再生資源利用計画書とは?作成が必要な工事と提出

工事では、資材を搬入し、不要になったものを搬出します。この出入りを記録し、どれだけ再生資材を使い、どれだけ再資源化したかを示すのが再生資源利用計画書および再生資源利用促進計画書です。着工前に作成して施工計画書に含め、完成時には実施書を提出します。一定の規模を超える工事では、元請業者に作成が求められます。本記事では、対象となる工事、二つの計画書の違い、作成と提出の流れを解説します。
この記事のポイント
- 搬入する再生資材について「利用計画書」、搬出する副産物について「利用促進計画書」を作成する
- 着工前に作成して施工計画書に含め、完成時に実施書を提出する
- 対象となる規模は発注機関により定められる
二つの計画書
名前が似ているため混同しやすいのですが、二つの計画書は向きが逆です。
| 書類 | 対象 | 向き |
|---|---|---|
| 再生資源利用計画書 | 工事に搬入する資材 | 入ってくるもの |
| 再生資源利用促進計画書 | 工事から搬出する副産物 | 出ていくもの |
利用計画書は、工事で使う資材のうち、どれだけ再生資材を用いるかを示します。再生砕石、再生アスファルト混合物、再生コンクリートなど、資源を循環させて作られた材料をどれだけ使うかという視点です。
利用促進計画書は、工事から出る建設副産物をどう処理するかを示します。コンクリート塊、アスファルト塊、建設発生木材、建設発生土——これらをどこへ運び、どう再資源化するかという視点です。
つまり、入口と出口の両方で資源の循環を管理する仕組みです。使う側と出す側の双方を記録することで、全体としてどれだけ循環しているかが把握できます。
建設副産物の扱いについては建設リサイクル法とはをご覧ください。
対象となる工事
すべての工事で作成が必要なわけではありません。一定の規模を超える工事が対象になります。
基準は発注機関によって定められますが、たとえば請負金額が一定額以上の工事を対象とする例があります。また、金額にかかわらず、土砂の搬入量または搬出量が一定量以上となる工事を対象に加える運用もあります。
具体的な基準は特記仕様書などで示されます。着手時に確認しておかなければ、作成すべき書類を見落とすことになります。
なお、作成の義務を負うのは元請業者です。下請が行った作業で生じた副産物についても、元請がまとめて記録します。
建設工事から生じる廃棄物の排出事業者も原則として元請です。管理の責任が元請に集約されている点は共通しています。詳しくは建設汚泥とはをご覧ください。
作成と提出の流れ
計画書は、着工前と完成時の二段階で扱われます。
- 着工前——再生資源利用計画書および再生資源利用促進計画書を作成し、施工計画書に含めて提出する
- 工事中——計画に沿って資材を調達し、副産物を処理する。実績を記録する
- 完成時——再生資源利用実施書および再生資源利用促進実施書を作成し、提出する
ここで重要なのが、計画と実施が対になっていることです。着工前に立てた計画に対して、実際にどうだったかを完成時に報告します。
計画と実績が大きく食い違えば、その理由を説明する必要が生じます。「計画では再生砕石を使うことになっていたが、実際には新材を使った」という場合、なぜそうなったのかが問われます。
したがって、実現可能な計画を立てることが出発点です。地域で再生資材が調達できるのか、受入れ可能な処理施設があるのか——現実を踏まえて作成します。
施工計画書の構成については施工計画書とはをご覧ください。
実績の記録という作業
完成時に実施書を作るには、工事中の記録が欠かせません。
記録すべきなのは、次のような情報です。
- 搬入した資材——種類、数量、再生材か新材か、調達先
- 搬出した副産物——種類、数量、搬出先、処理の方法
- 運搬の距離——搬出先までの距離
これらを、搬出入のつど記録するのが実務の基本です。工事が終わってから思い出してまとめようとすれば、正確な数量が分かりません。
搬出先については、建設副産物の情報交換システムへの登録が求められる場合もあります。システムの登録対象と計画書の作成対象は、必ずしも一致しないため、それぞれの要件を確認する必要があります。
建設発生土の搬出先確認については建設発生土とはをご覧ください。
