土壌汚染対策法とは?土地の形質変更の届出を解説

土壌汚染対策法とは?土地の形質変更の届出を解説

工事で土を掘る前に、確認しておくべき法律があります。土壌汚染対策法です。かつて工場が建っていた土地や、面積の大きい土地を掘削する場合、着手前に届出が必要になることがあります。届出を怠って掘り進め、汚染された土を場外に運び出してしまえば、汚染を拡散させることになりかねません。届出の要否は面積や土地の履歴によって決まり、期限は着手の30日前までです。本記事では、土壌汚染対策法の届出が必要になる場合、手続きの流れ、工事への影響を解説します。

この記事のポイント

  • 一定規模以上の土地の形質変更は、着手の30日前までに届出が必要
  • 原則3,000平方メートル以上、有害物質使用特定施設に係る土地は900平方メートル以上
  • 区域に指定された土地では、規模にかかわらず届出が必要になる

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目次

土壌汚染対策法とは

土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況を把握し、その汚染による人の健康被害を防止するための措置を定めた法律です。土に含まれる有害物質が、地下水を通じて、あるいは直接に人の健康へ及ぶことを防ぐことを目的としています。

土壌汚染は、目に見えません。表面を見ただけでは、その下に有害物質が含まれているかどうか分からないのです。だからこそ、土地の履歴や、掘削の規模に着目して、調査や届出の仕組みが設けられています。

建設工事に関わる事業者にとって重要なのは、土を動かす行為が規制の対象になるという点です。掘削、盛土、切土——こうした行為は法律上「土地の形質の変更」と呼ばれ、一定の要件に当てはまれば届出が必要になります。

なお、掘削で生じた土の扱いについては、廃棄物処理法など別の法令も関わります。建設発生土や建設汚泥の取扱いとあわせて理解しておくとよいでしょう。詳しくは建設発生土とはをご覧ください。

届出が必要になる場合

建設工事でとくに関わりが深いのが、一定規模以上の土地の形質変更の届出です。土壌汚染対策法第4条に基づくもので、次の規模が基準となります。

土地の区分届出が必要な規模
一般の土地3,000平方メートル以上
有害物質使用特定施設に係る工場・事業場の敷地など900平方メートル以上

後者は、現に有害物質使用特定施設が設置されている工場・事業場の敷地や、その施設が廃止された敷地で一定の調査が予定・実施中である土地などが該当します。汚染の可能性が相対的に高い土地については、基準が厳しくなるという考え方です。

届出は、形質変更に着手する日の30日前までに、都道府県知事等へ行います。掘削と盛土の別を問わず、変更しようとする土地の面積で判断します。

一方、届出が不要となる場合もあります。盛土のみである場合や、形質変更の深さが最深部で50センチメートル未満である場合などです。細かな要件があるため、個別の判断は自治体に確認するのが確実です。

区域指定された土地

調査の結果、土壌汚染が基準を超えていると判明した土地は、区域に指定されます。指定には二つの区分があります。

ひとつが要措置区域です。汚染による健康被害のおそれがあり、汚染の除去等の措置が必要と認められる区域で、原則として土地の形質変更が禁止されます。

もうひとつが形質変更時要届出区域です。ただちに措置が必要というほどではないものの、土地の形質を変更する際には届出が求められる区域です。こちらでは、規模にかかわらず、形質変更を行う前に届出が必要になります。

これらの区域は、都道府県等が台帳として公開しています。工事を計画する際には、対象地が指定区域に含まれていないかを確認しておく必要があります。指定されていれば、工事の進め方そのものが変わってきます。

手続きの流れ

届出から工事の実施までは、おおむね次のように進みます。

  • 事前の確認——対象地の面積、土地の履歴、区域指定の有無を調べる
  • 届出書の提出——着手の30日前までに、形質変更の場所・方法・着手予定日などを届け出る
  • 審査——土壌汚染のおそれの有無が判断される
  • 調査の命令等——おそれがあると認められた場合、土壌汚染状況調査を命じられることがある
  • 工事の実施——結果に応じた方法で施工する

