地域維持型契約方式とは?包括発注と複数年契約を解説

地域維持型契約方式とは?包括発注と複数年契約を解説

地域維持型契約方式とは、道路や河川のパトロール、除雪、小規模な修繕、災害対応といった地域の維持管理に関する事業について、複数年契約や複数工種の包括発注、共同受注などによって発注する方式です。こうした仕事は、一件ずつは小規模で、単年度・工事ごとに発注すると細切れになります。それでは受注する側も体制を維持できず、地域から担い手がいなくなってしまう——この課題に応えるのが、この方式です。本記事では、地域維持型契約方式とは何か、その特徴、実施の形態、そして事業者にとっての意味を解説します。

この記事のポイント

  • 地域維持型契約方式は、地域の維持管理事業を複数年契約や包括発注でまとめる方式
  • パトロール、除雪、小規模修繕、災害対応などが対象になる
  • 実施形態には、共同企業体(JV)や事業協同組合による共同受注などがある

入札・プロポーザルの提案書作成でお困りですか?

デボノは官公庁向けの提案書作成・入札支援を専門に行っています。お気軽にご相談ください。

提案書作成支援サービスを見る
目次

地域維持型契約方式とは

地域維持型契約方式とは、地域の社会インフラを維持するための事業について、従来のような単年度・個別発注ではなく、複数年契約複数の工種・工事をまとめた包括発注、そして共同受注といった手法によって契約する方式の総称です。品確法に基づく発注関係事務の運用指針でも、多様な入札契約方式の一つとして位置づけられています。運用指針については運用指針とはをご覧ください。

対象となるのは、地域の維持管理に関わる次のような業務です。

  • 道路・河川のパトロール:日常的な巡回による異常の早期発見
  • 除雪:積雪地域における冬期の道路確保
  • 小規模な修繕・維持:舗装の補修、側溝の清掃、草刈りなど
  • 災害対応:災害時の応急対応と復旧

これらに共通するのは、地域に密着し、継続的に必要とされる仕事だという点です。しかも、一件ごとの規模は小さく、発生の時期も読みにくい。従来の発注方式では、この性質とかみ合わない部分がありました。

なぜ必要とされるのか

この方式が求められる背景には、地域建設業が置かれた厳しい状況があります。

維持管理の仕事は、地域にとって不可欠です。しかし、単年度ごと、工事ごとに小口で発注されると、受注する側は事業の見通しが立ちません。除雪のために重機とオペレーターを確保しておいても、その年の受注がどうなるか分からなければ、体制を維持し続けることは困難です。結果として、担い手が地域から撤退していく——この悪循環が各地で問題になっていました。

担い手がいなくなれば、困るのは地域そのものです。日常の維持管理が滞るだけでなく、災害が起きたときに動ける事業者がいなくなります。地域の安全を守る力が失われてしまうのです。災害時の体制については災害協定とはをご覧ください。

そこで、発注のまとまりを大きくし、期間を長くすることで、事業者が体制を維持できる環境をつくるという発想が生まれました。事業規模が大きくなれば施工の効率が上がり、複数年の契約であれば人員と機械を計画的に配置できます。発注者にとっても、安定した施工体制が確保され、事務の効率化にもつながります。

三つの手法

地域維持型契約方式には、組み合わせて用いられる三つの手法があります。

手法内容効果
複数年契約単年度ではなく、数年にわたる契約とする事業の見通しが立ち、人員・機械を計画的に配置できる
包括発注複数の工種・区間・業務をまとめて一つの契約とする事業規模が大きくなり、施工の効率が上がる
共同受注複数の企業が共同で受注する体制をつくる一社では担えない規模・範囲に対応できる

複数年契約は、単年度予算主義のもとでも可能です。債務負担行為を設定するか、長期継続契約の枠組みを使うことで、年度をまたぐ契約が成立します。契約の仕組みは長期継続契約とはをご覧ください。除雪のように、冬期という季節性のある業務では、複数年の契約が特に効果を発揮します。

包括発注は、これまで別々に発注していた業務を束ねるものです。たとえば、パトロールと小規模修繕と除雪を一つの契約にまとめる。あるいは、複数の路線・区間をまとめる。一件あたりの規模が大きくなることで、受注する側の採算が改善し、機械や人員を専属で配置しやすくなります。