なぜ記録が求められるのか
この書類が求められる背景を整理しておきます。
第一に、資源の循環を進めるためです。建設工事は、大量の資材を使い、大量の副産物を生み出します。これを循環させなければ、資源も処分場も足りなくなります。
第二に、不適正な処理を防ぐためです。どこへ運んだかを記録させることで、不法投棄や不適切な処理を抑制します。記録が残る前提であれば、安易な処理はしにくくなります。
第三に、実態を把握するためです。全国でどれだけの副産物が発生し、どれだけ再資源化されているか。政策を立てるには、実態のデータが要ります。
現場にとっては手間のかかる作業ですが、こうした目的があることを理解しておくと、記録の意味も見えてきます。
実務で注意したいこと
作成にあたって、押さえておきたい点を挙げます。
第一に、着手時に対象かどうかを確認することです。特記仕様書に基準が示されます。該当するのに作成していなければ、提出書類の不備になります。
第二に、二つの計画書を混同しないことです。搬入が利用計画書、搬出が利用促進計画書。向きが逆であることを押さえておけば、迷いません。
第三に、設計変更があれば見直すことです。工事の内容が変われば、資材の数量も副産物の量も変わります。当初の計画のまま放置せず、必要に応じて修正します。
第四に、記録を日々残すことです。搬出入のたびに数量を記録し、伝票と突き合わせておけば、実施書の作成は作業として軽くなります。
対象となる資材と副産物
具体的に、どのようなものが記録の対象になるのでしょうか。
搬入する側では、再生資材の利用が問われます。
- 再生クラッシャラン——コンクリート塊を砕いて作る路盤材
- 再生アスファルト混合物——アスファルト塊を再生した舗装材
- 再生コンクリート
- 土砂——他の工事で発生した土を流用する場合
搬出する側では、建設副産物が対象です。
- コンクリート塊——構造物の撤去で発生する
- アスファルト・コンクリート塊——舗装の撤去で発生する
- 建設発生木材——型枠や伐採木など
- 建設汚泥——泥状で流動性のあるもの
- 建設発生土——掘削で出る土砂
これらのうち、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材は、建設リサイクル法で特定建設資材として位置づけられ、分別解体と再資源化が義務づけられています。
土のやり取りという論点
記録のなかでも扱いが難しいのが土です。
建設発生土は、廃棄物ではありません。しかし、行き先を管理しなければ不適正な埋立てにつながるため、搬出先の確認が強く求められています。
理想は、工事間で融通することです。ある工事で余った土を、別の工事で盛土材として使えば、運搬も処分も減らせます。
これを進めるため、発生土の情報を交換する仕組みが整えられています。どこで、いつ、どれだけの土が出るのか。どこで必要とされているのか——これを突き合わせます。
ただし、時期と場所が合わなければ融通できません。工事の工程は事業ごとに決まるため、都合よく重なるとは限らないのが現実です。
詳しくは建設発生土とはをご覧ください。
評価にも関わる
資源の循環への取組みは、工事の評価にも関わってきます。
工事成績評定では、社会性等の項目で環境への配慮が見られます。再生資材を積極的に使った、発生土を近隣の工事に活用した、処分量を削減する工夫をした——こうした取組みは評価の対象になり得ます。
また、総合評価落札方式では、環境への配慮が評価項目に含まれる案件があります。提案の材料として使えます。
ただし、やっただけでは評価されません。計画書と実施書で数値として示し、どのような工夫をしたかを説明してはじめて伝わります。
書類の作成を義務として処理するか、取組みを示す機会と捉えるか——同じ作業でも、意味が変わります。
詳しくは工事成績評定とは、環境配慮契約法とはをご覧ください。
再生資材を使うときの注意
再生資材の利用を進めるにあたって、実務上の注意点があります。
第一に、品質の確認です。再生資材であっても、所定の品質を満たす必要があります。規格に適合しているか、試験成績表で確認します。
第二に、調達の見通しです。地域によっては、再生資材を製造する施設が近くにないことがあります。遠方から運べば、運搬の費用と環境負荷がかさみ、かえって不合理になります。