注意したいのは、届出をすれば自動的に着工できるわけではないという点です。汚染のおそれがあると判断されれば、調査を求められます。調査には日数がかかりますから、その分だけ着工は遅れます。

この可能性を工程に見込んでおかなければ、着工できないまま工期だけが進むことになります。土地の履歴に不安がある場合は、余裕をもって手続きを始めることが肝心です。

土地の履歴を調べる意味

届出の要否や、汚染のおそれの判断において鍵になるのが、その土地が過去にどう使われていたかです。

化学工場、めっき工場、クリーニング店、ガソリンスタンド——有害物質を扱う施設があった土地は、汚染の可能性が相対的に高くなります。現在は更地や別の用途になっていても、土の中には過去の影響が残り得ます。

履歴を調べる手がかりには、古い住宅地図、登記簿、航空写真、自治体が保有する届出記録などがあります。近隣での聞き取りが役立つこともあります。

公共工事の場合、こうした調査は本来、発注者側で行われているべきものです。用地の取得や設計の段階で土地の状況を把握し、施工条件として示すのが筋だからです。示されていなければ、質問や打合せで確認しておきましょう。条件明示の考え方は条件明示とはをご覧ください。

汚染が見つかった場合の影響

調査の結果、土壌汚染が判明した場合、工事への影響は大きくなります。

まず、掘削した土の扱いが変わります。汚染された土は場外へ自由に搬出できず、適正な処理が必要になります。運搬や処分の方法にも制限がかかり、費用は大きく増えます。

次に、施工方法の見直しです。汚染の拡散を防ぐための養生、地下水への対策、作業員の保護など、当初の計画にない措置が必要になります。

そして、工期への影響です。調査、区域指定の手続き、対策の検討——いずれにも時間がかかります。設計そのものの見直しに至ることもあります。

これらはいずれも、受注者の責めに帰することができない事由です。工期や請負代金額の変更が問題になり、場合によっては工事の一時中止という手続きがとられます。詳しくは工事の一時中止とはをご覧ください。

調査が始まるきっかけ

土壌汚染の調査は、どのような場面で求められるのでしょうか。法律が定める契機を整理しておきます。

ひとつが、有害物質使用特定施設を廃止したときです。有害物質を扱っていた施設をやめる際には、その敷地について調査が求められます。工場の閉鎖にあわせて、土地の状態を確認するという趣旨です。

もうひとつが、これまで見てきた一定規模以上の形質変更の届出を契機とするものです。届出を受けた行政が、土壌汚染のおそれがあると判断すれば、調査が命じられます。

さらに、健康被害が生ずるおそれがあると認めるときにも、調査を命じられることがあります。周辺の地下水から有害物質が検出された場合などが想定されます。

建設工事に関わる立場でとくに意識すべきは、二つ目の契機です。工事のために土を動かすという行為が、調査のきっかけになり得るという構造を理解しておく必要があります。

搬出土の扱いという論点

土壌汚染対策法が建設実務で意識される最大の理由は、掘った土をどこへ運ぶかにあります。

汚染された土を場外へ持ち出せば、運んだ先に汚染を広げることになります。これを防ぐため、区域指定された土地から土壌を搬出する場合には、事前の届出や、運搬・処理の方法に関する規制がかかります。

搬出先での受入れも問題になります。通常の建設発生土として受け入れてもらえるのか、汚染土壌処理業の許可を持つ施設でなければならないのか。ここを誤れば、法令違反になりかねません。

近年は、建設発生土そのものについても搬出先の確認が強く求められるようになっています。土をめぐる規制は、全体として厳しくなる方向にあります。詳しくは建設発生土とは、廃棄物としての扱いは建設汚泥とはをご覧ください。

