インフレスライド条項とは?資材高騰時の請負代金の変更を解説

インフレスライド条項とは?資材高騰時の請負代金の変更を解説

インフレスライド条項とは、工期中に急激な物価や賃金の上昇が起きて請負代金が著しく不適当になった場合に、受注者から代金の変更を請求できる仕組みです。資材価格や労務費が想定を超えて高騰すると、契約時の金額では工事を続けられなくなります。そのしわ寄せを受注者だけが負うことのないよう、公共工事の契約約款には、代金を見直すための「スライド条項」が用意されています。中でも急激なインフレに対応するのが、このインフレスライド条項です。本記事では、インフレスライド条項とは何か、3種類のスライド条項の違い、請求の要件と手続きを解説します。

この記事のポイント

  • インフレスライドは、工期中の急激な物価・賃金の変動に対応して請負代金を変更する仕組み
  • スライド条項には全体スライド・単品スライド・インフレスライドの3種類がある
  • 請求には、基準日から2か月以上の残工期があることなどの要件がある

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目次

インフレスライド条項とは

インフレスライド条項とは、公共工事の請負契約において、予期することのできない特別の事情により、工期内に急激なインフレーション(またはデフレーション)が生じ、請負代金額が著しく不適当となったときに、発注者・受注者のいずれからも請負代金額の変更を請求できることを定めた規定です。公共工事標準請負契約約款に基づく契約書のスライド条項の一部として置かれています。

公共工事の請負契約は、契約時に定めた金額で工事を完成させるのが原則です。しかし、工期が長期に及ぶ工事では、その間に資材価格や労務費が大きく変動することがあります。想定を超える高騰が起きたとき、契約時の金額のまま施工を強いられれば、受注者は大きな損失を被り、場合によっては工事の継続すら困難になります。そうなれば、公共工事の品質や、担い手の確保にも影響が及びます。インフレスライド条項は、この不測の変動リスクを、発注者と受注者の間で適正に分担するための仕組みです。

近年は、資材価格の高騰や労務費の上昇が続いており、この条項の重要性が高まっています。国も、賃金や資材等の価格変動に対して、契約約款に基づく必要な変更契約を適切に締結するよう、発注者に求めています。受注者にとっては、泣き寝入りせずに正当な代金の見直しを求められる、重要な権利です。工期の変更とあわせて協議されることもあります。工期変更・工期延長とはもあわせてご覧ください。

3種類のスライド条項

請負代金の変更に関するスライド条項には、対応する場面の異なる3つの種類があります。整理すると次のとおりです。

種類対応する場面
全体スライド工期が長期にわたり、賃金水準や物価水準の変動により請負代金が不適当となった場合(工事全体が対象)
単品スライド特定の資材(鋼材類・燃料油など)の価格が著しく変動した場合(その品目が対象)
インフレスライド予期できない特別の事情による急激なインフレ・デフレが生じた場合(残工期が対象)

全体スライドは、契約から一定期間(標準請負契約約款では12か月)を経過した後に、賃金水準や物価水準の変動によって請負代金が不適当となった場合に適用されるものです。長期の工事における、緩やかな価格変動に対応します。単品スライドは、工事全体ではなく、特定の資材の価格が著しく変動した場合に、その資材にかかる分だけを対象に代金を見直すものです。

これらに対してインフレスライドは、予期できない特別の事情による急激な変動に対応するものです。全体スライドのような一定期間の経過を待たずに、残りの工期を対象として代金を見直せる点に特徴があります。急激な物価上昇が起きたときに、機動的に対応するための仕組みだといえます。どの条項を適用するかは、変動の性質と工事の状況によって判断されます。

請求の要件と手続き

インフレスライドを請求するには、いくつかの要件を満たす必要があります。実務上とりわけ重要なのが、基準日から2か月以上の残工期があることです。インフレスライドは残工期に相当する部分の工事を対象に代金を見直す仕組みであるため、残りの工期が短すぎる場合は対象になりません。工事の終盤になってから請求しても間に合わない、という点に注意が必要です。

