政府調達の苦情申立てとは?入札に不服がある時の手続きを解説

政府調達の苦情申立てとは?入札に不服がある時の手続きを解説

入札に参加して、手続きに納得がいかないと感じたとき、事業者は声を上げることができるのでしょうか。WTOの政府調達協定の対象となる大型の調達については、政府調達苦情処理体制(CHANS)という仕組みが設けられており、調達手続きに関する苦情を申し立てることができます。ただし、申立てには「事実を知り得たときから10日以内」という短い期限があり、知らなければ使えない制度でもあります。本記事では、政府調達の苦情申立てとは何か、対象となる調達、申立ての手続きと期限、そして実務での留意点を解説します。

この記事のポイント

  • 政府調達苦情処理体制(CHANS)は、政府調達に関する協定に対応して設けられた仕組み
  • 国の機関等が行う政府調達について、手続きに関する苦情を申し立てられる
  • 申立ては、事実を知り得たときから10日以内に行う必要がある

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目次

政府調達の苦情処理体制とは

政府調達苦情処理体制は、一般にCHANS(Government Procurement Challenge System)と呼ばれます。WTOの「政府調達に関する協定」に対応するために設けられた仕組みで、日本では、政府調達苦情処理推進会議と政府調達苦情検討委員会が中心となって運用されています。事務局は内閣府が担っています。

この制度が設けられている理由は、政府調達の公正性・透明性を国際的に担保するためです。政府調達協定は、参加国の政府調達において、外国企業も含めた公正な競争機会を確保することを目的としています。その実効性を担保するには、調達手続きに問題があったときに、事業者がそれを申し立て、審査される仕組みが必要です。CHANSは、その受け皿として機能しています。

対象となるのは、国の政府機関や政府関係機関(特殊法人等)が行う政府調達です。政府調達協定の適用を受ける、一定金額以上の大型調達が中心になります。WTO政府調達協定の対象となる案件についてはWTO案件とはで詳しく解説しています。なお、都道府県や政令指定都市についても、協定の対象となる調達があり、自治体側で独自に苦情処理の体制を設けている場合があります。

申立ての手続きと期限

苦情の申立てを検討するうえで、最も注意しなければならないのが期限です。苦情の申立ては、事実を知り得たときから10日以内に、委員会に対して行う必要があります。この期限を過ぎた申立ては、内容を審査されることなく却下されることがあります。実際に、期限の徒過を理由に却下された事例もあります。

10日という期間は、決して長くありません。入札の結果に疑問を感じ、社内で検討し、資料を整えて申し立てる——この一連の作業を、10日以内に済ませる必要があります。したがって、手続きに疑問を持った時点で、速やかに動き出すことが不可欠です。「まず様子を見よう」と考えているうちに、期限が過ぎてしまうことになりかねません。

申立てを受けた委員会は、その内容を検討します。委員会は、委員と専門委員で構成され、中立的な立場から調達手続きの適否を審査します。検討の結果は、調達機関に対する意見などのかたちで示されます。なお、苦情の受付と処理の状況は、内閣府によって定期的に公表されており、どのような申立てがあり、どう処理されたかを確認することができます。

申立ての前に確認したいこと

苦情申立てを検討する前に、確認しておきたいことがあります。第一に、そもそも調達手続きに問題があったのかという点です。入札に負けたこと自体は、苦情の対象ではありません。問題となるのは、調達手続きが協定や関係法令に照らして適正でなかった場合です。仕様が特定の事業者に有利に設計されていた、参加資格の要件が不当に制限的だった、公告の期間が不足していた——こうした手続き上の問題があるかどうかを、冷静に見極める必要があります。

第二に、調達機関への説明要求です。多くの場合、苦情申立てに至る前に、調達機関に対して、結果の理由や手続きについて説明を求めることができます。プロポーザルであれば、選定されなかった理由の説明を求める仕組みが設けられていることもあります。まずは発注者と対話し、疑問を解消する努力をすることが、実務的には先決です。入札結果の確認については入札公告とはもあわせてご覧ください。

第三に、今後の取引への影響の考慮です。正当な権利として申立てを行うこと自体は、何ら問題のある行為ではありません。ただし、実務上は、発注者との関係も考慮しながら判断することになるでしょう。手続きに明らかな問題があり、それを正すことが業界全体の公正な競争につながるのであれば、申し立てる意義は大きいといえます。制度があること、そして10日という期限があることを知っておくだけでも、いざというときの選択肢が変わります。

日頃の備え

苦情申立ての可能性を視野に入れるなら、日頃からの備えが役に立ちます。第一に、入札関係書類の保管です。公告、入札説明書、仕様書、質問回答書、提出した書類の控えなど、一連の資料を整理して保管しておけば、手続きの適否を検証する材料になります。設計図書や質問回答の位置づけは設計図書とはをご覧ください。

第二に、公告・入札説明書の精読です。手続きに問題があるかどうかを判断するには、そもそもどのような手続きが定められていたかを正確に把握している必要があります。応札の段階から、条件を丁寧に読み込む習慣が、結果的に自社を守ります。

第三に、公表情報の確認です。内閣府が公表する苦情の受付・処理状況を見れば、どのような点が問題とされ、どう判断されたかの傾向がつかめます。他社の事例から学ぶことで、自社が入札に参加する際の着眼点も磨かれます。公正な競争環境は、事業者が制度を理解し、必要なときに声を上げることによっても支えられています。

よくある質問

どんな調達が苦情申立ての対象ですか

国の政府機関や政府関係機関(特殊法人等)が行う政府調達のうち、政府調達に関する協定の対象となるものが中心です。都道府県・政令指定都市の対象調達についても、それぞれ苦情処理の体制が設けられている場合があります。

申立ての期限はいつまでですか

事実を知り得たときから10日以内です。この期限を過ぎると、内容を審査されることなく却下されることがあります。期間が短いため、手続きに疑問を持った時点で速やかに検討・準備を始める必要があります。

落札できなかったこと自体を申し立てられますか

落札できなかったこと自体は苦情の対象ではありません。問題となるのは、調達手続きが協定や関係法令に照らして適正でなかった場合です。まずは調達機関に説明を求め、手続き上の問題の有無を冷静に見極めることが先決です。

まとめ

政府調達の苦情申立ては、WTOの政府調達に関する協定に対応して設けられた政府調達苦情処理体制(CHANS)に基づく仕組みで、国の機関等が行う対象調達について、手続きに関する苦情を申し立てることができます。運用は政府調達苦情処理推進会議と政府調達苦情検討委員会が担い、内閣府が事務局を務めます。申立ては事実を知り得たときから10日以内という短い期限があり、徒過すれば却下されることがあります。落札できなかったこと自体ではなく、手続きの適否が対象である点にも注意が必要です。入札関係書類の保管、公告・入札説明書の精読、公表情報の確認といった日頃の備えが、いざというときの判断を支えます。関連してWTO案件とは入札公告とはもあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。苦情処理の手続きや期限の運用は変更されることがあります。具体的な内容は内閣府・各調達機関の公表資料等の一次情報をご確認ください。

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