誰が届出を行うのか

実務でしばしば迷うのが、届出の主体です。発注者なのか、受注者なのか。

法律上、届出を行うのは土地の形質の変更をしようとする者とされています。誰がこれに当たるかは、工事の実態によって判断されます。一般には、その形質変更を企画・実施する主体が届出を行うと整理されます。

公共工事では、発注者側で手続きを済ませている場合もあれば、受注者が行う場合もあります。設計図書や特記仕様書に記載があるかを確認し、なければ着手時の打合せで明確にしておくことが必要です。

「どちらかがやっているだろう」という思い込みが、最も危険です。30日前という期限がある以上、着工間際に確認したのでは間に合いません。受注が決まった段階で、必要な許認可の一覧とあわせて整理しておきましょう。

費用と工期をどう見込むか

土壌汚染が絡む工事では、費用と工期の見込みが難しくなります。掘ってみるまで分からない部分があるからです。

当初の設計で汚染が想定されていなければ、その分の費用は積算されていません。実際に汚染が見つかれば、処理費用、養生、工法の変更——いずれも追加の負担になります。

これらは受注者の責めに帰すべき事由ではないため、設計変更による対応が検討されます。ただし、そのためには実態を記録しておくことが前提です。どの範囲で、どの程度の汚染が確認されたのか。分析結果、搬出量、処理の記録を残しておけば、協議の根拠になります。

また、異常を発見した時点で速やかに発注者へ報告することが重要です。独断で処理を進めてしまえば、後から費用を認めてもらうのは難しくなります。監督職員への報告の考え方は監督員とはをご覧ください。

近隣への影響と説明

土壌汚染は、周辺住民にとって強い関心事です。健康に関わる話であるうえ、土地の価値にも影響するためです。

工事の過程で汚染が判明した場合、その情報の扱いには慎重さが求められます。事実と異なる憶測が広がれば、必要以上の不安を招きます。かといって、隠すような対応をとれば、後から発覚したときの不信ははるかに大きくなります。

基本は、発注者と歩調を合わせることです。公表の範囲や説明の内容は、受注者が単独で判断すべきものではありません。行政の指導も踏まえて、発注者が対応方針を決めることになります。

現場としてできるのは、確実な措置を講じることと、その記録を残すことです。飛散や流出を防ぐ養生を確実に行い、実施した内容を記録しておく。説明を求められたときに、事実で応えられる状態にしておくことが最善の備えになります。

よくある質問

どれくらいの面積から届出が必要ですか

一般の土地では3,000平方メートル以上、有害物質使用特定施設に係る工場・事業場の敷地などでは900平方メートル以上が基準です。着手の30日前までに都道府県知事等へ届け出ます。

盛土だけでも届出が要りますか

盛土のみである場合は届出が不要とされています。また形質変更の深さが最深部で50センチメートル未満である場合なども対象外です。細かな要件があるため、自治体への確認が確実です。

届出をすればすぐ着工できますか

そうとは限りません。土壌汚染のおそれがあると認められた場合、土壌汚染状況調査を命じられることがあります。調査には日数を要するため、工程に余裕をみておく必要があります。

まとめ

土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況を把握し、人の健康被害を防止するための法律です。建設工事との関わりで重要なのが、一定規模以上の土地の形質変更に関する届出で、一般の土地では3,000平方メートル以上、有害物質使用特定施設に係る敷地などでは900平方メートル以上が基準となり、着手の30日前までに届け出ます。盛土のみの場合や、深さが最深部で50センチメートル未満の場合などは対象外とされています。汚染が判明した土地は要措置区域または形質変更時要届出区域に指定され、後者では規模にかかわらず届出が必要です。届出をしても、汚染のおそれがあると判断されれば調査を命じられることがあり、着工が遅れます。土地の履歴を早い段階で確認し、工程に余裕をもたせておくことが実務の要点です。関連して建設発生土とは工事の一時中止とはもあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。届出の要否判断や様式は自治体の運用により異なります。具体的な内容は土壌汚染対策法および工事場所を管轄する自治体の一次情報をご確認ください。

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