技術検査とは?会計法上の検査との違いを解説

技術検査とは?会計法上の検査との違いを解説

公共工事の検査には、実は二つの目的があります。一つは、契約どおりに完成しているかを確かめ、引渡しと支払いを可能にすること。もう一つは、施工の技術的な内容を評価し、工事成績評定を通じて、受注者の適切な選定と指導育成、技術水準の向上につなげることです。前者を会計法に基づく検査、後者を技術検査と呼びます。同じ「検査」でも、見ているものが違うのです。本記事では、技術検査とは何か、会計法上の検査との違い、工事成績評定との関係、そして受注者の備えを解説します。

この記事のポイント

  • 会計法に基づく検査は、出来形と品質を確認し引渡し・支払いを可能にするもの
  • 技術検査は、工事成績評定により受注者の選定・育成、技術水準の向上を図るもの
  • 両者は同じ機会に行われることも多いが、目的が異なる

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目次

公共工事の検査には二種類ある

公共工事における検査は、その根拠と目的によって、大きく二つに分かれます。

区分目的結果がもたらすもの
会計法に基づく検査工事目的物が契約図書に定められた出来形と品質を確保しているかの確認引渡しと代金の支払いが可能になる
技術検査工事成績評定により、受注者の適切な選定と指導育成、技術水準の向上を図る工事成績評定が付される

会計法に基づく検査は、公金を支出するための前提となる確認です。契約したものが、契約どおりにできているか。これが確認されて初めて、目的物を引き渡し、代金を支払うことができます。国の契約では会計法に、自治体の契約では地方自治法に、給付の完了を確認するための検査が定められています。この流れは検収とはで解説しています。

これに対して技術検査は、支払いのためではなく、技術的な評価のために行われます。どのような施工体制で、どのように工程・品質・安全を管理し、どんな出来ばえに仕上げたか。これを技術的な観点から評価し、工事成績評定として点数化します。その結果は、受注者へのフィードバックとなり、また発注者が次に業者を選定する際の材料にもなります。

実務では、この二つが同じ機会に行われることが多くあります。完成時に検査員が現場に来て、契約どおりできているかを確認しつつ、同時に技術的な評価も行う、という形です。受注者から見れば一回の検査ですが、その中に二つの目的が含まれている、と理解しておくとよいでしょう。

技術検査が行われる時期

技術検査は、工事の完成時だけに行われるものではありません。施工の途中でも実施されます。

中間技術検査は、工事の施工中に検査員が現地に赴いて行う検査です。工事の進捗状況や施工技術などを把握し、工事成績評定の参考とすることを目的としています。完成した姿だけを見ても、施工の過程でどのように管理されていたかは分かりません。途中段階で確認することで、施工中の管理の質を評価に反映できます。中間検査については中間検査とはで詳しく解説しています。

完成時の技術検査は、工事が完成した段階で行われます。出来形や出来ばえ、施工体制、施工状況、そして創意工夫などが総合的に評価され、最終的な工事成績評定がまとめられます。会計法に基づく完成検査とあわせて実施されるのが一般的です。

なお、日常的に監督職員が行う段階確認は、検査員による技術検査とは別のものです。段階確認は監督業務の一環として、施工の適正さを確保するために行われます。行う人も位置づけも異なりますが、段階確認で積み上げた記録が、技術検査での評価材料になるという関係にあります。段階確認は段階確認とはをご覧ください。

技術検査で確認されること

技術検査では、どのような点が見られるのでしょうか。工事成績評定の評価項目と重なりますが、大きく次のような観点があります。

  • 施工体制:現場の管理体制、技術者の配置、施工体制台帳などの書類の整備
  • 施工状況:工程管理、品質管理、安全対策、環境への配慮の実施状況
  • 出来形および出来ばえ:設計図書どおりの寸法・品質か、仕上がりの精度はどうか
  • 創意工夫・社会性:施工上の工夫、新技術の活用、地域への配慮

