CORINSとは?工事カルテ登録の目的と実務を解説

CORINSとは?工事カルテ登録の目的と実務を解説

CORINS(コリンズ/工事実績情報システム)とは、公共工事を受注した企業が、その工事の情報を登録し、発注機関が閲覧できるようにしたデータベースです。登録される工事の情報は「工事カルテ」と呼ばれ、工事名、発注機関、請負金額、工期、配置技術者などが記録されます。発注者はこれを使って、入札参加者の施工実績や技術者の経験を客観的に確認します。つまりCORINSは、自社の実績を公的に証明する仕組みです。本記事では、CORINSとは何か、登録の対象と手続き、そして実績を受注につなげる考え方を解説します。

この記事のポイント

  • CORINSは、受注した工事の実績を登録し発注機関が確認できるようにしたデータベース
  • 登録対象は請負金額500万円以上(税込)の公共機関発注工事が基本
  • 経営事項審査の評点には影響しないが、総合評価などでの実績確認に使われる

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目次

CORINSとは

CORINS(Construction Records Information System)とは、公共機関が発注した工事を受注した企業が、その工事の情報を登録し、発注機関がデータベースとして利用できるようにした仕組みです。運営しているのは、一般財団法人日本建設情報総合センター(JACIC)です。受注者が登録し、JACICがデータベースを管理して、各公共発注機関に情報を提供する、という構造になっています。

この仕組みが設けられている目的は、入札・契約手続の透明性と客観性、競争性を高めることにあります。発注者が業者を選ぶ際、「この会社は同種の工事を手がけた経験があるか」「配置予定の技術者は同種工事の経験を持つか」を確認する必要があります。ところが、各社の自己申告だけでは、内容の裏付けが取りにくく、確認にも手間がかかります。共通のデータベースがあれば、客観的な情報に基づいて、効率的に確認できます。

登録される工事の情報は、医療のカルテになぞらえて工事カルテと呼ばれます。工事名、発注機関名、受注した会社名、現場代理人名、工事場所、請負金額、工期といった項目が記録され、工事の完成後には、その内容も反映されます。一件ごとの工事が「カルテ」として積み上がっていくイメージです。

なお、建設コンサルタント業務など、測量・設計・調査の実績については、TECRIS(テクリス/業務実績情報システム)という別のデータベースが用意されています。工事はCORINS、業務はTECRIS、という使い分けです。業務の実績評価については業務成績評定とはもあわせてご覧ください。

登録の対象と手続き

CORINSに登録する対象は、請負金額500万円以上(消費税込み)の公共機関発注工事が基本です。この金額を下回る小規模な工事は、原則として登録の対象になりません。ただし、発注機関によって取扱いが異なる場合があるため、契約時に仕様書等で確認しておくと確実です。

登録のタイミングは、工事の節目ごとに定められています。おおむね次のような流れです。

  • 受注時:契約を締結したら、工事の基本情報を登録する
  • 変更時:請負金額や工期、配置技術者に変更が生じたら、その都度更新する
  • 完成時:工事が完成したら、完成に関する情報を登録する
  • 訂正時:登録内容に誤りが判明したら、訂正の登録を行う

それぞれの登録には期限が定められており、期限内に手続きすることが求められます。登録が済むと「登録内容確認書」が発行され、これを発注者(監督員)に提出して確認を受ける、という運用が一般的です。工事の完成書類の一部として扱われることもあります。

注意したいのは、変更が生じたときの更新です。工期が延びた、請負金額が変わった、配置技術者が交代した——こうした変更は、設計変更や契約変更の手続きと並行して、CORINSの登録も更新する必要があります。契約変更の手続きは変更契約書とは、工期変更は工期変更・工期延長とはをご覧ください。契約書は直したがCORINSを直し忘れた、という事態は避けたいところです。

経審との関係(誤解しやすい点)