共同受注は、複数企業が協力して受注する形です。包括発注で規模が大きくなると、一社では対応しきれないことがあります。そこで、共同企業体(JV)を組んだり、事業協同組合として受注したりする方法がとられます。地域維持型の共同企業体は、この目的のために活用されるものです。JVの仕組みは建設工事共同企業体(JV)とはをご覧ください。

受注する側のメリット

事業者にとって、この方式にはどんな利点があるのでしょうか。

最大のメリットは経営の安定です。複数年にわたって一定の業務量が見込めれば、人員の採用や育成、機械の投資に踏み切れます。「来年の仕事があるか分からない」状態では、若手を採用することも、重機を更新することもためらわれます。見通しが立つことは、事業を継続するうえで決定的に重要です。

次に、効率の向上です。まとまった範囲を継続的に担当すれば、地域の状況に精通し、段取りも洗練されていきます。バラバラに受注していた頃より、少ない手間で同じ成果を出せるようになります。移動や準備の無駄も減ります。

そして、地域における役割の明確化です。地域の維持管理を担い続けることは、災害時の対応力にも直結します。日常的にその地域を見ているからこそ、異変にも気づけますし、いざというときに動けます。この役割は、総合評価や格付けにおける地域貢献の評価にもつながり得ます。評価の仕組みは加算方式・除算方式とはをご覧ください。

参加にあたっての留意点

一方で、この方式に参加する際には、注意すべき点もあります。

第一に、体制を維持する責任です。複数年にわたって業務を担うということは、その期間中、必要な人員と機械を確保し続ける義務を負うということです。除雪であれば、いつ雪が降っても出動できる体制を、冬期を通じて保たなければなりません。安定した受注は魅力ですが、それに見合う責任が伴います。

第二に、共同受注の場合の役割分担です。JVや協同組合で受注する場合、構成員間で業務の分担、費用の負担、責任の所在を明確にしておく必要があります。曖昧なまま始めると、繁忙期に対応が滞ったり、精算で揉めたりします。協定書などで、あらかじめ具体的に定めておくことが不可欠です。

第三に、業務量の変動への備えです。除雪のように、その年の気象によって業務量が大きく変わるものがあります。契約上、業務量の変動をどう扱うのか(待機に対する費用の扱いを含めて)を確認しておかないと、想定と実態がずれたときに採算が崩れます。契約変更の考え方は変更契約書とはをご覧ください。

今後の広がり

地域維持型契約方式は、国だけでなく、地方自治体でも活用が進められています。インフラの老朽化が進み、維持管理の重要性が増す一方で、担い手は減っている——この構造は全国共通であり、対応の必要性は年々高まっています。

関連する動きとして、災害復旧について、あらかじめ複数の企業を選定しておき、災害発生時に個別の工事を発注するフレームワーク方式といった手法も検討・導入が進んでいます。いずれも、地域の対応力をあらかじめ確保しておくという発想に立つものです。担い手三法の改正でも、地域における対応力の強化が柱の一つとされました。担い手三法とはをご覧ください。

事業者としては、自社が活動する地域で、こうした方式がどの程度導入されているかを把握しておくとよいでしょう。導入が進んでいるなら、参加の要件や体制づくりを検討する価値があります。単発の工事を追いかけるだけでなく、地域を継続的に支える立場を確立することが、これからの地域建設業の経営戦略になっていきます。

従来の発注方式との違い

従来の発注方式と比べると、何がどう変わるのかが見えてきます。

観点従来の方式地域維持型契約方式
契約期間単年度複数年
発注の単位工種・区間ごとに個別複数の工種・区間をまとめて包括
受注の形一社が個別に受注共同企業体や協同組合による共同受注も
事業者の見通し年度ごとに不確実期間中の業務量が見込める

従来の方式が悪いというわけではありません。個別発注は、競争性が働きやすく、参加の機会も広がります。ただ、維持管理という継続性が本質である仕事には、必ずしも適していませんでした。毎年入札で担当者が変わるより、同じ事業者が継続して担うほうが、地域の状況に精通し、質の高い管理ができます。