検査は、書面検査現場検査に分けて行われるのが一般的です。書面検査では、契約書、設計図書、施工計画書、品質管理・出来形管理の記録、工事写真、打合せ記録などが確認されます。現場検査では、実際の構造物を見て、記録と実態が一致しているか、仕上がりはどうかが確かめられます。

ここで重要なのは、記録と現場の整合です。記録上は規格値に収まっているのに、現場を見ると明らかに違う——そのような状態では、記録そのものの信頼性が問われます。日々の測定を実際に行い、正直に記録することが、検査での信頼につながります。管理の基準は品質管理基準・出来形管理基準とは、記録の中心となる写真は工事写真とはをご覧ください。

工事成績評定との関係

技術検査の結果として付されるのが工事成績評定です。評定は100点満点で行われ、その点数が受注者に通知されます。

評定結果には、二つの意味があります。一つは、受注者へのフィードバックです。どの点が良く、どの点に課題があったかが示されることで、次の工事に活かせます。技術検査の目的に「受注者の指導育成」が含まれているのは、この趣旨によります。多くの発注機関では、受注者が評定内容の説明を求められる仕組みも設けられています。

もう一つが、次の受注への影響です。評定点は、入札参加資格の格付け(主観点)に反映されたり、総合評価落札方式での加点材料になったりします。良い成績を積み重ねた企業ほど、次の受注で有利になる仕組みです。評定の詳細は工事成績評定とは、総合評価での扱いは加算方式・除算方式とはをご覧ください。

つまり技術検査は、その工事の合否を決めるものではなく、企業としての評価を積み上げていく仕組みです。会計法上の検査に合格すれば代金は支払われますが、技術検査の評価が低ければ、次の受注機会が細っていきます。目の前の一件を無事に終えることと、評価を積み上げることは、別の話だということです。

受注者の備え

技術検査に向けて、受注者が備えるべきことを整理します。

第一に、着工時からの積み上げです。技術検査で評価されるのは、検査当日の状態だけではありません。施工計画をどう立て、施工中にどう管理したかという、工事全体の過程が対象です。検査の直前に慌てて書類を整えても、施工の過程そのものは変えられません。着工時から、評価される項目を意識して施工管理を行うことが本質的な備えです。施工計画書の作り方は施工計画書とはをご覧ください。

第二に、創意工夫の記録です。評価項目には創意工夫が含まれますが、実際に工夫していても、それが伝わらなければ評価されません。どんな課題に対して、どう工夫し、どんな効果があったのか。写真や記録とともに整理しておけば、検査の場で的確に説明できます。地域への配慮や環境対策も同様です。

第三に、指摘への誠実な対応です。検査で改善すべき点を指摘されたら、速やかに是正し、結果を報告します。指摘を受けること自体は悪いことではなく、むしろ次に活かす材料です。誠実に対応する姿勢は、発注者との信頼関係を育てます。

検査を受ける側の心構え

技術検査は、審査される場であると同時に、自社の仕事を伝える場でもあります。この視点を持てるかどうかで、検査への向き合い方が変わります。

検査員は、限られた時間で工事の全体像を把握しなければなりません。書類が整理されておらず、説明も要領を得なければ、どれほど良い施工をしていても伝わりません。逆に、資料が体系的に整理され、施工の経緯や工夫が明快に説明されれば、工事の質が正しく評価されます。準備の質が、そのまま評価の質に影響するのです。

また、検査で得られたフィードバックは、次の工事の財産になります。指摘された点を社内で共有し、標準的な手順に反映していけば、企業としての施工品質が底上げされます。評定点は結果に過ぎず、その背後にある施工管理の力こそが、継続的な受注を支える実力です。一件ごとの検査を、その実力を磨く機会と捉えたいところです。