手続きの流れとしては、まず受注者が発注者に対して請負代金額の変更を請求します。基準日は、請求があった日から起算して14日以内で、発注者と受注者が協議して定める日とされ、請求日とすることが基本です。この基準日以降の残工期に対応する工事について、変動後の単価等で積算し直し、変更額が算定されます。算定された結果に基づいて、変更契約が締結されます。契約変更の手続きは変更契約書とはをご覧ください。

なお、発注機関によっては、賃金水準(設計労務単価)の変更が生じていない場合でも、物価水準の変動が生じていれば請求を可能とする運用がとられています。実際の適用要件や算定方法は、発注機関が定める運用の通知等によって具体化されているため、請求を検討する際は、その工事の発注者の運用を確認することが不可欠です。労務単価の改定については公共工事設計労務単価とはをご覧ください。

受注者が実務で押さえておきたいこと

インフレスライドについて、受注者が押さえておきたいポイントを整理します。第一に、早期の判断と請求です。前述のとおり、請求には基準日から2か月以上の残工期が必要です。価格の高騰に気づいたら、工期の残りを踏まえて、早めに請求の可否を検討する必要があります。「もう少し様子を見よう」と先延ばしにしているうちに、残工期が足りなくなってしまうことは避けなければなりません。

第二に、価格変動の記録です。請求にあたっては、資材価格や労務費がどのように変動したかを示す必要があります。資材の見積書や購入実績、単価の推移などの資料を、日頃から整理して保管しておくことが、請求の裏づけになります。積算の根拠を自社で押さえておくことは、こうした場面でも力を発揮します。積算の基礎は積算とはをご覧ください。

第三に、発注者との早期の協議です。スライド条項の適用は、発注者との協議を経て決まります。価格高騰の影響が出始めた段階で、監督員に状況を伝え、相談を始めることが円滑な対応につながります。契約約款に定められた正当な権利である以上、遠慮する必要はありません。適正な代金を確保することは、工事の品質を守り、下請や技能労働者への適正な支払いを維持することにも直結します。無理な自己負担で工事を続けるのではなく、制度に沿って正当な変更を求める姿勢が、健全な事業運営の基本です。

よくある質問

インフレスライドはいつでも請求できますか

基準日から2か月以上の残工期があることが要件とされています。インフレスライドは残工期に対応する部分を対象とするため、工事の終盤では請求できません。価格高騰に気づいた段階で、早めに請求の可否を検討することが大切です。

全体スライドとの違いは何ですか

全体スライドは、契約から一定期間(約款上は12か月)経過後の賃金・物価水準の変動に対応し、工事全体が対象です。インフレスライドは、予期できない急激な変動に対応するもので、一定期間の経過を待たずに残工期を対象に見直せる点が異なります。

請求すると必ず代金は増額されますか

請求後、発注者と協議して基準日を定め、残工期分を変動後の単価等で積算し直して変更額が算定されます。要件を満たし、実際に変動が確認されれば増額されますが、算定の結果によります。発注機関の運用を確認したうえで請求してください。

まとめ

インフレスライド条項とは、工期中に予期できない急激な物価・賃金の変動が生じ、請負代金が著しく不適当となった場合に、代金の変更を請求できる仕組みです。スライド条項には、長期工事の緩やかな変動に対応する全体スライド、特定資材の高騰に対応する単品スライド、急激な変動に対応するインフレスライドの3種類があります。インフレスライドの請求には、基準日から2か月以上の残工期が必要で、基準日は請求日から14日以内に協議して定めるのが基本です。受注者は、早期の判断と請求、価格変動の記録、発注者との早期協議を心がけることが大切です。正当な代金の確保は、工事の品質と、下請・技能者への適正な支払いを守ることにつながります。関連して工期変更・工期延長とは公共工事設計労務単価とはもあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。スライド条項の適用要件・算定方法は契約約款や発注機関の運用により異なります。具体的な内容は各発注機関の契約約款・運用通知等の一次情報をご確認ください。

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