標準労務費とは?改正建設業法の労務費の基準と下請契約への影響

標準労務費とは?改正建設業法の労務費の基準と下請契約への影響

標準労務費とは、建設工事を施工するために通常必要と認められる労務費の基準として、中央建設業審議会が作成・勧告したものです。改正建設業法により、この基準を著しく下回る労務費での見積りや契約締結が禁止されました。対象は公共工事・民間工事を問わず、下請取引を含むすべての建設工事の請負契約です。技能労働者の賃金の原資である労務費を、価格競争のしわ寄せから守ることが狙いです。元請にとっても下請にとっても、契約実務に直結する重要な制度です。本記事では、標準労務費とは何か、なぜ導入されたのか、禁止される行為、そして実務での対応を解説します。

この記事のポイント

  • 標準労務費は、中央建設業審議会が作成・勧告した「労務費に関する基準」
  • これを著しく下回る労務費での見積り・契約締結が、改正建設業法で禁止された
  • 公共・民間の別を問わず、下請取引を含むすべての建設工事の請負契約が対象

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目次

標準労務費とは

標準労務費とは、建設工事を施工するために通常必要と認められる労務費(適正な労務費)を示す基準です。改正建設業法に基づき、中央建設業審議会が「労務費に関する基準」として作成し、その実施を勧告しました。基準は、単位施工量あたりの労務費を基準値として定めるもので、この基準値に工事の数量を乗じることで、その工事に必要な適正な労務費が導かれる仕組みです。

基準値の考え方は、公共工事の積算になじみのある方には理解しやすいはずです。おおまかにいえば、公共工事設計労務単価に適正な歩掛を乗じて算出されます。つまり、「1単位の作業をするのに、どれだけの手間(歩掛)がかかり、その手間の単価はいくらか」という積み上げの考え方です。労務単価と歩掛は、公共工事の積算でも中核となる要素です。それぞれの仕組みは公共工事設計労務単価とは歩掛とはで解説しています。

ここで重要なのは、この基準が公共工事だけのものではないという点です。従来、労務単価や歩掛は、公共工事の予定価格を積算するための基準という位置づけでした。標準労務費は、それを土台としながら、民間工事や下請取引を含む、すべての建設工事の請負契約における「適正な労務費の物差し」として機能します。

なぜ導入されたのか

標準労務費が導入された背景には、建設業の担い手不足という深刻な課題があります。建設業では、高齢化が進む一方で若年層の入職が細り、将来の施工体制を維持できるのかが懸念されています。この状況を変えるには、技能労働者の賃金を引き上げ、他産業に見劣りしない処遇を実現することが不可欠です。

ところが、実際の取引では、厳しい価格競争のしわ寄せが労務費に及びやすいという構造がありました。受注競争で価格を下げれば、削りやすいところから削られます。材料の量は減らせなくても、労務費は「人を安く使う」ことで圧縮できてしまう——その結果、末端の技能労働者の賃金が抑えられ、担い手の確保がいっそう難しくなる、という悪循環です。国が労務単価を毎年引き上げても、それが現場の賃金に届かなければ意味がありません。

そこで、労務費に「これ以上は下げてはいけない」という下限の目安を設け、価格競争が労務費を侵食することを法律で防ぐこととしたのが、この制度です。安値受注のしわ寄せを断つという点では、ダンピング対策とも問題意識を共有しています。入札のダンピングとはもあわせてご覧ください。

禁止される行為

改正建設業法により禁止されたのは、標準労務費を著しく下回る労務費による見積りや契約の締結です。ポイントを整理すると次のようになります。

項目内容
対象となる契約公共工事・民間工事の別を問わず、下請取引を含むすべての建設工事の請負契約
禁止される行為基準を著しく下回る労務費等による見積り、および契約の締結
対象となる立場注文者(元請等)だけでなく、見積りを行う受注者(下請等)の側も対象

注意したいのは、これが発注する側だけの規制ではないことです。元請が下請に対して著しく低い労務費を押し付けることが禁止されるのはもちろんですが、受注する側が、自ら著しく低い労務費で見積りを出すことも禁じられます。仕事を取りたいがために、労務費を切り詰めた見積りを出す——そうした行為自体が、制度の趣旨に反するものとして規制の対象になるのです。

また、下請取引を含むすべての契約が対象であることも重要です。元請・一次下請・二次下請と連なる重層構造の、どの階層の契約であっても、この基準が適用されます。重層構造の中で労務費が段階的に削られていく事態を防ぐ狙いです。下請構造については下請負人とはをご覧ください。

実務での対応

この制度に、事業者はどう対応すればよいでしょうか。第一に、見積りにおける労務費の把握です。これまで一式で見積もっていた場合でも、その中で労務費がいくらを占めるのかを、意識して積算する必要があります。基準は単位施工量あたりの労務費として示されるため、自社の見積りの労務費が、数量に対して妥当な水準にあるかを確認できるようになります。積算の基礎は積算とはをご覧ください。

第二に、下請契約での確認です。元請の立場で下請と契約する際は、その金額が労務費の基準を著しく下回っていないかを確認する必要があります。逆に、下請の立場で見積りを求められた際も、無理な価格提示を求められた場合には、基準を根拠として説明できるようになります。これまで「言いにくかった」交渉に、法令上の裏づけができたと捉えることもできます。

第三に、適正な労務費を確保できる受注です。そもそも元請が採算を割った価格で受注すれば、下請にしわ寄せが及びます。適正な労務費を払える価格で受注することが、制度への対応の出発点です。価格競争で無理をせず、技術力や施工実績で評価を得て受注する方向へ、事業のあり方をシフトしていくことが求められます。技能者の適正評価という点では、建設キャリアアップシステムの活用とも通じます。建設キャリアアップシステム(CCUS)とはもあわせてご覧ください。

よくある質問

標準労務費は公共工事だけの基準ですか

いいえ。公共工事・民間工事の別を問わず、下請取引を含むすべての建設工事の請負契約が対象です。従来の労務単価が公共工事の積算基準であったのに対し、標準労務費はあらゆる建設工事の契約における適正な労務費の物差しとして機能します。

下請側が安く見積もるのも禁止ですか

はい。基準を著しく下回る労務費による見積りは、受注する側が行う場合も禁止の対象とされています。仕事を取るために労務費を切り詰めた見積りを出す行為自体が、制度の趣旨に反するものとして規制されます。

標準労務費はどのように算出されますか

単位施工量あたりの労務費を基準値として定め、これに数量を乗じて適正な労務費を導きます。基準値は、おおむね公共工事設計労務単価に適正な歩掛を乗じる考え方で算出されます。具体的な基準値は工種ごとに示されます。

まとめ

標準労務費とは、中央建設業審議会が作成・勧告した「労務費に関する基準」で、建設工事に通常必要と認められる適正な労務費を示すものです。改正建設業法により、これを著しく下回る労務費での見積り・契約締結が、公共・民間を問わず、下請取引を含むすべての建設工事の請負契約で禁止されました。基準値は、公共工事設計労務単価に適正な歩掛を乗じる考え方で、単位施工量あたりの労務費として示されます。注文する側だけでなく、見積りを出す受注側も規制の対象である点が重要です。実務では、見積りにおける労務費の把握、下請契約での確認、そして適正な労務費を確保できる価格での受注が求められます。関連して公共工事設計労務単価とは下請負人とはもあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。労務費の基準の内容や運用は、制度の施行状況により変わることがあります。具体的な内容は国土交通省・中央建設業審議会の公表資料等の一次情報をご確認ください。

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