な積算基準が公開されていないケースも多く、市場価格調査を組み合わせた積算が必要です。
まとめ
予定価格は、発注機関が入札の前に内部で定める契約金額の上限です。予定価格を超えると無効、最低制限価格を下回ると失格という二重の価格制約の中で、いかに適切な入札価格を設定するかが競争の核心です。積算能力を磨き、過去の落札データを分析することが、入札受注率向上の近道になります。
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