現場環境改善費とは?快適トイレなど積算での扱いを解説

現場環境改善費とは、公共工事の現場の作業環境や、地域との関係を改善するために計上される費用です。共通仮設費の一部として積算され、仮設のトイレや休憩施設の改善、安全対策、地域との連携などに充てられます。もともとは「イメージアップ経費」と呼ばれていましたが、平成29年度の積算基準の改定を機に、現在の名称に変わりました。働き方改革や担い手確保が課題となる中で、現場を働きやすい場所にするための費用として、その役割が見直されています。本記事では、現場環境改善費とは何か、対象となる取組み、積算での扱い、そして活用のポイントを解説します。
この記事のポイント
- 現場環境改善費は、現場の作業環境や地域との関係を改善するための費用(共通仮設費の一部)
- 平成29年度の積算基準改定で「イメージアップ経費」から名称が変わった
- 仮設備関係・営繕関係・安全関係・地域連携の各区分から取組みを選んで実施する
現場環境改善費とは
現場環境改善費とは、工事現場の作業環境を良くしたり、地域との関係を築いたりするための取組みに要する費用です。公共工事の積算では、共通仮設費の一項目として計上されます。共通仮設費は、工事を実施するために現場で共通して必要となる仮設的な費用であり、現場環境改善費もその一部という位置づけです。共通仮設費を含む工事費の構成は諸経費とはで解説しています。
この費目は、かつてイメージアップ経費と呼ばれていました。工事現場に対する社会のイメージを良くする、という発想から生まれた名称です。しかし平成29年度の積算基準の改定に伴い、「現場環境改善費」へと名称が変更されました。単に外から見た印象を良くするのではなく、そこで働く人にとっての環境を実際に改善する——そうした趣旨がより明確になった変更だといえます。
背景には、建設業の担い手確保という課題があります。現場のトイレが使いにくい、休憩できる場所がない、暑さ・寒さの対策が不十分——こうした環境では、若い人や女性が働きたいと思える職場にはなりません。現場環境改善費は、働きやすい現場をつくるための費用を、発注者側が積算に見込むという仕組みです。働き方改革の文脈では、週休2日の推進とも方向を同じくしています。週休2日対象工事とはもあわせてご覧ください。
対象となる取組み
現場環境改善費で実施できる取組みは、大きく四つの区分に整理されています。工事の内容や現場の条件に応じて、各区分から項目を選んで実施する仕組みです。
| 区分 | 取組みの例 |
|---|---|
| 仮設備関係 | 仮設ハウスや現場事務所の環境改善、休憩施設の整備など |
| 営繕関係 | 作業環境としての設備の充実、トイレの改善など |
| 安全関係 | 現場の安全対策の充実、危険箇所の表示や防護の強化など |
| 地域連携 | 現場見学会の開催、地域行事への協力、周辺美化など |
この中でよく知られているのが、いわゆる快適トイレの設置です。従来、建設現場の仮設トイレは、簡素で使いにくいものが多く、特に女性が働きにくい要因の一つとされてきました。そこで、洋式で、水洗機能があり、女性も使いやすい仕様のトイレを現場に設置する取組みが推進され、その費用が計上されるようになりました。現場環境改善費の代表的な使い道です。
また、近年は熱中症対策の重要性が高まっています。令和7年度の積算基準の改定では、熱中症予防対策や寒冷対策について、現場環境改善費の率による計上とは別枠で、設計変更により一定の範囲まで計上できる取扱いが設けられました。気候の厳しさが増す中で、現場で働く人の安全を守るための費用が、制度として手当てされる方向にあります。
積算での扱い
現場環境改善費は、共通仮設費の一部として積算されます。計上の方法には、工事費に対する率によって算定する方法と、実施する項目ごとに費用を積み上げる方法があり、工事の条件や発注機関の運用に応じて決まります。積算の基本的な考え方は積算とはをご覧ください。
ここで受注者にとって重要なのは、この費用が実際に環境改善に使われることが前提だという点です。率で計上されているからといって、何もしなくてよいわけではありません。四つの区分から取組みを選んで実施し、その内容を記録しておくことが求められます。実施した内容は、工事の成果として発注者に報告し、確認を受けます。
また、現場環境改善の取組みは、工事成績評定における評価にもつながり得ます。創意工夫や地域への貢献といった評価項目は、まさにこの区分の取組みと重なります。単に費用を消化するのではなく、現場と地域にとって意味のある取組みを選び、丁寧に実施することが、評価にも結びつきます。評定の仕組みは工事成績評定とはをご覧ください。
受注者が実務で押さえておきたいこと
現場環境改善費について、受注者が押さえておきたいポイントを整理します。第一に、施工計画への織り込みです。どの区分から、どんな取組みを実施するのかを、施工計画の段階で検討し、監督員と協議して決めます。着工後に慌てて考えるのではなく、計画的に取り組むことで、現場にとって本当に効果のある改善ができます。施工計画書については施工計画書とはをご覧ください。
第二に、実施内容の記録です。何をどのように実施したかを、写真などで記録しておきます。快適トイレを設置したのであればその状況を、地域連携の取組みを行ったのであればその様子を、記録として残します。これらは、実施の確認や、工事成績評定の資料になります。工事写真の管理は工事写真とはをご覧ください。
第三に、現場の声を反映することです。何を改善すれば働きやすくなるかは、実際に現場で働く人が一番よく知っています。形式的に項目を選ぶのではなく、現場の技能者や下請の意見を聞いて、実効性のある取組みを選ぶことが大切です。働きやすい現場は、人材の定着につながり、結果として施工の質も高まります。現場環境改善費は、担い手を確保するための投資と捉えるべき費用です。
よくある質問
現場環境改善費はどの費目に入りますか
共通仮設費の一部として積算されます。共通仮設費は、工事を実施するために現場で共通して必要となる仮設的な費用で、現場環境改善費はその一項目という位置づけです。
イメージアップ経費とは違うものですか
同じ費目です。平成29年度の積算基準の改定に伴い、「イメージアップ経費」から「現場環境改善費」へ名称が変更されました。外から見た印象だけでなく、現場の作業環境を実際に改善する趣旨がより明確になっています。
何を実施すればよいですか
仮設備関係・営繕関係・安全関係・地域連携の四区分から、現場の条件に応じて項目を選んで実施します。快適トイレの設置が代表例です。施工計画の段階で監督員と協議し、実施内容を記録しておくことが求められます。
まとめ
現場環境改善費とは、工事現場の作業環境や地域との関係を改善するための費用で、共通仮設費の一部として積算されます。平成29年度の積算基準改定で「イメージアップ経費」から名称が変わり、働く人の環境を実際に改善する趣旨が明確になりました。取組みは、仮設備関係・営繕関係・安全関係・地域連携の四区分から選んで実施し、快適トイレの設置が代表例です。令和7年度からは熱中症予防対策等を別枠で計上する取扱いも設けられています。受注者は、施工計画への織り込み、実施内容の記録、そして現場の声の反映を心がけましょう。働きやすい現場づくりは、担い手の確保と施工の質の向上につながる投資です。関連して諸経費とは、週休2日対象工事とはもあわせてご覧ください。
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※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。積算基準の内容や計上方法は年度・発注機関により異なります。具体的な内容は国土交通省・各発注機関の積算基準等の一次情報をご確認ください。