CORINSについて、よくある誤解を整理しておきます。それは「CORINSに登録すると経営事項審査の点数が上がるのではないか」というものです。

結論からいえば、CORINSへの登録は、経営事項審査の評点には影響しません。加点項目ではありませんし、登録しなかったからといって点数が下がることもありません。経審は、完成工事高や自己資本額、技術者数といった、別の指標に基づいて評価される制度です。経審の仕組みは経営事項審査と入札の関係性、点数の見方は経審(経営事項審査)の点数の見方をご覧ください。

では、CORINSは何のために登録するのでしょうか。答えは、個別の入札における実績の確認のためです。総合評価落札方式で「同種工事の施工実績」や「配置予定技術者の経験」が評価項目になっている場合、その裏付けとしてCORINSのデータが参照されます。また、入札参加の要件として「過去◯年以内に同種工事の実績があること」と定められることもあり、その確認にも使われます。

つまり、経審が「会社全体の規模と体力を測る物差し」だとすれば、CORINSは「個別の工事でこの会社・この技術者が適任かを確認する資料」です。役割が異なるため、両方が必要になります。総合評価での評価の仕組みは加算方式・除算方式とはをご覧ください。

実績を受注につなげる考え方

CORINSを「面倒な事務手続き」と捉えるか、「実績を積み上げる仕組み」と捉えるかで、その価値は変わります。後者の視点に立つと、いくつかの実務上の工夫が見えてきます。

第一に、登録内容の正確さです。工事の名称や工種、規模、構造形式といった情報は、後に「同種工事の実績」として参照されます。実際に施工した内容が正しく反映されていなければ、本来なら要件を満たすはずの実績が、認められないことにもなりかねません。登録の際は、工事の内容が的確に表現されているかを確認しましょう。

第二に、技術者の実績という視点です。CORINSには配置技術者の情報も登録されます。つまり、会社の実績であると同時に、その技術者個人の実績にもなります。技術者を計画的に配置し、経験を積ませることは、将来その技術者を配置予定技術者として提案できる案件の幅を広げることにつながります。技術者の配置は監理技術者と主任技術者の違いをご覧ください。

第三に、実績の棚卸しです。自社がこれまでどんな工事を、どの規模で手がけてきたかを一覧で把握しておけば、入札公告の参加要件と照らして「参加できる案件かどうか」を素早く判断できます。狙いたい分野の実績が不足しているなら、その分野の工事を優先的に取りにいく、という戦略も立てられます。工事の質そのものは工事成績評定として評価されるため、実績の数と質の両方を積み上げていく視点が大切です。評定については工事成績評定とはをご覧ください。

登録実務で気をつけたいこと

実際の登録作業で、つまずきやすい点を挙げておきます。

まず、期限の管理です。受注時、変更時、完成時のそれぞれに登録の期限があります。工事の完成前後は、検査や書類の提出が重なり、慌ただしくなりがちです。CORINSの登録も、その中に組み込んでおかないと、後回しになって期限を過ぎてしまいます。工事の節目ごとにやることをリスト化しておくと、漏れを防げます。

次に、発注者の確認を受けることです。登録した内容は、発注者(監督員)の確認を受ける運用が一般的です。自社だけで完結する手続きではないため、確認を依頼する時間も見込んでおく必要があります。特に年度末は発注者側も繁忙になるため、余裕を持った対応が求められます。

そして、共同企業体(JV)で受注した場合の扱いです。JVで受注した工事は、構成員それぞれの実績としてどう扱われるのか、出資比率がどう反映されるのかといった点を確認しておく必要があります。JVは実績を積む有力な手段ですが、実績としての評価のされ方を理解したうえで活用することが大切です。JVの仕組みは建設工事共同企業体(JV)とはをご覧ください。

工事カルテに登録される項目

工事カルテには、その工事を特定し、内容を把握できる情報が幅広く記録されます。代表的な項目を整理すると次のとおりです。

区分主な項目
工事の基本情報工事名称、工事場所、発注機関名、契約日
規模・期間請負金額、工期(着工日・完成日)
工事の内容工種、工事概要、構造形式、主要な数量
体制受注者名、共同企業体の構成員と出資比率、現場代理人、主任技術者・監理技術者