検査を行う人と権限

検査を担当するのは、発注者が指定する検査員(検査職員)です。日常的に現場を見ている監督職員とは、別の立場の職員が務めるのが原則です。

なぜ分けられているのでしょうか。監督職員は、工事の進行に日々関与し、指示や協議を重ねてきた当事者です。その人が検査も兼ねれば、自分が関わった施工を自分で評価することになり、客観性が保てません。第三者的な立場の検査員が確認することで、評価の公正さが担保されます。設計業務における照査技術者と管理技術者を分ける考え方と、根は同じです。照査の仕組みは照査とはをご覧ください。

とはいえ、検査員は工事の経緯を細かくは知りません。だからこそ、受注者と監督職員の双方から、施工の経過を説明する必要があります。検査の場では、監督職員が工事の概要や協議の経緯を補足し、受注者が施工の内容と工夫を説明する、という流れになります。監督職員の役割は監督員とはをご覧ください。

受注者の立場では、日頃から監督職員と認識を共有しておくことが、検査を円滑に進めるうえで効いてきます。協議した内容、変更した経緯、工夫した点が監督職員にも理解されていれば、検査の場での説明に一貫性が生まれます。逆に、現場で勝手に判断して進めた事項があると、説明がかみ合わず、評価にも響きかねません。

業務委託における検査との違い

ここまで工事の検査を見てきましたが、設計・測量・調査といった業務委託にも、同様の仕組みがあります。考え方は共通していますが、対象が異なります。

工事では、構造物という目に見える成果を、出来形や品質という観点で確認します。これに対して業務委託では、報告書や図面といった成果品の内容が対象です。記載が正確か、必要な検討が尽くされているか、基準に適合しているか——技術的な観点から確認されます。

業務についても、履行の過程と成果を評価する業務成績評定があり、その結果は次の業務の受注に影響します。工事の技術検査と工事成績評定の関係と、まったく同じ構造です。業務側の仕組みは業務成績評定とはをご覧ください。

工事と業務の両方を手がける事業者であれば、この共通性を意識しておくと、社内の品質管理の考え方を統一できます。どちらも「評価は一件ごとに積み上がり、次の受注につながる」という点で変わりません。検査は終わりの手続きではなく、次の仕事への入口だと捉えることが、継続的な受注につながります。

よくある質問

技術検査と完成検査は別々に受けるのですか

実務では同じ機会に行われることが多くあります。完成時に検査員が臨場し、契約どおりの出来形・品質かの確認(会計法に基づく検査)と、技術的な評価(技術検査)を併せて実施する形です。受注者から見れば一回の検査ですが、目的は二つあります。

技術検査に落ちることはありますか

技術検査は合否を決めるものではなく、工事成績評定として点数化されるものです。引渡し・支払いの可否は会計法に基づく検査で判断されます。ただし評定点が低ければ、格付けや総合評価を通じて次の受注機会に影響します。

評定の内容は教えてもらえますか

評定結果は受注者に通知されるのが一般的で、多くの発注機関では内容の説明を求められる仕組みも設けられています。指導育成が技術検査の目的の一つであるため、結果を次の工事に活かすことが期待されています。

検査の準備はいつから始めますか

着工時からです。技術検査で評価されるのは工事全体の過程であり、検査直前の準備だけでは対応できません。施工計画の段階で評価項目を意識し、日々の管理と記録を積み上げることが本質的な備えになります。

まとめ

公共工事の検査には、会計法に基づく検査と技術検査の二つがあります。前者は、契約図書に定められた出来形と品質を確保しているかを確認し、引渡しと支払いを可能にするもの。後者は、工事成績評定により、受注者の適切な選定と指導育成、技術水準の向上を図るものです。技術検査は完成時のほか、施工中の中間技術検査としても行われ、施工体制・施工状況・出来形および出来ばえ・創意工夫といった観点から評価されます。結果は工事成績評定として点数化され、格付けや総合評価を通じて次の受注に影響します。着工時からの積み上げ、創意工夫の記録、指摘への誠実な対応が、受注者の備えです。関連して工事成績評定とは検収とはもあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。検査の区分・実施方法は発注機関により異なります。具体的な内容は各発注機関の検査要領・成績評定要領等の一次情報をご確認ください。

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