第三に、設計での指定です。使用する資材が設計図書で指定されている場合、勝手に再生材へ変更することはできません。変更したいのであれば、協議が必要です。
つまり、再生資材の利用は、発注者と受注者の双方で進めるものです。発注者が設計で採用し、受注者が調達して使う——この両輪がそろってはじめて実現します。
品質の確認については品質管理基準・出来形管理基準とはをご覧ください。
他の書類との関係
建設副産物をめぐる書類は、ほかにもあります。それぞれの役割を整理しておきましょう。
| 書類 | 目的 |
|---|---|
| 再生資源利用(促進)計画書・実施書 | 資源の循環状況を把握・報告する |
| マニフェスト | 産業廃棄物が適正に処理されたことを追跡する |
| 建設リサイクル法の届出 | 分別解体等の計画を行政に届け出る |
混同しやすいのが、計画書とマニフェストです。両者は目的が異なります。
マニフェストは、産業廃棄物の処理を追跡するための伝票です。廃棄物処理法に基づき、排出事業者が交付します。
一方、計画書は廃棄物に限らず、再生資材の利用や発生土の扱いも含めて、資源の循環全体を記録するものです。
つまり、両方が必要になる場面があります。どちらかで代替できるものではありません。
書類の負担をどう減らすか
これらの書類は、現場にとって負担になりがちです。どう軽くするかを考えてみましょう。
最も効くのは、日々の記録を仕組みにすることです。搬出入のたびに伝票を整理し、数量を集計する。これを習慣にしておけば、完成時の集計は転記で済みます。
次に、様式をテンプレート化することです。発注機関ごとの様式を社内で整備しておけば、毎回ゼロから作る必要がありません。
そして、着手時に必要書類を確認することです。対象かどうかを最初に把握しておけば、推測で作る無駄も、作り忘れも防げます。
近年は、工事書類の削減と電子化が進められています。この分野でも、システムを使った入力や、他の書類との連携が広がりつつあります。
詳しくは工事書類の簡素化とはをご覧ください。
マニフェストとは別に必要ですか
別に必要です。マニフェストは産業廃棄物の処理を追跡する伝票、計画書は再生資材の利用や発生土も含めた資源循環全体を記録するものです。目的が異なるため、どちらかで代替することはできません。
よくある質問
二つの計画書はどう違いますか
再生資源利用計画書は工事に搬入する資材について、再生資源利用促進計画書は工事から搬出する副産物について作成します。入口と出口で向きが逆であると覚えておくと、混同しません。
いつ提出しますか
着工前に計画書を作成し、施工計画書に含めて提出します。完成時には実施書を作成して提出します。計画と実績が対になっており、大きく食い違えば理由の説明が必要です。
誰が作成するのですか
元請業者です。下請が行った作業で生じた副産物についても、元請がまとめて記録します。建設工事から生じる廃棄物の排出事業者が原則として元請であるのと同じ構造です。
まとめ
再生資源利用計画書は工事に搬入する資材について、再生資源利用促進計画書は工事から搬出する副産物について、それぞれ作成する書類です。入口と出口の両方で資源の循環を管理する仕組みで、着工前に作成して施工計画書に含め、完成時には実施書を提出します。対象となる規模は発注機関が定め、請負金額や土砂の搬出入量を基準とする例があります。作成の義務を負うのは元請業者で、下請の作業で生じた副産物も含めて記録します。実施書を作るには工事中の記録が欠かせず、搬出入のつど数量や搬出先を残しておくことが実務の基本です。背景には、資源の循環を進めること、不適正な処理を防ぐこと、実態を把握することという目的があります。着手時に対象かどうかを確認し、設計変更があれば計画を見直すことが要点です。関連して建設リサイクル法とは、建設発生土とはもあわせてご覧ください。
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※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。対象となる規模や様式は発注機関により異なります。具体的な内容は各発注機関の特記仕様書・建設副産物の手引き等の一次情報をご確認ください。