このうち、後の入札で特に重視されるのが工事の内容配置技術者です。「同種工事の実績」が求められる場面では、工種や構造形式、規模が要件と合致するかが確認されます。「配置予定技術者の経験」が評価される場面では、その技術者が過去にどの工事で、どの立場を務めたかが参照されます。

したがって、登録の際は、実際に施工した内容が正しく表現されているかを丁寧に確認する必要があります。工事名称だけでは内容が伝わらないことも多いため、工事概要や構造形式の記載が、実態を的確に示しているかがポイントになります。ここが曖昧だと、後になって「要件を満たす実績として認められない」という事態を招きかねません。施工体制の情報は施工体制台帳とも重なります。施工体制台帳とはもあわせてご覧ください。

実績が足りない企業の戦略

実績が受注要件になる以上、新規参入や、これまで手がけていない分野に進出したい企業にとっては、「実績がないから受注できず、受注できないから実績が積めない」という壁にぶつかります。この壁をどう越えるかは、多くの事業者に共通する課題です。

一つの方法が、共同企業体(JV)の活用です。実績のある企業と組んで受注すれば、その工事の実績を構成員として積むことができます。特に、中小企業が継続的な協業のために結成する経常JVは、単独では届かない規模の工事に参加し、経験を積む手段になります。JVの仕組みは建設工事共同企業体(JV)とはをご覧ください。

もう一つが、要件の幅を読むことです。入札公告の参加要件は、必ずしも「まったく同じ工事」を求めているわけではありません。「同種工事」の定義が、工種のレベルで示されているのか、構造形式まで限定されているのか、規模の下限はいくらか——ここを丁寧に読めば、自社の既存実績で要件を満たせる案件が見つかることがあります。入札公告の読み方は入札公告とはをご覧ください。

そして、一件ごとの工事を確実に仕上げることが、結局は最短の道です。実績は件数だけでなく、工事成績評定という質の評価を伴って蓄積されます。良い成績で完成させた工事は、次の総合評価での加点にもつながります。地道に積み上げた実績が、参加できる案件の幅を少しずつ広げていく——CORINSは、その積み上げを記録し、証明してくれる仕組みだといえます。

よくある質問

CORINSに登録すると経審の点数は上がりますか

上がりません。CORINSへの登録は経営事項審査の評点には影響せず、加点項目でもありません。登録の目的は、個別の入札における同種工事の実績や配置技術者の経験を、発注者が客観的に確認できるようにすることです。

どんな工事が登録の対象ですか

請負金額500万円以上(消費税込み)の公共機関発注工事が基本です。これを下回る工事は原則として対象外ですが、発注機関により取扱いが異なる場合があるため、契約時に仕様書等で確認してください。

工期が変わったら登録も直しますか

直す必要があります。請負金額、工期、配置技術者などに変更が生じた場合は、その都度、変更の登録を行います。契約変更の手続きと並行して進め、契約書は直したがCORINSは未更新、という状態を避けましょう。

業務(設計・測量)の実績はどこに登録しますか

測量・設計・調査などの業務実績は、CORINSではなくTECRIS(業務実績情報システム)に登録します。工事はCORINS、業務はTECRIS、という使い分けです。いずれもJACICが運営しています。

まとめ

CORINS(工事実績情報システム)とは、公共工事を受注した企業がその工事の情報を登録し、発注機関が実績を確認できるようにしたデータベースで、JACICが運営しています。登録された情報は工事カルテと呼ばれ、請負金額500万円以上(税込)の公共機関発注工事が対象です。受注時・変更時・完成時に登録し、発注者の確認を受けます。経営事項審査の評点には影響しませんが、総合評価落札方式での同種工事実績や配置予定技術者の経験の確認に使われるため、個別案件の受注に直結します。登録内容の正確さ、技術者の実績という視点、実績の棚卸しを意識することで、事務手続きを受注力に変えられます。関連して工事成績評定とは経営事項審査と入札の関係性もあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。登録の対象・期限・手続きは制度改正や発注機関により異なります。具体的な内容はJACIC・各発注機関の公表資料等の一次情報をご確認ください。

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