もっとも、複数年・包括の契約は、競争の機会が減るという側面もあります。だからこそ、契約の期間や範囲の設定、参加要件の定め方には慎重さが求められます。発注者には、地域の担い手確保と、競争性・公正性の確保という、両方への配慮が必要になります。入札の公正性を支える考え方は入札のダンピングとはもあわせてご覧ください。

体制づくりの実務

この方式への参加を検討する事業者が、実務としてどう備えるかを整理します。

まず、自社の対応可能範囲の把握です。保有する重機、動かせる人員、対応できる工種、カバーできる区域。これらを棚卸しし、公告で示される業務量に対して、単独で対応できるのか、他社との連携が必要かを判断します。過大な範囲を単独で引き受けて履行できなければ、契約上の責任を問われます。

次に、連携先の確保です。共同受注が必要なら、平時から地域の同業者との関係を築いておくことが役立ちます。いざ公告が出てから相手を探すのでは、条件の擦り合わせが間に合いません。地域の建設業協会や協同組合の活動に参加しておくことも、こうしたつながりを作る場になります。

そして、人材の確保と育成です。複数年にわたって業務を担うには、その期間を支える人材が必要です。若手の採用と技能の継承は、地域建設業にとって最大の課題でもあります。技能者の適正な評価と処遇改善の仕組みは建設キャリアアップシステム(CCUS)とはもあわせてご覧ください。安定した受注の見通しがあってこそ、こうした投資に踏み切れます。地域維持型契約方式は、その好循環をつくるための仕組みだといえます。

よくある質問

どんな業務が対象になりますか

道路・河川のパトロール、除雪、舗装の補修や側溝清掃などの小規模な修繕・維持、災害対応といった、地域の維持管理に関わる業務が中心です。一件ごとは小規模でも継続的に必要とされる仕事が対象になります。

一社でも受注できますか

案件の規模によります。包括発注で範囲が広くなると一社では対応が難しく、共同企業体(JV)や事業協同組合による共同受注の形がとられることがあります。参加要件は公告等で示されるため、確認が必要です。

複数年契約はどう可能になるのですか

債務負担行為を設定するか、長期継続契約の枠組みを用いることで、単年度予算主義のもとでも年度をまたぐ契約が可能になります。除雪のように季節性のある業務では、複数年契約の効果が特に大きくなります。

業務量が想定と違ったらどうなりますか

除雪など気象に左右される業務では、業務量の変動が生じます。契約上、変動をどう扱うか(待機に対する費用の扱いを含む)が定められているため、参加前に条件を確認しておくことが重要です。

単発の工事より有利ですか

有利・不利という単純な比較はできません。複数年にわたる安定した業務量が見込める一方、その期間中は体制を維持する責任を負います。自社の人員・機械の状況と、契約で求められる対応水準を照らして判断することが大切です。

災害対応も契約に含まれますか

含まれる場合があります。地域維持事業の対象には災害対応が挙げられており、日常の維持管理と一体で担う形がとられることもあります。ただし範囲は案件ごとに異なるため、公告や仕様書で確認してください。

まとめ

地域維持型契約方式とは、パトロール、除雪、小規模修繕、災害対応といった地域の維持管理事業について、複数年契約・包括発注・共同受注といった手法で発注する方式です。単年度・個別発注では細切れになり、事業者が体制を維持できないという課題に応えるもので、事業規模の拡大による効率化と、人員・機械の安定的な確保を目指します。受注側には経営の安定と効率向上というメリットがある一方、期間を通じて体制を維持する責任、共同受注時の役割分担、業務量変動への備えが求められます。地域を継続的に支える立場を確立することが、これからの地域建設業の経営戦略になります。関連して災害協定とは建設工事共同企業体(JV)とはもあわせてご覧ください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、AIの特性上、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。本記事の内容に関するご質問、ご意見、または訂正すべき点がございましたら、お手数ですがお問い合わせいただけますと幸いです。

※本記事は公開時点の情報をもとに作成しています。契約方式の導入状況や要件は発注機関・地域により異なります。具体的な内容は国土交通省・各発注機関の公表資料等の一次情報をご確認ください。

入札・プロポーザルの提案書作成でお困りですか?

デボノは官公庁向けの提案書作成・入札支援を専門に行っています。お気軽にご相談ください。

提案書作成支援サービスを見る
目次